XPPenより、12インチのAndroidタブレット「Magic Drawing Pad」をレビュー用に提供していただきました。普通のAndroidタブレットではなく、イラスト作成に特化したドローイングパッドというカテゴリーになり、家でも外でも気軽にお絵かきできるタブレットです。
XPPenはこれまで主にPC向けのタブレット(板タブ)や液晶タブレット(液タブ)を展開してきました。どれも実際にお絵描きするにはPCなりスマホなりが必要だったわけですが、Magic Drawing PadはAndroid搭載タブレットなので端末単体で創作活動が可能です。
- 12.2インチで3:2、アンチグレアで紙のような描き味のディスプレイ
- 16,384段階の筆圧に対応した充電不要のスタイラスペンが付属
- 普通にAndroidタブレットとして利用可能
- 家でも外でも気が向いたらすぐに描ける
価格は2024年3月6日時点で78,990円です。決して安いとは言えない価格ですが、お絵かき特化の部分はもちろん、普通のAndroidタブレットとしてみても十分に使える性能を持っています。
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Magic Drawing Padの外観と付属品
Magic Drawing Padは本体の他に専用ケースが付属しています。
本体側の中身はタブレット本体の他に電源アダプターとUSBケーブル、2本指グローブとスタイラスペン、替え芯と芯抜き、SIMピンです。これに通常はクイックマニュアルも付属します。なお、SIMピンが付属しているものの、本端末はSIMカードに対応しているわけではなく、MicroSDカードのスロットを開けるためのピンです。
Magic Drawing Padのディスプレイはアンチグレアなガラスで、真上から写真を撮っても反射しません。素晴らしい。
上部にインカメラが2つあります。現時点でインカメラとして機能しているのは中央のものだけです。右側にあるカメラはバックアップ用で、現在はまだ使用できませんが、ソフトウェアの開発が完了次第、利用可能になる予定とのことです。
上側面にはマイク穴と音量ボタン。
下側面にはなにやら接続できそうな穴と端子があります。別売りキーボードでもあるのでしょうか。
追記:専用キーボードを開発中とのことです。
左側面に電源ボタンとスピーカー。
右側面にMicroSDカードのスロットとUSBポート、そしてスピーカーです。
背面に大きくXPPenのロゴ。こちらもサラサラとして指紋のつきにくい素材になっています。
カメラ部分はそれなりに出ています。お絵描き特化であれば背面カメラは必要ないのでは?とは思うものの、タブレット単体で写真を撮ってそれを下敷きトレースなんて言うこともできるので、あれば便利なのでしょう。
専用ケースは大部分が透明でロゴがそのまま見えます。
ケースには付属のX3 Pro ペン(X3 Pro Pencil)を収納できます。この部分が高くなっており、カメラ部分もしっかり守られています。
ペン部分の盛り上がりで、机の上に置けば若干の傾斜ができます。お絵描きしやすい傾斜というほどではないものの、若干ペンで描きやすくなっています。
16,384段階の筆圧に対応したX3 Pro Pencil
付属するX3 Pro Pencilは16,384段階の筆圧に対応したスタイラスペンです。EMR(電磁共鳴)技術を搭載し、紙にペンで描くような感覚を得られます。
また、Bluetooth接続ではなく、充電も必要ありません。描こうと思ったときにペンの充電切れで描き始められない…なんていうことはありません。
ペンを握る部分あたりにショートカットボタンが1つあります。ブラシや消しゴムなど、アプリでカスタマイズできる便利なキーです。
アンチグレアで描きやすいディスプレイ
Magic Drawing Padのディスプレイは12インチでアスペクト比は3:2です。X-Paperと名付けられたこのディスプレイはAGエッチング技術を採用し、低反射でサラサラしており、ペンで描くと紙のような摩擦・抵抗感があります。
最初はそういう保護フィルムが貼ってあるのかと思ったのですが、このディスプレイガラス自体がそういう加工になっているようです。なお、Magic Drawing Pad用の保護フィルムも各種発売されているので、それらを使うのもありです。
安物のタブレットなどでは、ディスプレイのガラスの厚みでペン先と実際に描画される部分にズレ(視差)が出ます。Magic Drawing Padではこれについては特に気になりませんでした。拡大してよーく見ると若干差があるようですが、その程度です。
ペンを素早く動かして描いてみると、さすがに遅延が少しあるかなぇ…と思ったのですが
プリインストールされていた『コンセプト』というアプリだとかなり遅延がなくて驚きました。
お絵描き用のアプリも標準インストール
Magic Drawing Padにはいくつかのお絵描き用アプリがプリインストールされています。中でも『アイビスペイントX』と『メディバンペイント』の2つは、ロック画面から起動できるショートカットに登録されており、ロック画面からすぐにお絵描きできるようになっています。(もちろんショートカットは変更可能)
ちなみに、アイビスペイントについては、Magic Drawing Padを購入して登録すると3ヶ月無料メンバーシップが付与されます。
また、お絵描き用タブレットの特徴的な機能として、クイック設定に「手書きタッチ」のスイッチがあります。通常はオンのこのボタンをタップしてオフにすると、タッチ操作が無効になりペン操作のみ受け付けるようになります。
ペンでお絵描きしてるときに手で誤動作しないための機能ですね。まぁ、右手でペン、左手で描画領域の移動やズーム…などやるのも便利なので、どちらが良いのかは人によると思います。
家でも外でも思いついたらすぐに描ける
Magic Drawing Padは単体で動作するお絵かきタブレットです。なので家でも外でも、気が向いたらすぐに描き始めることができます。この気軽さはかなり良いですね。
以前14インチの液晶タブレットもレビュー用で提供してもらったのですが、やはりそれを設置して描き始めるまでが面倒だったりしました。Magic Drawing Padなら、思いついたのならパッと取り出してすぐに描き始められます。
メーカーの方から「ぜひ外でも使ってみてくれ」と言われたので外でお絵描きしてみました。まだちょっと寒かったのですが、もっと暖かくなってきたら外でスケッチするのも良いかもしれませんね。春になると桜を描きにご老人が集まる川沿いの道が近くにあるのですよ。行ってみたくなりました。
Androidタブレットとしても十分使える性能
Magic Drawing Padはお絵描き向けのAndroidタブレットです。絵を描くだけでなく、普通にAndroidタブレットとして利用可能です。
スペックとしては、SoCにMediatek MT8771、8GBのRAMと256GBのストレージでMicroSDカードのカードに対応、ディスプレイは12インチで解像度は2160×1440、バッテリー容量は8,000mAhで18W急速充電に対応します。AndroidバージョンがAndroid 12なのがちょっと残念ですが、普通にタブレットとして十分なスペックを持っています。
各種ベンチマークの結果は、AnTuTu Benchmark(v10.2.1)が398,508点、Geekbench 6がシングルで753点、マルチで1,917点、3DmarkはWild Life Extremeで331点、PCMarkのWork 3.0 performanceは10,696点でした。
決して高性能というわけではないので高負荷なゲーム等には向きませんが、タブレットの用途を考えれば十分な性能があります。実際に操作していても、かなりキビキビ動いてくれる印象です。
OS | Android 12 |
---|---|
CPU | Mediatek MT8771 |
RAM | 8GB |
ストレージ | 256GB |
外部メモリ | microSDXC (最大512GBまで) |
ディスプレイ | 12.2インチ 2160×1440(3:2) 色:16.77万色、77% NTSC、109% sRGB、82% Adobe RGB 輝度:360 nit リフレッシュレート:60 Hz コントラスト比:1200:1 |
メインカメラ | 13MP |
フロントカメラ | 8MP |
バッテリー | 8,000mAh |
サイズ | 約279 x 192 x 6.9 mm |
重量 | 約599g |
生体認証 | 顔 |
防水防塵 | – |
まとめ:お絵描き用にも普通の用途にも、マルチに使えるタブレット
Androidタブレットでお絵描きしようと思うと、なかなか選択肢がないのが現状です。Galaxyなどのハイエンドタブレットならペンもありますし十分だとは思いますが、やはり高いですよね。
Magic Drawing Padはお絵描き特化なので、適したスペックと高性能なペンが付属、お絵描き用に作られたディスプレイなどもあって78,990円です。これはかなり良い選択肢だと思います。お絵描き用のタブレットならiPad一択、とも言われますが、これからは変わってくるかもしれませんね。
私もまた、いろいろお絵描きやってみようという気になってきました。