BaseusさんからBaseus GaN2 Fast Charger 1C 100W USを提供していただきました。GaN採用で、最大100Wなのに手のひらサイズの急速充電器です。しかも、QualCommの提唱する最新の急速充電規格、Quick Charge 5に対応しています。
- クレカに乗るサイズで最大100W充電!
- QuickCharge 5に公式初対応!USB PD PPS 5Aも!
- (厳密には)USB PDの規格違反
目次(見たいところからチェック!)
- 本記事は広告およびアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。
スペックなど
型番 | CCGAN100CS |
---|---|
サイズ | 約67×30×55 mm |
重さ | 約178g |
色 | Black |
入力 | AC100V-240V~,50/60Hz,2.5AMax. |
出力 | 5V/3A,12V/3A;9V/5A,15V/5A,20V/5A(最大100W) |
メーカー | Baseus |
そのほか、詳しくは公式サイトをご覧ください。
QuickCharge 5って?
QuickCharge 5とは、2020年7月28日(日本時間)に米Qualcommが世界初の商用100Wを超える充電プラットフォームとして発表した、新しい急速充電規格です。
過去全てのQuickChargeとの互換性を保ちつつ、Quick Charge 4比で70%高効率充電を実現しています。
また、競合する規格であるUSB PDとは、”USB-PDテクノロジーとType-Cテクノロジーの両方を活用するように最適化”(原文”Quick Charge 5 is optimized to take advantage of both USB-PD and Type-C technologies,(後略)”)されています(QuickCharge 4とのみ互換性なし)。
Qualcommが公式に対応を謳うデバイスリスト(PDF)に本製品は掲載されており、ソース側の機器として世界で初めて公式対応したとアピールしています。実際、作られて間もない規格ですから、製品化にこぎつけるのはすごいですね。
外箱、内容物など
箱の表面と裏面はこのようになっています。Baseus製品らしい、モノトーンを基調としたパッケージです。
正面から見て右側面に商品説明の面、左側面に出力が書かれたシールが上書きする形で貼られています。出力は箱自体に書かれているものと同じだと思いますが、PSEマークの関係でマークが書かれているこのシールが貼られているのでしょう。
出力記載部を拡大しました。後述するBaseus Mini White Series Data Cable(with E-marker chip)というケーブルも同梱されていて、そのケーブルについても仕様が書かれています。
底面にも各種認証のマークが書かれています。
内容物
内容物は充電器本体とユーザーズマニュアルに保証書、Type-C to Type-Cケーブル(Baseus Mini White Series Data Cable(with E-marker chip))、Baseus製品ではもはやおなじみのキャラクターシールです。
ユーザーズマニュアルです。英語と中国語の2種類で書かれており、PSEマークもあります。
同梱のUSB Type-C to Type-Cケーブルです。端子部分にはBaseusのロゴがあり、ロゴ入りケーブルタイも付いています。長さは1.5mで、e-Markerチップを内蔵し5AのUSB PDに対応しています。
充電器本体です。横面は大きく100Wと書かれている面と、何も書かれていない面があります。100Wの文字は大きいですが、細い線で書かれているのもあって主張しすぎずシンプルなデザインでまとまっています。
Type-C端子がある面とその逆側のコンセントプラグがある面です。Type-C端子の面にはBaseusとQuickCharge 5のロゴが描かれています。コンセントプラグがある面には、出力やPSEマークなどの認証ロゴがかかれています。
折りたたみ式でコンパクトに収納できるプラグは、しっかりと穴あきのタイプです。日本でも安心して使用できますね。
使える規格を確認
手持ちのTC66でトリガーして、対応している急速充電規格について調べました。
QuickChargeなど
結果は上の通りです。QuickCharge2.0の5V, 9V, 12V、QuickCharge3.0 ClassB、USB PD PPSに対応しています。QuickCharge2.0は、ClassBとなる20Vには対応していません。
QuickCharge2.0だけのモードで検証してみても、20Vは印加されませんでした。
問い合わせもしましたが、これは仕様であるとの回答でした。理由として、対応したチップセットが無いことが挙げられていました。ちなみに問い合わせをしたらその日のうちに回答がありました。技術陣にも問い合わせしたとのことでしたが、非常にスピーディーで対応に好感が持てますね。
とはいえ、QuickCharge3.0では20Vにしっかり対応しており、0.2V毎の変化も確認できました。完全上位互換のQuickCharge3.0にフル対応しているため、QC2.0の20V非対応はデメリットではないと思います。
その他、Huawei SCP、Huawei FCP、Samsung AFCなどには非対応です。
USB PD (PD 3.0,PPSなど)
USB PD 3.0、USB PD PPSに対応しています。
0.1Vごと、0.02Vごとの変化も確認できました。
実際に機器を充電してみる
Google Pixel 4 XL
18WのUSB PD充電に対応しているPixel 4 XLを接続すると、急速充電と表示され最大15Wほどが供給されていました。
Samsung Galaxy Tab S7
Galaxy Tab S7を接続すると、超急速充電2.0と表示され、最大38Wほどが供給されているのを確認しました(写真は撮れず…)。超急速充電2.0というのは、SamsungのSuper Fast Charging2.0を日本語訳したものだと考えられ、この充電器であれば最大45Wの最高速度で充電出来ると思われます。
Super Fast Charging2.0の中身はUSB PD 3.0 PPSです。
Xiaomi Redmi K40(グローバル版:POCO F3)
Redmi K40を接続すると、高速充電が行われ、最大15Wほどが供給されているのを確認しました。
以前レビューしたBaseusのGaN Quick Travel Charger 65W (BS-S915)では、Type-C1でMi Turbo Charge(規格上のW数は不明)が有効になり20W以上が供給されています。
QuickCharge 5はQuickCharge 4とは互換性がありませんが、QuickCharge 3.0、4+などとは互換性があるはずです。であれば、この製品でもBS-S915と同じようにMi Turbo Chargeで充電ができていいのではと思いましたが、出来ませんでした。
これについて問い合わせてみたところ、
- 65W GaN Charger(BS-S915)などでは、他の複数のプロトコルをサポートして使えるけど、この充電器では、QuickCharge 5プロトコルと純粋なPDプロトコルにのみ対応しているよ
- QuickCharge 5以外のプロトコル標準に対応してしまうと、QualcommのQuickCharge 5の認定に合格できないからだよ
- 弊社の充電器のUSB Standard-Aポートは、一般的にMi Turbo Chargeプロトコルを採用しているので、A to Cラインは基本的にMi Turbo Chargeモードに入れるよ
ざっくりとこういう感じの返答でした(ちょっと変な日本語で返ってきたのもあって、100%ちゃんとニュアンスを伝えられている自信は無いのですが…)。
(推測ですが)65W GaN Charger(BS-S915)がQuickCharge 4+に対応しているから、Mi Turbo Chargeで充電できていたわけではなく、Baseusが別途Mi Turbo Chargeに対応させているから、有効になって充電できていたということだと思われます。
使ってみた感想
Galaxy Tab S7をバッテリー残量十数%から充電すると、30W超えで充電することもできます。そのくらい大きなワット数で充電した場合は、やはり発熱はある程度あります。とても触れないというほどではなく、この出力なら妥当だと思う程度の発熱でした。以前レビューしたBaseusの65W GaNチャージャーくらいの発熱ですね。当然ながら、低い出力のときは全然発熱しませんでした。
まとめ
QuickCharge 5は昨年夏に発表された規格で、まだまだ普及するには時間がかかるでしょう。本製品はそんな将来性のある規格にいち早く対応した、アーリーアダプター向けの充電器と言えるのではないでしょうか。
もっとも、USB-IFは「USB Type-C端子ではUSB Power Delivery以外の規格は使用禁止!」というスタンスですし、GoogleもUSB PDを“強く推奨する(STRONGLY RECOMMENDED)”としています。
しかし、QuickChargeは一定程度普及していますし、USB PDやPD PPSもそこまで普及していないため、PDのみ対応の充電器では充電できる機器に限りがあります。
この現状を踏まえると、QuickChargeと互換性を持つこの充電器は、複数の機器を持っている人や、「PDには対応していないけどQuickChargeには対応している」機器を持っている人に有力な選択肢となるはずです。
QuickCharge 5はいわば、”USB PD 3.0 PPS&QuickCharge 4+”な充電規格ですから、これからPD規格の急速充電に対応したデバイスが増えていくとしても有効活用できそうです。
本記事に記載された内容は記事公開時点のものであり、必ずしも最新の情報とは限りません。記事をご覧いただく際には、最新の情報を確認するようお願いいたします。