GMKtecさんから、ミニPC「Nucbox M7 Pro」を頂きました。8コアのノートPC向けRyzen 9を搭載し、メモリも32GB、SSDも1TBと充実したスペックのミニPCです。
目次(見たいところからチェック!)
- 本記事は広告およびアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。
GMKtec Nucbox M7 Proのスペック
OS | Windows 11 Pro |
---|---|
CPU | AMD Ryzen 9 PRO 6950H |
GPU(CPU内蔵) | Radeon 680M(12 core) |
RAM | DDR5-4800 SO-DIMM 32 GB(64GB Max) |
ストレージ | M.2 SSD 1TB |
インターフェイス | HDMI 2.0 × 1 DisplayPort 2.0 × 1 USB4 × 2 OCuLink(PCIe 4.0×4) × 1 2.5Gbps RJ-45 × 2 USB 3.0 × 2 USB 2.0 × 2 3.5 mm オーディオミニプラグ × 1 |
通信 | Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2、2.5Gbps Ethernet × 2 |
電源 | ACアダプタ 19V⎓6.32A 120W |
サイズ | 約 132 × 125 × 58 mm |
重量 | 約**g |
本体
白い箱に入っていました。中にはM7 Pro本体、電源アダプタ、VESAマウントへの取り付け用金具、HDMIケーブル、説明書などの紙類が入っていました。
インターフェイス
インターフェイスは、前面(電源ボタンのある側)は左から
- OCuLinkポート
- USB4のUSB Type-Cポート × 1
- USB 3.2 Gen 2のUSB Standard-Aポート × 2
- 3.5mm のオーディオミニプラグ × 1
があり、一番右に電源ボタンがあります。
OCuLinkは、PCIe 4.0×4が直接引き出されているポートです。こういったミニPCに外付けGPUを接続する際、これまではThunderboltやUSB4などを経由する方法が採られていましたが、この場合ボトルネックが発生する可能性があるほか、相性問題が発生しやすいなどのデメリットがありました。OCuLinkだと、これらの問題の発生確率が低くなります。ただ私はOCuLinkのドックを持っていないので、今回は試せていません。
背面には、左から
- USB 2.0のUSB Standard-Aポート × 2
- HDMIポート × 1
- DisplayPort × 1
- 2.5Gbpsに対応したEthernetポート × 2
- USB4のUSB Type-Cポート × 1
- 電源入力端子 × 1
があります。ちなみに、前面、背面のUSB Type-CポートはUSB PDにも対応していて、例えばモバイルディスプレイにはUSBケーブル1本で給電も映像出力も可能です。
内部
天面の半透明の板は、左に回すと取れます。この板を取ったうえで、その下にあるネジも外すと、メモリやSSDがある内部にアクセスできます。ドライバーさえあれば簡単にアクセスできるようになっています。
ここからSSDやメモリを換装可能です。このモデルは最初から十分な容量のメモリとSSDが装備されていますが、増設したくなっても簡単に増設が可能です。また、M.2スロットは1つ空いているので、SSDを追加することもできます。
CPUなどがあるのは反対側で、そちらはアクセスするのは簡単ではありません。
SSD
SSDは、ZETTASTONEというメーカーのSSDが使われていました。
パフォーマンス
Zen 3+アーキテクチャのRyzen 9 PRO 6950Hを搭載した本機。なんとなく高性能なことは分かるかもしれませんが、具体的な性能を知るために定番のベンチマークを行いました。結果は以下の通りです。
CINEBENCH R23
CINEBENCH R23のスコアはマルチコアが13172、シングルコアが1561でした。私がメインで使っている自作PCのCPU(Ryzen 5 3600、6コア12スレッド)がマルチコアで7585、シングルで1143というスコアなので、それよりも格段に性能が高いことになります。マルチコアでは倍近いスコアを記録しています。
ドラゴンクエストX
ドラゴンクエストXのベンチマークは、フルHDの最高品質、フルスクリーンで12145のスコア。「すごく快適」の評価でした。今となっては軽めの部類のゲームなので、余裕でプレイできますね。
ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー
ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシーのベンチマークは、フルHDのノートPC向け高品質、フルスクリーンで、動的解像度を無効化して計測しました。その結果、スコアは5228で、「普通」の評価でした。このゲームはCPU内蔵グラフィックスには重いゲームですので、健闘したほうではないかと思います。
ストレージ
標準搭載のSSDの速度を計測してみました。今回はSSDのベンチマークが目的ではないので、CrystalDiskMarkで一回だけ測定しています。
結果はシーケンシャルリードが3541 MB/s、シーケンシャルライトが3143 MB/sとなりました。PCIe 3.0×4のSSDの速度としては一般的なものでしょうか。
生成AI(LLM)
本機はメモリが32GBと潤沢なので、ローカルLLM(SLM)も動作させることができます(特にメーカーがアピールしているわけではありませんが)。そこで、ローカルLLMを動かせるLM Studioというソフトを使って、ChatGPTのような言語モデルを使ったときの返答速度を測ってみます(私自身初めてベンチマークに用いるので、色々と荒い部分があるかと思います。参考程度にご覧ください)。AIモデルにEZO-Common-9B-gemma-2-it-Q5_K_M.ggufを用いて全く同じプロンプト(指示文)を10回入力し、AIの回答速度の平均を出してみました。GPUオフロードは5、最大トークン数は4096トークンにしています。その結果が以下です。
パラメータ数(モデルの大きさ)が9BのモデルをCPUで動かすのは少ししんどい部分があるのですが、それでも4token/sくらいの速度は出ていたので、対話型AIを使う観点でも及第点の速度は出ていると思います(GIF画像が実際の速度に近いです)。もちろん、より軽いモデルならもっと軽々動作します。
実際に使ってみて
OS
OSはWindows 11のPro版がインストールされています。機能制限がなく快適そのものです。
一部のミニPCではOSのライセンスがボリュームライセンスになっている場合があると言われるので、念の為Windowsのライセンスを「slmgr /dli」コマンドで確認してみました。結果は上記画像の通りで、しっかりOEMライセンスで問題ありませんでした。
初回セットアップ時、Microsoftアカウントでのログインを求められなかったので驚きました。特に何もしていないのですが…
動作音
動作音は、負荷のかかる作業をしていなければ静かです。負荷をかけても、一般的なノートPCでちょっと熱くなったときくらいの音量で、音も低めなので、そこまで気になるほどのものではありません。ただ、逆に低負荷時に、共鳴してしまうのか少し高い音が鳴ってしまうので、天面を押さえるために放熱の邪魔にならない程度に何かを乗せておくのがいいかもしれません。
ゲーム
Euro Truck Simulator 2をプレイしてみました。解像度はWQHD(2560×1440)で、影などの設定を落として(HIGH設定)のプレイでしたが、特にカクつくことなくプレイできました。あまり動きの激しいゲームでなければ、設定次第でプレイできそうです。
画像編集
今回はミラーレス一眼で撮った画像があったので、それをレタッチしてみました。SONY公式の編集ソフトであるImaging Edgeを使っているのですが、自分の自作PCよりCPU性能が高いだけあって、パラメーターを変更しても全然重くないので快適そのものでした。今度からこっちでやろうかと画策中です。
電源
2つあるUSB Type-Cポートの両方がUSB PDに対応しているので、USB PD経由でM7 Pro自体を動作させることも可能です。USB PDで給電できるモバイルディスプレイと併用すれば、ケーブルは2本で済みます。私も最初はこの方法で使おうと思っていたのですが、充電器との相性が悪いのか、起動中に唐突に落ちてしまうことが何度かあり、結局ミニPCへの給電をUSB PD経由で行うのは諦めました。起動などに特に問題はなく、調子良く使ってる最中に急に落ちちゃうんですよね…
ちなみに電源は100Wでは足りず、140W以上の給電に対応したUSB PD充電器が必要なので、そもそもそんな充電器が無いという方のほうが多いかもしれません(今回は手持ちにこの条件に合致する充電器がありました)。
まとめ
いくら性能が高いミニPCといっても、流石にデスクトップPCに下剋上することはないだろうと内心思っていたのですが、その予想を見事に上回ってくれるミニPCでした。型落ちとはいえZen 2のデスクトップ向けCPUなので、負けるにしてもボロ負けではないだろう、と思っていたのですが、実際には倍近く差がありました。
最近流行りのローカルAIも動かせますし、最新のCPUではないとはいえその分価格も低めになっているので、機能と性能によっては十分選択肢に入ってくるバランスのミニPCです。