GEEKOMさんから、GEEKOM Air12 Liteをレビュー用に頂きました。低価格帯向けとは思えないほどの性能で話題になったCPU、Intel N100を搭載したミニPCです。
2024年11月10日時点で公式サイトでは29,990円、Amazonでは29,999円ですが、Amazonの商品ページには10%オフクーポンがあり26,999円で購入できます。
目次(見たいところからチェック!)
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GEEKOM Air12 Liteのスペック
OS | Windows 11 Pro |
---|---|
CPU | Intel Processor N100 |
GPU(CPU内蔵) | |
RAM | DDR4-3200 SO-DIMM 8 GB(16GB Max) |
ストレージ | M.2 SSD 256GB |
インターフェイス | HDMI 2.0 × 1 DisplayPort 1.4 × 1 1Gbps RJ-45 × 1 USB 2.0 × 2 USB 3.0 × 2 USB 3.1 Gen 2 (10Gbps) × 2 3.5 mm イヤホンジャック × 1 3.5 mm マイクジャック × 1 |
通信 | Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.1、Gbps Ethernet × 1 |
電源 | ACアダプタ 19V⎓3.42A 65W |
サイズ | 約 135.5 × 115.5 × 34.5 mm |
本体
白い箱に入っていました。
中にはAir12 Lite本体、電源アダプタ、VESAマウントへの取り付け用金具、HDMIケーブル、説明書などの紙類が入っていました。電源アダプタのコンセント部分はアースのある3ピンタイプなので、日本の一般的な家庭の場合は変換アダプタが必要になります。
インターフェイス
インターフェイスは、前面(電源ボタンのある側)は左から
- 電源ボタン
- USB-Aポート(USB 3.0) × 2
- ピンヘッダ類
- 3.5mm のマイクジャック × 1
- 3.5mm のイヤホンジャック × 1
があります。ピンヘッダは、自作PCのストレージのアクセスLEDや電源状態のLEDのように使えるもののようです。ただイマイチ使うシチュエーションが想像できないですが…
背面には、左から
- DisplayPort 1.4 × 1
- 1Gbps RJ-45 Ethernetポート × 1
- USB-Aポート(USB 2.0) × 2
- USB-Aポート(USB 3.2 Gen 2, 10Gbps) × 2
- HDMI 2.0 × 1
- 電源入力端子 × 1
があります。
内部
底面の4つのネジを外すと板を外せ、内部にアクセスできるようになっています。ネジを外しても、横のケンジントンロックの部分の差し込みがあり、簡単には取れません。
ここからSSDやメモリを換装可能です。
SSD
SSDは、WodpositというメーカーのSSDが使われていました。
ちなみにメモリも同じメーカーのようです。
非Lite版との違い
このAir12 Liteですが、LiteというだけあってLiteでないモデルも存在します。ここでは、Lite版と非Lite版の相違点を紹介します。
インターフェイス面
Lite版は、上述の通り
- HDMI 2.0 × 1
- DisplayPort 1.4 × 1
- 1Gbps RJ-45 × 1
- USB 2.0 × 2
- USB 3.0 × 2
- USB 3.1 Gen 2 (10Gbps) × 2
- 3.5 mm イヤホンジャック × 1
- 3.5 mm マイクジャック × 1
というインターフェイス構成です。一方非Lite版は、
- USB-A(USB 3.2 Gen 2, 10Gbps)× 1
- USB-A(USB 3.2 Gen 2, 10Gbps)× 2
- USB-C(DP 1.4 Altモード)× 1
- USB-C(データ専用)× 1
- SDカードリーダー × 1
- 3.5 mmヘッドフォンジャック× 1
- 1Gbps RJ45 × 1
- HDMI 2.0 × 1
- Mini DisplayPort 1.4 × 1
というインターフェイスで、主にUSB-Cポートが大きく変わっています。USBポートの数自体は今回のLite版のほうが多いです。
スペック面
Lite版はメモリがDDR4メモリですが、非Lite版は最新規格のDDR5メモリです。また、標準付属のSSDが、Lite版はSATA SSDですが、非Lite版はより高速なNVMe SSDです。
標準付属のメモリとストレージの容量は、Lite版がそれぞれ8GB、256GBですが、非Lite版では2倍の16GB、512GBとなっています。
パフォーマンス
具体的な性能を知るために定番のベンチマークを行いました。結果は以下の通りです。
CINEBENCH R23
CINEBENCH R23のスコアは、
- マルチコアが2929
- シングルコアが906
でした。私がメインで使っている自作PCのCPU(Ryzen 5 3600、6コア12スレッド)がマルチコアで7585、シングルで1143というスコアなので、シングルコアだと5年前のメインストリーム向けCPUくらいの性能があります。コア数は4コアなので、マルチコアだと厳しいですが、シングルコアのタスク中心なら十分使える性能です。
ドラゴンクエストX
ドラゴンクエストXのベンチマークは、フルHDの最高品質、フルスクリーンでのスコア2189、「やや重い」の評価でした。設定を落とせばプレイできそうです。
ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー
ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシーのベンチマークは、フルHDのノートPC向け標準品質、ウインドウモードで、動的解像度のみを無効化して計測しました。その結果、スコアは1081で、「設定変更が必要」の評価でした。流石にこのゲームには非力過ぎるようです。
ストレージ
標準搭載のSSDの速度を計測してみました。今回はSSDのベンチマークが目的ではないので、CrystalDiskMarkで一回だけ測定しています。
結果はシーケンシャルリードが562 MB/s、シーケンシャルライトが499 MB/sとなりました。M.2スロット自体はPCIe 3.0 x4に対応しているのですが、標準のSSDはSATA SSDなので(インターフェイス自体はM.2)、SATA3の速度の限界である600 MB/s以下の速度になっています。
生成AI(LLM)
本機は標準だとメモリが8GBなので、そのままではまずろくにAIは動かせないのですが、メモリ換装で16GBまで増設できます。試しに32GBのDDR4メモリに交換してみたところ認識したので、今回はAIでのみメモリを32GBに増設した状態で動かしてみます。ただし、32GBへの増設はメーカーの保証外となります。
今回もローカルLLMを動かせるLM Studioというソフトを使って、ChatGPTのような言語モデルを使ったときの返答速度を測ってみます(色々と荒い部分があるかと思います。参考程度にご覧ください)。
AIモデルにEZO-Common-9B-gemma-2-it-Q5_K_M.ggufを用いて全く同じプロンプト(指示文)を10回入力し、AIの回答速度の平均を出してみました。その結果が以下です。
パラメータ数(モデルの大きさ)が9Bのモデルなので、かなり出力が遅いです。1 token/sに満たない速度で、パソコンに慣れていない人がタイピングするくらいの速度なので、これだと常用は厳しいです。
同じGemmaでもより小規模なGemma 2 2Bのモデル(gemma-2-2b-jpn-it-Q4_K_M.gguf)では、4倍くらいの3.8 tokens/sのスピードが出たので、そういったモデルならもう少し快適に動作させられそうです。
実際に使ってみて
OS
OSはWindows 11のPro版がインストールされています。機能制限がなく快適そのものです。
一部のミニPCではOSのライセンスがボリュームライセンスになっている場合があると言われるので、念の為Windowsのライセンスを「slmgr /dli」コマンドで確認してみました。結果は上記画像の通りで、しっかりOEMライセンスで問題ありませんでした。
初回セットアップ時、Microsoftアカウントでのログインを求められるので、ローカルアカウントでセットアップしたい方はセットアップが始まったらすぐにShift + F10でコマンドプロンプトを開き、oobe\BypassNRO.cmdをしましょう。
動作音、発熱
動作音は、負荷のかかる作業をしていなければ静かでした。ただ、全体的に低めの音なのと、BIOS設定でファンのモードを標準のものにしていると、CPUが非力過ぎるのか動画を再生しているだけでも数秒おきにうなるような挙動がありました。この場合でも発熱は全然していないので、確かにCPU使用率は瞬間的に100%に近くなっているものの、ここまで頻繁に回さなくてもいいのではないかと思いました。
負荷をかけても、一般的なノートPCでちょっと熱くなったときくらいの音量で、音も低めなので、そこまで気になるほどのものではありません。ただ、机に直置きしたりすると共鳴するのか音が大きくなってしまうので、何か安定した物の上に乗せるのがよさそうです。
発熱は本当に低く、CPU使用率が100%でも全然感じられないくらいでした。これはいいですね。SSDも、筐体に接するようにサーマルパッドが貼られていることもあって、低温を維持していました。
画像編集
今回はミラーレス一眼で撮った画像があったので、それをレタッチしてみました。SONY公式の編集ソフトであるImaging Edgeを使って編集してみたところ、さすがにもたつきが目立ちました。ただ(本気でやっている人以外なら)編集できないほどは遅くなく、プレビューが完了するのを毎回待ったりしなければ、編集も可能なレベルでした(私はガチ勢ではありません)。
SSD
SSDがSATA接続のものだったのは残念でした。容量はともかく、元々備わっているM.2スロットの実力をフルに発揮できないので、ここはコストカットしてほしくなかったところです。SATA SSDでも、使っていて明確に遅いと感じるレベルではないのですが、NVMe SSDに慣れていると、あれ?ちょっと遅い?という感覚になるときが時折ありました。
CPU性能
ベンチマーク的には結構性能が高いのですが、いざYouTubeで動画を再生してみたりすると、動画を再生しているだけで45%くらいCPUを占有することもあったので、過度に性能に期待すると拍子抜けしてしまうと思います。値段相応だと考えていれば、期待以上の仕事をしてくれると思います。
まとめ
ところどころLite版のコストカットされた点が垣間見えるものの、全体としてN100の性能は問題なく出せているようです。薄くてコンパクトで、メモリも安いDDR4メモリなので、標準のSSDやメモリを交換する費用も抑えられます。Lite版はUSB-Aポートが多いので、この点は非Lite版にはないメリットになっています。スペックが低くてもいいからと割り切って使える方や、パーツの換装前提で使う方には、非Lite版よりもハマる可能性のあるモデルです。