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ASUSから8月20日に発表されたばかりのZenFone 6ですが、実は発表会前にお借りし、1週間ほど試用する機会をいただきました。発表されたばかりでまだ発売していないこの機種の、簡単ではありますがレビューをお送りします。
- 180°回転するフリップカメラが楽しい
- スペックもバッテリーも文句ないハイエンド
- スマートキーが意外と便利
- 机に置いた状態だと指紋認証も顔認証もできない
- 若干重い
ZenFone 6 ZS630KL
ZenFone 6はASUSが2019年8月に日本国内版を発表した2019年のASUSフラッグシップスマートフォンです。昨年のZenFone 5はZenFone 5, ZenFone 5Q, ZenFone 5Zと3つのグレードで展開されましたが、ZenFone 6は数字のみの1機種となっています。
Snapdragon 855を搭載しRAMとストレージは6GB/128GBと8GB/256GBの2つのバリエーションがあります。今回借りたのは6GB/128GB版です。電動式のフリップカメラがアウトカメラにもインカメラにもなるギミックで新しいカメラの使い方を見せ、バッテリーは5,000mAhの大容量を搭載。ASUSがこれまで複数のスマホで実現してきた、やりたかったことを全部詰め込んだ集大成のようなスマートフォンに仕上がっています。
主なスペックは以下のとおり。
OS | Android 9 | |
---|---|---|
CPU | Snapdragon 855 | |
RAM | 8GB | 6GB |
ストレージ | 256GB | 128GB |
外部メモリ | microSDXC (最大2TBまで) | |
ディスプレイ | 6.4インチ IPS液晶 2340×1080 (FHD+) | |
カメラ | メインカメラ:4800万画素 2ndカメラ:1300万画素広角 | |
バッテリー | 5000mAh | |
サイズ | 約159.1 × 75.4 × 9.1mm | |
重量 | 約190g | |
通信方式 | FDD-LTE (B1/B2/B3/B4/B5/B7/B8/B18/B19/B26/B28) TD-LTE (B38/B39/B41/B46) キャリアアグリゲーション (5CA(DL)/2CA(UL) 対応) WCDMA (B1/B2/B3/B4/B5/B6/B8/B19) GSM/EDGE (850/900/1,800/1,900MHz) |
端末デザイン
フリップカメラのおかげで前面はノッチもなく広々としたフルディスプレイです。若干下ベゼルのほうが広いというのはありますが、気になるほどでもありません。
背面上部には特徴的なフリップカメラ。その下に指紋センサーがあります。
今回借りたのは「トワイライトシルバー」です。上部がシルバーで、下に行くほど青みがかってくるのが神秘的でいいですね。
側面には「スマートキー」という自分で機能を割り当てられる物理キーがあります。
SIMトレイはASUSではお馴染みのトリプルスロット。nano SIMが2枚とmicro SDカードを同時に使えます。もちろんDSDV対応です。
持ってみると190gという重量はさすがにズッシリきます。まぁ長時間持つことがなければ大丈夫だとは思います。
このうっすらとしたグラデーションは美しいと思います。
ZenFone 6の機能
ZenFone 6は特徴的なフリップカメラをはじめ、いくつもの便利な機能があります。いくつか気になったものをピックアップしていきます。
フリップカメラ
ZenFone 6で一番気になるのがフリップカメラですよね。通常は背面にあるカメラが、フロントカメラに切り替えるときなどに180°回転します。
これはアウトカメラがそのままフロントカメラになるということです。前面からカメラが消えるのでノッチがなく、ディスプレイが広く使えます。また、普通はアウトカメラに比べフロントカメラは性能が落ちるものですが、ZenFone 6ではアウトカメラの性能をフロントカメラとしても使えます。(一部機能はフロントカメラ時に使えなくなるものもあります。)
新しい撮影スタイル
このカメラは起き上がる途中で止めることもできるので、様々な角度で固定できます。これが意外と便利で、低い位置から煽り気味に撮る構図などがやりやすくなります。
普通のデジカメでディスプレイ部分が動かせるバリアングル画面やチルト画面がありますが、それに近い感覚です。
実際に撮影できる写真についてはまた後で書きますが、180°回転するカメラによるパノラマ撮影が簡単に可能で、撮影が楽しくなります。
顔認証
フリップカメラは顔認証にも使えます。ただ、ZenFone 6の顔認証は「画面をオンにする」→「顔認証アイコンをタップ」→「カメラがフリップして認証」という手順になります。カメラが起き上がって認証されるまでは早いのですが、画面をオンにしたあとにアイコンをタップしなくてはならないというのが面倒です。
フリップカメラを何回も使ってると故障しそうで怖いですが、ここについてはちゃんと耐久試験を行っており、通常の使用で5年は大丈夫だということです。
指紋センサー
上で書いたように顔認証が少し面倒なので、私はロック解除には指紋認証を使っていました。速度や精度は問題ないレベルで、十分実用的です。
ちなみに、机の上に置いた状態だと背面の指紋センサーは当然使えませんし、顔認証のフリップカメラも起き上がらないのでどちらも使えません。その点は残念です。
スマートキー
ZenFone 6の右側面、音量ボタンの上には「スマートキー」というボタンが付いてます。これはデフォルトではGoogleアシスタントが割り当てられていますが、ほかの様々な機能にカスタマイズも可能です。
「1回」「2回」「長押し」で3種類の機能を割り当てることができます。「音声モード」で素早くマナーモードにしたり、「カメラを起動」などよく使う機能に割り当てるのが良いですね。
ただ、これは画面がオンのときにしか機能しないので、スマートキーを押して画面オフからカメラ起動、というようなことはできません。素早くカメラ起動したいときは、「音量ボタンをダブルクリックでカメラ起動」という機能があるのでそちらを使います。
ベンチマーク
『AnTuTu Benchmark』『Geekbench 4』『3DMark』の3つのベンチマークアプリを使ってみました。
AnTuTuの結果は355,626点、Geekbench4の結果はシングルで3,506点、マルチで11,028点、3DmarkはSling Shot Extreamで5,711点でした。Snapdragon855搭載のハイエンド端末としてさすがの高得点です。
また、ZenFone 6はZenFone 5のときと同じ用にAIブーストというパフォーマンスを向上させる機能があります。これを使うとベンチマーク結果も向上し、AnTuTuの結果は376,031点になりました。ASUSのプレゼンによれば38万点程度は出るようです。
似た点数のほかのスマホと比べると以下の通り。
Antutu | Geekbench | 3DMark | ||
---|---|---|---|---|
Single | Multi | |||
ZenFone 6 (AIブースト) | 376031 | 3505 | 11161 | |
OPPO Reno 10x Zoom | 359457 | 3024 | 11115 | 5727 |
ZenFone 6 | 355626 | 3506 | 11028 | 5711 |
Xperia 1 | 354207 | 3508 | 11234 | 5738 |
Pixel 3 | 285757 | 2375 | 8378 | 4701 |
このほかのスマホのベンチマークも集めて以下のページにまとめてあります。他の機種と比較できるので、こちらも参考にしてください。
⇒ベンチマーク結果まとめ
カメラ
ZenFone 6のカメラは背面カメラが回転することで前面カメラも兼ねるという面白いギミックを持っています。もちろんそのギミックだけでなくカメラ自体も4800万画素(センサーサイズ1/2インチ、画素ピッチ0.8μm)のSony IMX586センサーを搭載したメインカメラと125°の彫刻各レンズのセカンドカメラで美しい写真を残してくれます。
カメラのUIはシンプルでわかりやすくなっています。
いくつか写真を載せておきます。基本的にサイズ調整のみ加工しています。
メインカメラ
パノラマ撮影が楽しい
少し前にも書きましたが、ZenFone 6は180°回転するカメラを使って簡単にパノラマ撮影が可能です。従来のAndroidスマホでもパノラマ写真は撮影できましたが、自分の手でスマホを横にずらしていくという方法で、正直面倒でした。しかしZenFone 6では自動でカメラが回転するので、簡単に面白い写真が撮れます。
上の写真はサイズ縮小してますが、もとは13456×1760というデカい写真です。
このパノラマモードをわかりやすくする筐体がありました。実際にパノラマモードで撮影すると以下のように動きます。
180°回転するので、背面から始めると終わりは前面を向いてしまい、自分の顔が写ってしまうかもしれません。
実際には自分で好きなタイミングで止められるので、様々な写真を撮ることができます。これがまた楽しんですよね。ついつい何度もパノラマ撮影してしまいます。スマホのカメラでパノラマ写真をこんなに撮ったのは初めてですよ。
広角もイケる
ZenFone 6のセカンドカメラは125°の超広角です。ZenFone 5よりも少しだけ広がり、そして超広角レンズ特有の歪みを補正する機能が強化されています。
HDR++
さらに、ZenFone 6はHDRもパワーアップしています。通常のオートで適用されるHDRの上にHDR+、そしてもう1段階上のHDR++があります。
実際に撮影した写真をGoogleフォトにアップしてあるので、興味ある方はご覧ください。
バッテリー
ZenFone 6のバッテリーは5,000mAhの大容量です。これまでZenFoneシリーズはMaxの名前で大容量バッテリーのバリエーションがありましたが、それと同じくらいのバッテリーをZenFone 6は持っています。
Geekbenchのテストでは6,380点をマーク。だいたい4,000点以上なら優秀と言えるので、この点数はかなり良いです。
ソフトウェア
ホーム画面とプリインアプリ
ホームアプリはZenFoneシリーズお馴染みのASUS Launcherです。アプリの非表示やドロワーの並び替えができるなど、メーカー製のランチャーアプリでは使いやすい方ですね。
プリインアプリも少ないほうで、必要なさそうなものはアンインストールや無効化できるので問題となることはないでしょう。
日本国内版のZenFoneはみんなそうですが、日本語入力アプリとして『ATOK』がプリインストールされています。日本語入力アプリは個人で好みがありますが、通常1,500円ほどする有料アプリがインストールされているのは嬉しいです。
設定
設定も基本的にわかりやすくまとまっています。設定項目内には独自の便利な機能があるのでいくつか紹介します。
ステータスバーに表示されるアイコンをオン・オフできます。「Bluetoothはいつもオンだから表示しなくてもいい」等の場合では常に非表示のほうがスッキリしていいですよね。
ナビゲーションバーは従来の3ボタン、ナビゲーションジェスチャー、Android 9のピルボタンの3つから選択できます。
そのほか拡張機能としていくつもの機能がまとまっています。スクリーンレコーダーではZenFone 6の画面を動画で保存できます。端末の機能としてあるだけあって、音をマイクではなく内部オーディオから録音できるのは嬉しいところです。
まとめ
実現したいと思ったことを全部詰め込んだというZenFone 6、たしかにパフォーマンスもバッテリーもカメラも、どこから見ても優秀なスマートフォンに仕上がってます。贅沢なことを言えば、ワイヤレス充電やおサイフケータイ、防水など、まだまだ対応してほしい部分はあるのですが、それはまぁさすがに全部は無理でしょうね。
ZenFone 6を試す中で特に気に入ったのは、やはりフリップカメラによる撮影です。単なるギミックではなく、そこからの新しい写真体験。久しぶりにスマホでのカメラ撮影が楽しくて仕方なかったです。それだけでもZenFone 6を買う理由になりますね。ただのイロモノじゃないですよ、これは。
様々な要素が集まって、これまでのZenFoneはここにたどり着くためにあったのではないか、そう思えるものがあります。ZenFone 6、これはいいスマートフォンです。
参考情報
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OREFOLDER編集長。
1979年静岡県清水市生まれ、現静岡市清水区在住。
様々な巡り合わせから、このサイト1本で生活してる氷河期世代の一人。ガジェットに限らず広く浅く様々なものに興味があります。
スマートフォンは2010年にXperia SO-01Bを買ったのが最初。同時にb-mobile U300で格安SIMも始めました。これまでに数百台のスマホを手にし、格安SIMも常時20種類以上契約しています。