格安SIMの速度測定 2021年6月前半:b-mobileが落ちて日本通信SIMは上がってきた

大手キャリアに比べて月額料金が安くて人気なのが「格安SIM」です。格安SIMはたくさんの会社があり、速度や使いやすさ、機能は異なってきます。その中でも最もわかりやすく比較できる重要なものが「通信速度」です。

OREFOLDERでは月に2回、主な格安SIMをスピードテストアプリを使って実際に速度測定し、比較しています。あくまで個人レベルでの測定になりますが、格安SIM選びの参考になれば幸いです。

今回は2021年6月前半編です。実際に使用した格安SIMは20種類で、茨城県つくば市にて通勤時間帯やお昼の混雑時間帯に測定しています。なお、これらのSIMはすべて個人で実際に契約しているものであり、特定の会社等から提供を受けたものではありません。

今回のポイント
  • 昼でもそれなりの速度
  • ワイモバイルがちょっと速度を落としてる?
  • b-mobileのドコモ回線が落ちてきてる(日本通信SIMは元気)

今回の測定は6月7日に行いました。今回は2日間に分けずに全部1日でまとめました。これまでと特に違いはないと思いますが。

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測定方法など

測定方法

測定は以下のようにして行いました。

日時 2021年6月7日(8時・12時・18時の3回実施)
場所 茨城県つくば市
測定アプリ Speedtest.net
5GMARK
測定方法 SIMごとに3回ずつ測定し、(3回の合計値+中央値×2)/5を値とする。それとは別に昼に5GMARKでのフルテスト
使用端末 AQUOS sense3 basic×20台
使用したSIM
  • ahamo(ドコモ回線)
  • IIJmio(ドコモ回線・au回線)
  • y.u mobile(ドコモ回線)
  • OCNモバイルONE(ドコモ回線)
  • BIGLOBEモバイル(ドコモ回線・au回線)
  • b-mobile(ドコモ回線・ソフトバンク回線)
  • 日本通信SIM(ドコモ回線)
  • nuroモバイル(ドコモ回線・au回線・ソフトバンク回線)
  • mineo(ドコモ回線・au回線・ソフトバンク回線)
  • UQ mobile(au回線)
  • povo(au回線)
  • Y!mobile(ソフトバンク回線)
  • LINEMO(ソフトバンク回線)

測定の正確さや意義について

測定用アプリや測定環境など、もっと正確なものがあると考える方もいらっしゃるでしょうが、ある程度の妥協を重ねて今の形になっています。これらについて、これでは意味が無いとお考えの方もいるでしょうが、それならそういうものとして見てください。

(基本的に、多くの人が使っていて自分の場合と比べやすく、またパッと見で分かりやすいものを選んでます。正確性などを考えればもっとやり方はありますし、そうやっているサイトもほかにたくさんあります。ぜひそういったより正確なデータもご覧ください。)

測定アプリについて

現在は『Speedtest.net』と『5GMARK』の2つのアプリを使って測定しています。『Speedtest.net』は広く使われているメジャーな測定アプリです。しかし、このアプリだけだと実際の利用における体感速度と離れた結果が出る格安SIMが出てきました。

『5GMARK』のフルテストはYouTube動画やウェブページなどの読み込みをテストに組み入れており、より実際の使用環境に近い形でのテストが可能です。ただし通信量も多いので、当サイトの測定では『5GMARK』は昼に1回のみ行っています。

朝:8時05分~20分ごろ

DOWN (Mbps) UP (Mbps) PING (ms)
ahamo 47.98 8.39 33.2
IIJmio-D 63.52 11.04 51.0
y.u mobile 45.82 8.49 36.2
OCNモバイルONE 50.64 9.51 29.0
BIGLOBE-D 46.06 14.88 37.2
b-mobile-D 58.22 12.56 36.0
日本通信SIM 50.20 8.06 37.2
nuroモバイル-D 21.92 13.20 53.8
mineo-D 44.80 13.12 49.2
povo 18.34 1.39 26.8
UQ mobile 15.48 6.37 25.0
IIJmio-A 7.66 1.88 41.6
BIGLOBE-A 9.23 0.99 32.6
nuroモバイル-A 12.20 2.04 33.4
mineo-A 9.25 1.71 39.6
LINEMO 16.34 17.40 16.2
ワイモバイル 14.62 10.60 18.2
b-mobile S 18.50 6.13 19.8
nuroモバイル S 9.44 9.26 27.2
mineo-S 13.09 9.19 52.6

朝は通勤時間帯ということもあり比較的混雑する時間帯です。だいたい3Mbps以上出ていれば特に不満なく通信できると思いますが、最近ではどのSIMも快適に通信できるだけの値を出しています。

グラフを見るとドコモ回線>ソフトバンク回線>au回線のようにも見えますが、これは地域性もあるので、測定した地域が全体的にそうなんだと捉えるくらいにしてください。

昼:12時15分~25分ごろ

DOWN (Mbps) UP (Mbps) PING (ms)
ahamo 47.84 7.24 31.2
IIJmio-D 2.18 5.70 110.4
y.u mobile 41.62 9.71 34.2
OCNモバイルONE 40.38 11.22 48.0
BIGLOBE-D 15.30 6.87 43.0
b-mobile-D 2.32 13.48 298.0
日本通信SIM 29.53 7.45 259.8
nuroモバイル-D 12.88 11.30 63.8
mineo-D 5.82 9.09 78.2
povo 4.47 2.14 21.8
UQ mobile 5.58 1.41 24.2
IIJmio-A 9.41 0.83 42.6
BIGLOBE-A 5.88 2.72 28.2
nuroモバイル-A 3.75 2.29 25.6
mineo-A 4.63 2.83 82.8
LINEMO 37.78 4.85 17.0
ワイモバイル 20.40 7.65 18.2
b-mobile S 27.52 8.23 46.6
nuroモバイル S 3.75 7.95 72.0
mineo-S 7.39 15.34 88.4

平日の昼は、一番速度が落ち込む時間帯です。…なのですが、今回もどのSIMでもかなり良い値を出しています。緊急事態宣言が出ていたり、そういった世の流れのせいだとは思います。

夕方:18時10分~20分ごろ

DOWN (Mbps) UP (Mbps) PING (ms)
ahamo 35.90 9.64 30.6
IIJmio-D 24.08 6.94 85.8
y.u mobile 30.00 9.12 34.8
OCNモバイルONE 32.54 9.16 33.4
BIGLOBE-D 34.62 8.61 34.4
b-mobile-D 56.68 9.48 37.0
日本通信SIM 54.08 4.46 35.8
nuroモバイル-D 35.78 8.62 38.0
mineo-D 35.00 11.13 77.6
povo 12.74 1.00 28.0
UQ mobile 11.69 3.39 31.2
IIJmio-A 9.56 2.89 45.8
BIGLOBE-A 4.28 1.43 25.8
nuroモバイル-A 10.44 2.98 27.6
mineo-A 11.52 4.84 71.8
LINEMO 19.96 6.64 16.8
ワイモバイル 16.04 13.16 18.0
b-mobile S 18.34 7.97 21.8
nuroモバイル S 12.65 11.56 21.0
mineo-S 16.10 16.16 80.2

この時間帯も家に帰る人などが多く、混雑時間帯の1つでした。しかし最近はどのSIMも十分な速度が出るようになっています。だいたい朝と似たような傾向で、そこまで遅いところはほとんどありません。
逆に言えば、朝もこの時間も遅い格安SIMは速さに期待しないほうが良いです。

時間帯別グラフ

V字型になってるのが多いのは変わりませんが、これまでは昼に1Mbps程度で固まっていたものが5Mbps程度まで上がっています。どのSIMでも十分使える速度になっています。

というか、以前に比べるとだいぶカオスになってきてますね…。

DOWN 8時 12時 18時
ahamo 47.98 47.84 35.90
IIJmio-D 63.52 2.18 24.08
y.u mobile 45.82 41.62 30.00
OCNモバイルONE 50.64 40.38 32.54
BIGLOBE-D 46.06 15.30 34.62
b-mobile-D 58.22 2.32 56.68
日本通信SIM 50.20 29.53 54.08
nuroモバイル-D 21.92 12.88 35.78
mineo-D 44.80 5.82 35.00
povo 18.34 4.47 12.74
UQ mobile 15.48 5.58 11.69
IIJmio-A 7.66 9.41 9.56
BIGLOBE-A 9.23 5.88 4.28
nuroモバイル-A 12.20 3.75 10.44
mineo-A 9.25 4.63 11.52
LINEMO 16.34 37.78 19.96
ワイモバイル 14.62 20.40 16.04
b-mobile S 18.50 27.52 18.34
nuroモバイル S 9.44 3.75 12.65
mineo-S 13.09 7.39 16.10
左:ドコモ回線 中:au回線 右:ソフトバンク回線
左:IIJmio(D) 中:mineo(A) 右:LINEMO(S)

もう1つ、5GMARKの結果をみてみましょう。

昼:5GMARK結果

POINT DOWN
(Mbps)
UP
(Mbps)
PING
(ms)
YouTube
(s)
WEB
(s)
ahamo 16127 24.6 6.3 49 1.7 2.2
IIJmio-D 985 2.0 2.03 121 4.1
y.u mobile 1993 0.9 5.91 89 2.3
OCNモバイルONE 12494 18.8 11.01 72 6.2 3.2
BIGLOBE-D 7936 11.5 6.85 74 2.4 3.5
b-mobile-D 2806 0.9 13.02 167 4.3
日本通信SIM 386 0.2 1.26 360 4.1 5.7
nuroモバイル-D 12830 23.0 4.61 111 2.5 3.1
mineo-D 1372 0.5 10.49 290 4.6
povo 1282 1.6 2.3 83 11.2 3.4
UQ mobile 1751 3.2 1.51 79 3.3
IIJmio-A 7563 13.8 0.7 136 5.0 2.9
BIGLOBE-A 645 1.0 2.72 69 5.0
nuroモバイル-A 1007 1.3 2.48 81 13.6 4.0
mineo-A 194 0.4 1.17 86 4.3
LINEMO 15194 22.3 8.44 79 4.2 1.9
ワイモバイル 13424 22.7 4.39 41 1.9
b-mobile S 14638 23.1 9.6 79 2.1
nuroモバイル S 1968 0.8 7.25 855 8.7 3.5
mineo-S 1649 0.6 14.64 254 3.7

5GMARKでは通常のスピードテストのほかにYouTube動画や各種ウェブサイトを読み込んでそれをポイントに反映させます。表中の「-」はタイムアウトで、時間内に読み込み完了できなかったことを示します。昼の時間帯にYouTube動画を読み込みできたドコモ系SIMは少なく、ここがポイントに大きく響いているようです。

Speedtest.netの結果ほどではりませんが、こちらも全体的に結果が良くなっています。

左:b-mobile(D) 中:BIGLOBEモバイル(A) 右:b-mobile(S)

なお、この5GMARKでもその値が絶対なわけではないので、適当に考えていたほうが良いとは思います。YouTubeが読み込めるかどうかでもだいぶポイント変わりそうですし。お昼のポイントが4桁に届けばちゃんと使える、500以下は使えたもんじゃない…くらいの感覚でいいでしょう。(3桁のポイント内での優劣は誤差のようなものです。あてにはなりません。)

やはりこの5GMARKで見ると速いところは速い、遅いところは遅いという差がハッキリわかります。1000ポイント以上あればそう困ることはないと思います。そのラインがだいたいの基準と思ったほうがいいでしょう。

格安SIM速度ランキング 2021年6月前半

今回の測定結果をランキング化してみました。

1位 ahamo 206.91 pt
2位 OCNモバイルONE 175.87 pt
3位 LINEMO 159.62 pt
4位 y.u mobile 141.02 pt
5位 nuroモバイル-S 132.33 pt
6位 日本通信SIM 116.82 pt
7位 ワイモバイル 108.01 pt
8位 nuroモバイル-D 98.04 pt
9位 BIGLOBE-D 96.98 pt
10位 b-mobile-D 61.10 pt
11位 mineo-A 55.63 pt
12位 mineo-D 51.03 pt
13位 IIJmio-D 43.76 pt
14位 mineo-S 35.65 pt
15位 UQ mobile 30.65 pt
16位 povo 27.89 pt
17位 b-mobile-S 24.78 pt
18位 IIJmio-A 22.25 pt
19位 BIGLOBE-A 21.79 pt
20位 nuroモバイル-A 20.53 pt

ポイントの算出方法は以下の通りです。昼の速度を重視してます。

(朝の下り速度 ÷ 2.5) + (昼の下り速度 × 2.5) + (夜の下り速度 ÷ 2.5) + (4Gmarkのポイント ÷ 300)

実感とそれほど違いは無いと思います。ただし、先にも書きましたが測定場所はau回線が弱いところなので、回線をまたがった比較はそれほど意味がないかもしれません。

このグラフは上位10個を抜き出したものです。最近は上位10位が近い値でゴチャゴチャになってますね。

なお、これはあくまで速度のみのランキングなので、それぞれの格安SIMにある速度以外の魅力も忘れないようにしてください。

2021年6月前半:雑感

  • なんとなくですが、Speedtest.netと5GMARKで結果の印象が変わってきたような…?まぁ5GMARKは一発勝負なのでだいぶブレはあるのですが。
  • ここ1,2ヶ月でワイモバイルが少し落ちてきたように感じます。まぁ遅いわけではないのですが、15-20Mbpsと微妙な(絶妙な?)速度を出してます。困ることはないと思いますが、今後どうなるか…。
  • b-mobileのドコモ回線が、お昼でかなり落ちてます。少し前までは昼でも結構な速度を出していたんですけどね。同じ日本通信の日本通信SIMは大丈夫ですが、今後要注意です。
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ahamoが速いのは当然として、やっぱりOCN モバイル ONEが今のところ一番のおすすめですかねぇ。

色々見て判断を

この記事ではそれぞれの格安SIMの速度を比較していますが、格安SIMの選択の基準は速度だけではありません。なので今どれがオススメかと考えると、絶対にこれ!と言えるものはありません。個々人の使い方によるのではないかと思います。昼間使わなければ、速度がそこまで落ちることもないでしょうし。それよりも各MVNOの施策や機能を見たほうがいいかもしれません。速度比較はあくまで検討するための材料の1つです。

MVNOの速度はけっこう浮き沈みがあります。その時々で最新の速度測定結果は把握しておきたいですね。場所などでも変わるものなので、できれば1つの数字に一喜一憂せずに、複数の結果を眺めてなんとなくの各社の傾向を掴んでもらえばと思います。

当サイト以外でも定期的に計測しているサイトがありますので、そちらも参考にしてみてください。

また、こうしたブログ等での計測報告以外でも、独自アプリで自動速度計測して掲載しているサイトもあります。

こちらは毎日1時間ごと(お昼は15分ごと)に計測して公開しています。すごい!うちもどうにかこう自動化できないものかと考えてますが、難しいですね。


OREFOLDERでは今後も月2回程度で測定していきたいと思っています。
過去1年の速度測定記事は以下からどうぞ。

本記事に記載された内容は記事公開時点のものであり、必ずしも最新の情報とは限りません。記事をご覧いただく際には、最新の情報を確認するようお願いいたします。

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OREFOLDER編集長。
1979年静岡県清水市生まれ、現静岡市清水区在住。

様々な巡り合わせから、このサイト1本で生活してる氷河期世代の一人。ガジェットに限らず広く浅く様々なものに興味があります。

スマートフォンは2010年にXperia SO-01Bを買ったのが最初。同時にb-mobile U300で格安SIMも始めました。これまでに数百台のスマホを手にし、格安SIMも常時20種類以上契約しています。

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