ASUSのプレミアムスマートフォン「Zenfone 11 Ultra」を先行レビュー用にお借りしました。
Zenfone 10までとはデザインもコンセプトも一新されて、日常での使いやすさとスペックがどちらも揃ったスマートフォンに仕上がっています。試用できた期間は10日間ほどだったのですが、この間に感じたZenfone 11 Ultraの良いところ・イマイチなところをレビューします。
目次(見たいところからチェック!)
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Zenfone 11 Ultraの概要
Zenfone 10は6.78インチディスプレイにSnapdragon 8 Gen 3を搭載し、防水、おサイフケータイに対応、イヤホンジャックもある、日常で使いやすいハイスペックなスマートフォンです。RAMとストレージは12GB/256GB、16GB/512GBのバリエーションがあります。
カラーはミスティグレー、スカイラインブルー、エターナルブラック、デザートサンドの4色です。今回はエターナルブラックの16GB/512GBモデルをお借りしています。
外観:デザインが一新
Zenfone 11 UltraのデザインはZenfone 10までから一新されました。どちらかといえばZenfone 8に近いですね。
背面は光沢がありながらマットな仕上がりで、指紋もつきにくくなっています。背面株にはASUSのロゴでもあるAモノグラムのラインが浮かび上がります。ASUSのノートPC「Zenbook」のデザインとも似ていますね。
このマットな背面に光沢のあるAモノグラムが、上品さと高級感を出しています。ここはかなりカッコいいです。
サイドはリサイクル素材を使ったアルミニウムです。背面にかけて丸みがあるので、大きさのわりに持ちやすく、手にすっぽりと収まります。
上側には特に何もなく、下側にUSBポート、SIMスロット、スピーカー、3.5mmイヤホンジャックが並んでいます。USBポートが中央にないのは好き嫌いが分かれるかもしれませんね。
右側面には電源ボタンと音量ボタンがあります。Zenfone 10では電源ボタンが指紋センサーを兼任していましたが、Zenfone 11 Ultraは画面内指紋センサーになっています。
背面カメラはなかなかの存在感です。測ってみると3.8mmほどの厚みでした。
6.78インチ画面で横幅76.8mmのわりには、手に持ってみると持ちやすさを感じます。先にも書きましたが側面から背面へのカーブがちょうどいい具合なのだと思います。
付属のケースは内側にもAモノグラムが描かれてるなど、見えなくなる場所にも手を抜いてません。
ケースのデザインは元々の背面と同じくAモノグラムが大きく描かれたものです。材質の違いで手触りこそ変わりますが、ケースをつける前後でデザインはほとんど変わりません。
内容物は本体のほか、ケースとSIMピン、USBケーブルと書類です。最近のスマホ業界全体の流れでもありますが、パッケージは再生紙や大豆由来インクを使用しパルプ使用量を36%削減し、プラスチックを94%削減したエコなものになっています。ちなみに、サイドのフレームやフロントパネル、同梱ケースに関してもリサイクル素材が使われています。
スペックとパフォーマンス
Zenfone 11 Ultraの主なスペックは以下のとおりです。
OS | Android 14 (Zen UI) |
---|---|
CPU | Qualcomm Snapdragon 8 Gen 3 |
RAMとストレージ | 12GB/256GB, 16GB/512GB |
ディスプレイ | 6.78インチ 2400×1080 (FHD+) AMOLED リフレッシュレート1~120Hz、最大144Hz |
メインカメラ | 5,000万画素 広角カメラ (35mm換算:23.8mm相当/F値1.9) 1,300万画素 超広角カメラ (35mm換算:12.7mm相当/F値2.2/120°) 3,200万画素 望遠カメラ (35mm換算:65.3mm相当/F値2.4) |
フロントカメラ | 3,200万画素カメラ (35mm換算:22mm相当/F値2.05) |
バッテリー | 5,500mAh 急速充電65W、Qiワイヤレス充電(15W)に対応 |
サイズ | 約163.8 × 76.8 × 8.9 mm |
重量 | 225g |
生体認証 | 指紋(画面内)、顔 |
防水防塵 | IP65/IP68 |
SIM | nanoSIM×2 |
対応バンド | 5G: n1/n2/n3/n5/n7/n8/n12/n18/n20/n25/n26/n28/n38/n40/n41/n48/n66/n77/n78/n79 FDD-LTE: B1/B2/B3/B4/B5/B7/B8/B12/B17/B18/B19/B20/B25/B26/B28/B32/B66 TD-LTE: B34/B38/B39/B40/B41/B42/B43/B48 キャリアアグリゲーション: 7CA(DL)/2CA(UL) 対応 W-CDMA: B1/B2/B4/B5/B6/B8/B19 |
サウンド規格 | Hi-Res、Hi-Res Wireless、Dirac Virtuo |
その他 | イヤホンジャック、おサイフケータイ |
より詳しいスペックは公式サイトをご覧ください。
ベンチマーク
AnTuTu Benchmark(v10.2.8)での結果は3回の平均で1,995,000点でした。3回連続で実施すると20万点以上スコアが下がっています。また、発熱もかなりあり、3回実施後はちょっと持ってられないくらいに熱くなっていました。
- Zenfone 11 Ultraはパフォーマンスを切り替える「システムモード」があり、ベンチマークアプリを起動すると「高性能(ハイパフォーマンス)」モードになります。なので上記結果は「高性能」モード時のものです。
当サイトの環境だと上記の通り3回でスコアがどんどん下がったのですが、同様の検証を行ったガルマックスさん(→記事)の場合は210万点ほどで安定しているようです。これはどうやら実施環境の違いが影響しているようです。
私の環境は実施当時室温29℃くらいで、ガルマックスさんの場合は室温26℃ 湿度50%くらいとのことです。
Zenfone 11 UltraではAnTuTuで温度が表示されなかったので詳しいことはわかりませんが、本機の場合は26℃から29℃の間くらいで壁があるのかもしれません。スマホはできるだけ涼しいところで操作するようにしましょう。
その他ベンチマークの結果は、Geekbench 6がシングルで2,257点、マルチで7,017点、3DmarkはWild Life Extremeで5,221点、PCMarkのWork 3.0 performanceは22,810点でした。
似た点数のほかのスマホと比べると以下の通り。
SoC | Antutu | Geekbench | 3DMark | PCMark | ||
---|---|---|---|---|---|---|
RAM | Single | Multi | ||||
ROG Phone 8 Pro (X) | SD8 Gen3 16GB |
2199263 | 2299 | 7172 | 5234 | 22804 |
Zenfone 11 Ultra | SD8 Gen3 16GB |
2128659 | 2257 | 7017 | 5221 | 22810 |
ROG Phone 8 Pro | SD8 Gen3 16GB |
1728920 | 1316 | 6474 | 4492 | 14206 |
Zenfone 10 | SD8 Gen2 16GB |
1619152 | 2033 | 5654 | 3732 | 19588 |
Zenfone 9 | SD8+ Gen1 8GB |
1275791 | 1780 | 4527 | 2797 | 16989 |
- GeekbenchはCPUの性能を、3DMarkはグラフィック性能、PCMarkはWeb閲覧など基本的な作業に関する性能を測るベンチマークアプリです。
カメラ
Zenfone 11 Ultraの背面カメラは50MP広角カメラ (F値1.9)、13MP超広角カメラ (120°)、32MP望遠カメラ (F値2.4)のトリプルカメラです。
カメラアプリはシンプルで使いやすいです。水平バー(下向きのときは真俯瞰を示す+印)も表示されるほか、ズームは0.7、1x、2x、3xをワンタップで切替可能、スワイプで細かく倍率を切り替える(最大30x)ことも可能です。
画面下に表示されるモード変更ボタンを自分でカスタマイズできるのもGoodです。基本の写真、動画のほかにはスローモーション、タイムラプス、ポートレート動画、ポートレート、夜景、ライトトレイル、PROモード、パノラマ、PROビデオの機能があります。
設定ではグリッド表示やウォーターマークなどがあります。
実際に撮った写真をいくつか掲載します。
バッテリー
Zenfone 11 Ultraのバッテリーは5,500mAhです。65Wの急速充電のほか、15Wのワイヤレス充電にも対応します。
画面の輝度を100-105ルクスに調整し、『PCMark』のバッテリーテストを行ったところ、100%→20%まで11時間59分でした。Zenfone 10に比べ画面が大きくなったもののバッテリー容量も増えているので、電池持ちはむしろ改善されています。
上記のテストは「高性能」モードでの結果です。システムモードを「ダイナミック」や「省電力」、「超省電力」にすれば、もっと持つはずでしょう。
また、充電時はROG Phoneにもある「バイパス充電」が使えるようになりました。これはシステムに直接電源を供給し、バッテリーには充電しないというものです。ゲームをやるときにバイパス充電を使うことで、充電による発熱を防ぐことができ、もちろんバッテリー切れの心配もありません。
Zenfone 11 UltraとROG Phone 8
ASUSにはZenfoneのほかにゲーミングスマホのROG Phoneが存在します。今回のZenfone 11 Ultraはスペックや筐体を見るとROG Phone 8とかなり似ています。
というのも、そもそもROG Phone 8シリーズのハードウェアをベースにして、そこにZenfoneの使いやすさを考えて開発されたのがZenfone 11 Ultraなのだそうです。
ではROG Phone 8とZenfone 11 Ultraで違いはどこにあるのか?というと主に以下のような点です。
- Zen UIとROG UI
- Zenfone 11 Ultraの背面は光らない
- 側面にもUSBポートがあるのはROG Phone 8のみ
- Armoury Crateとそれによる機能はROG Phone 8のみ
- 急速冷却用ヒートシンク、AirTrigger(感圧式ボタン)はROG Phone 8のみ搭載
- 外付けクーラーユニット「AeroActive Cooler X」はROG Phone 8のみ対応
多くの点で共通していますが、ROG Phone 8はよりゲームに特化した機能があり、特に放熱システムで違いがあるということです。ゲームの快適さを求めるならROG Phone 8、そうでないならZenfone 11 Ultraという棲み分けでしょうか。
おそらく共通化することによってコストの削減などがあると思われます。ただ逆にこれまでの「ゲーミング特化」「コンパクトハイエンド」という尖った特徴、差別化はなくなってしまいました。良く言えば多くの人に使いやすいスマートフォンとも言えます。
Zenfone 11 Ultraの良かったところイマイチなところ
Zenfone 11 Ultraをしばらく使ってみて感じた良かったところイマイチなところをまとめます。
- 光沢マットでサラサラな背面
- 確かなハイスペック
- バイパス充電に対応
- バッテリー持ちの改善
- ROG Phoneと同様に音が良い
- コンパクトではなくなった
- ROG Phoneとの差別化が乏しい
スペックが良くて大画面ながら持ちやすい、背面デザインも上品と、普通に良いスマートフォンだと感じました。日常での使いやすさというコンセプト通りですね。
バイパス充電に対応してくれたのも嬉しいです。Zenfone 10でワイヤレス充電に対応して、11 Ultraでバイパス充電対応。着実に使いやすくなっています。
イマイチなところとしては、やはりZenfone 10と比べてしまうとかなりサイズ差があることでしょうか。ただまぁそこは良し悪しではなく好みの問題ですね。
まとめ
個人的にはコンパクトハイエンドではなくなってしまったのが残念です。ただ、それはそれとして本機を単体で見れば良いスマートフォンだと感じます。大きさ重さはあるものの意外と持ちやすいですし、いくつかの機能ではAndroid標準とASUSオリジナルで選択できるといった相変わらずの使い勝手の良さもあります。
以前ROG Phone 8 ProのレビューにてROG Phone 8シリーズは今後のROG Phoneの分岐点になる、そんな予感がします
と書いたのですが、まさかASUSのスマホ全体の分岐点だったとは驚きました。ASUSのこの選択がどんな結果になるのか、楽しみですね。
でもやっぱりコンパクトハイエンドも欲しいので1年毎にコンパクトと大画面を切り替えて出してくれないかなぁ?と淡い期待を抱いてしまいます。
参考情報
本記事に記載された内容は記事公開時点のものであり、必ずしも最新の情報とは限りません。記事をご覧いただく際には、最新の情報を確認するようお願いいたします。
OREFOLDER編集長。
1979年静岡県清水市生まれ、現静岡市清水区在住。
様々な巡り合わせから、このサイト1本で生活してる氷河期世代の一人。ガジェットに限らず広く浅く様々なものに興味があります。
スマートフォンは2010年にXperia SO-01Bを買ったのが最初。同時にb-mobile U300で格安SIMも始めました。これまでに数百台のスマホを手にし、格安SIMも常時20種類以上契約しています。