Zenfone 10 先行レビュー:手に馴染む!ワイヤレス充電に対応し、より完成度が上がったコンパクトハイエンド端末

ASUSの最新コンパクトハイエンドスマートフォン「Zenfone 10」を先行レビュー用にお借りしました。

Zenfone 10は前作のZenfone 9と同じくコンパクト端末でありながらハイエンドの性能を持ったスマートフォンです。前作でも完成度は高かったのですが、微妙に足りなかった部分を補強し、性能もさらに伸ばしています。試用できた期間は1週間ほどだったのですが、この間に感じたZenfone 10の良いところ・イマイチなところをレビューします。

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Zenfone 10の概要

  • 横幅68.1mmのコンパクトサイズ
  • SoCにSnapdragon 8 Gen 2搭載、最大16GBのRAMと最大512GBのストレージ
  • 5.9インチディスプレイ、リフレッシュレート144Hzに対応
  • 4300mAhバッテリー、ワイヤレス充電対応
  • メインカメラに6軸ハイブリッドジンバルスタビライザー2.0
  • 動画ではアダプティブEISで更なる手ぶれ補正
  • おサイフケータイ、IP68防水防塵

Zenfone 10は横幅68.1mmの手のひらサイズにSnapdragon 8 Gen 2を搭載したコンパクトハイエンドなスマートフォンです。RAMとストレージは8GB/128GB、8GB/256GB、16GB/512GBのバリエーションがあります。

カラーはミッドナイトブラック、コメットホワイト、スターリーブルー、エクリプスレッド、オーロラグリーンの5色。それぞれ宇宙に関連した名前がつけられています。

今回は16GB/512GBのエクリプスレッドをお借りしています。ただしこれはレビュー用の端末なので、実際に販売される16GB/512GBにエクリプスレッドはありません。

8GB/128GB ミッドナイトブラック
8GB/256GB ミッドナイトブラック、コメットホワイト、スターリーブルー、エクリプスレッド、オーロラグリーン
16GB/512GB ミッドナイトブラック、スターリーブルー

Zenfone 9からの主な変更点は以下の通り。

  • SoCがSnapdragon 8+ Gen 1→Snapdragon 8 Gen 2
  • 厚みが0.3mm増、重量が3g増
  • Qiワイヤレス充電に対応
  • リフレッシュレートが最大120Hz→最大144Hz

外観

Zenfone 10の外観はZenfone 9そっくりです。コンパクトなサイズに比較的大きめのカメラが2つあるので存在感あります。表面はザラザラしており滑りにくく、指紋も付きません。

ディスプレイは5.9インチです。ベゼルは下側がほんの少しだけ太くなっていますが、気になるほどではありません。

サイドは艶消しアルミ製のフレームで、丸みのないフラットな側面になっています。

上側面には3.5mmイヤホンジャック、下側面にはUSBポートとSIMスロットがあります。

右側面に音量ボタンと電源ボタンがあります。この電源ボタンは指紋センサーを兼用しており、ZenTouch 2.0という名称でスワイプなどにも機能を割り振れます。Zenfone 9ではここに1本ラインが入っていたのですがZenfone 10ではなくなっています。

横幅68.1mmなので片手で持ったときの収まりが良いです。指にも余裕があります。

Zenfone 9と並べてみると本当にそっくりです。同じ赤でもZenfone 10のほうが彩度が高く明るい赤になっています。また印刷された文字やASUSアイコンもクッキリしています。

内容物は本体の他に充電アダプタとUSBケーブル、SIMピンにプラケース、マニュアル類です。

ケースはハードタイプでプラスチッキー、高級感などはありませんが細かい傷などからは守ってくれそうです。

カメラ部分やディスプレイの縁は少し高くなっており、ちゃんと守ってくれます。

Zenfone 9とほぼ同じ形ですが、厚みが0.3mm増えたせいか公式のZenfone 9向けアクセサリはZenfone 10へ対応しません。ConnexケースはZenfone 10用のものが販売されます。

スペックとパフォーマンス

Zenfone 10の主なスペックは以下のとおりです。

OS Android 13
CPU Snapdragon 8 Gen 2
RAMとストレージ 8GB/128GB, 8GB/256GB, 16GB/512GB
外部メモリ
ディスプレイ 5.9インチ (20:9) 2400 x 1080 (AMOLED)
リフレッシュレート最大144Hz(144HzはGame Genieでのモバイルゲーム内のみ)
メインカメラ メイン(広角):
50MP IMX766 (35mm換算:23.8mm相当/F値1.9)

超広角:
13MP (35mm換算:12.5mm相当/F値2.2/120°)

フロントカメラ 32MP 広角 (35mm換算:29.4mm相当/F値2.4)
バッテリー 4300mAh
最大30W急速充電(Quick Charge 4.0/USB Power Delivery 3/0対応)、15Wワイヤレス充電対応
サイズ 146.5 x 68.1 x 9.4 mm
重量 172g
生体認証 指紋
防水防塵 IP65/IP68
SIM nano SIM ×2
対応バンド 5G NR n1/n2/n3/n5/n7/n8/n12/n20/n28/n38/n41/n77/n78
FDD-LTE B1/B2/B3/B4/B5/B7/B8/B12/B17/B18/B19/B20/B26/B28
TD-LTE B34/B38/B39/B40/B41/B42
キャリアアグリゲーション 7CA(DL)/2CA(UL) 対応
W-CDMA B1/B2/B4/B5/B6/B8/B19
GSM/EDGE 850/900/1,800/1,900MHz
カラー ミッドナイトブラック、コメットホワイト、スターリーブルー、エクリプスレッド、オーロラグリーン
その他 3.5mmイヤホンジャック、デュアルスピーカー

より詳しいスペックは公式サイトをご覧ください。

ベンチマーク

AnTuTu Benchmark(v10.0.7-OB7)での結果は3回の平均で1,561,453点でした。3回連続で実施すると温度が28℃→37℃→43℃→44℃と上がっていきました。温度上昇で10万点ほど下がってしまってますね。さすがに40℃を超えると持ってるのが辛いくらいには熱いです。

  • Zenfone 10ではパフォーマンスを切り替える「システムモード」があり、ベンチマークアプリを起動すると「高性能」モードになります。なので上記結果は「高性能」モード時のものです。

その他ベンチマークの結果は、Geekbench 6がシングルで2,033点、マルチで5,654点、3DmarkはWild Life Extremeで3,732点、PCMarkのWork 3.0 performanceは19,588点でした。

似た点数のほかのスマホと比べると以下の通り。

SoC Antutu Geekbench 3DMark PCMark
RAM Single Multi
Zenfone 10 SD8 G2
16GB
1619152 2033 5654 3732 19588
REDMAGIC 8 Pro SD8 G2
12GB
1565065 893 4647 3640 13282
Zenfone 9 SD8+ G1
8GB
1275791 1780 4527 2797 16989
Xperia 5 IV SD8 G1
8GB
950813 1693 4010 2332 15471
Pixel 7 Tensor G2
8GB
781947 1471 3324 1840 10511
  • GeekbenchはCPUの性能を、3DMarkはグラフィック性能、PCMarkはWeb閲覧など基本的な作業に関する性能を測るベンチマークアプリです。

数値の上でもZenfone 9からかなりパワーアップしているのがわかります。(RAMが8GBのモデルならもう少し下がると思いますが…。)

操作感

さすがにこのスペックがあって何かしら動作で困ることはありません。リフレッシュレート120Hzのディスプレイもあって、非常にヌルヌル動きます。(Zenfone 10のリフレッシュレートは最大144Hzですが、これはゲームプレイ中にGame Genieで設定した場合のみです。)

ただ、ゲームなどを長時間プレイしていると端末が熱くなってきます。背面はほんのり温かいという程度ですが、側面フレームはなかなか熱くなりますね…。

カメラ

Zenfone 10の背面カメラは50MP広角(F1.9)と13MP超広角(F2.2/120°)のデュアルカメラです。メインの広角カメラの方には手ぶれ補正として6軸ジンバルスタビライザー2.0と新機能のアダプティブEISが搭載されており、静止画や動画をよりブレの少ない状態で撮影できます。

カメラアプリはシンプルで使いやすいです。水平バー(下向きのときは真俯瞰を示す+印)も表示されるほか、ズームは2xと1xをワンタップで切替可能、スワイプで細かく倍率を切り替える(8xまで)ことも可能です。

画面下に表示されるモード変更ボタンを自分でカスタマイズできるのもGoodです。基本の写真、動画のほかにはスローモーション、タイムラプス、ポートレート、パノラマ、ライトトレイル、PROモード、PROビデオ、夜景の機能があります。

設定ではグリッド表示やウォーターマークなどがあります。

実際に撮った写真をいくつか掲載します。

通常撮影

左:2倍 右:4倍
左:6倍 右:8倍

ポートレート

超広角

通常と超広角とで色味などの違いはあまりありません。

生体認証

生体認証は顔認証と指紋認証に対応します。

指紋認証

Zenfone 10の指紋センサーはサイドに電源ボタン兼用で搭載されます。登録できる数は5つまでで、反応速度はまずまず。ちゃんとボタンを覆うように触れさえすればしっかり反応してくれます。

デフォルトではタッチではなく「押す」でないと反応しないようになっており、タッチだけで反応するか選択できます。

顔認証

顔認証は、マスク着用にも対応しています。「持ち上げたら画面オン」と一緒に使えば持ち上げただけでロック解除してすぐに使えます。解除の際に一瞬ロック画面が見えるくらいで、速度は申し分ないです。

バッテリー

Zenfone 10のバッテリーは4,300mAhです。バッテリー容量こそZenfone 9と同じですが、各種の省電力のおかげで+12.9%の電池寿命と謳われています。

画面の輝度を100-105ルクスに調整し、『PCMark』のバッテリーテストを行ったところ、100%→20%まで10時間49分でした。悪くはないのですが、めちゃくちゃバッテリー持つ、というわけではないですね。システムモードを「省電力」にすれば、もっと持つはずです。

いくつかの端末で比べてみると以下の通り。

バッテリー容量 PCMark
Xperia 5 IV 5,000mAh 12h 04min
Pixel 7 4,355mAh 11h 34min
Zenfone 10 4,300mAh 11h 19min
Zenfone 9 4,300mAh 10h 49min
Zenfone 8 4,000mAh 10h 39min

Qiワイヤレス充電に対応

Zenfone 10は有線の充電なら最大30Wの急速充電に対応しています。高速充電が自慢のスマホには叶いませんが、十分速いです。

また、Qiワイヤレス充電にも対応しています。Zenfone 9では未対応だったので、個人的にはこの変更点が一番嬉しいところ。ワイヤレスでも最大15Wに対応しているので(対応した充電器を使えば)十分実用的な速度で充電できます。

バッテリーケア

急いで充電したいときは急速充電が便利ですが、就寝時など時間があるときはバッテリーに負担をかけないように「低速充電」すると良いです。指定時刻近くに満充電するように「予約充電」したり、そもそも90%(または80%)以上充電されないようにも設定できます。

これらは通知から「1回スキップ」もできるので積極的に使っていきたいところ。あとはROG Phoneのようにバイパス充電(バッテリーに充電するのではなくシステム本体に直接電源を供給)があると嬉しかったのですが、さすがにないようです。

ZenUI

ZenfoneシリーズはZenUIを搭載します。純正のAndroidに近いUIを持ちながら、かゆいところに手が届いたり、カスタマイズできるのが特徴です。

クイック設定のパネルスタイルは「カプセル型」か「小さな円」から選択できます。

ジェスチャー操作も豊富で、画面オフ時に電源ボタンを2回押して写真を3枚撮ったり、背面タップにも機能を割り当てられます。

このほかにも、画面内にアプリをフローティング表示するエッジツール、アプリを複製するツインアプリ、スクリーンショット関連のカスタマイズ、画面を見ている間はスリープされないスマートスクリーン、片手モード、ゲーム関連機能をまとめたGame Genieなど、様々な機能があります。

Zenfone 10の良かったところイマイチなところ

良いところ
  • 手にすっぽり収まるコンパクトサイズ
  • ハイエンドな性能
  • ワイヤレス充電にも対応
  • 使いやすいZenUI
イマイチなところ
  • ゲームなどで側面がちょっと熱くなる
  • バッテリーを経由しない給電がない
  • microSDカード、eSIMに非対応

やっぱりこのサイズがしっくり来る

見た目的にはほとんどZenfone 9と変わっていないので、毎年買ってるような人だと驚きは少ないですが、安心できるサイズ感です。横幅68.1mmというのはやはり持ちやすくて良いです。

困ることがないハイエンドな性能

正直、私のスマホライフにとってはオーバースペックなのですが、性能が高くて困ることはほとんどありません。(バッテリー消費くらい?)

今このレベルを買っておけば、そこまで性能を求めない人であれば3年以上は問題なく使えるでしょう。2回のOSアップデートや4年間のセキュリティ対策が保証されているので、4年でもいけます。

ワイヤレス充電に対応してくれた

Zenfone 9と比較して個人的に最も大きかったのはワイヤレス充電対応です。机の上でちょっと充電する時、寝る前など、いちいちケーブルを抜き差しするのは面倒です。

これが対応してくれたことで、私にとってはコンパクトハイエンドのZenfoneが「完成」したと感じられました。

ないものねだりだけど

そこまで重要ではありませんが、microSDカードには対応していません。またeSIMも非対応です。まぁmicroSDカードは様々な要因で仕方ないかな、という気もします。でも今後を考えるとeSIMには対応してほしいですね。次のZenfoneに期待です。

まとめ

昨年のZenfone 9でコンパクトハイエンドとしてかなり良く、個人的にも購入して(他のレビュー端末がないときは)メインとして使用してきました。Zenfone 10になってスペックアップとワイヤレス充電で完成度がより高まったと感じます。

ただZenfone 9をすでに持っている場合は、買い替えするか悩ましいです。スペックアップ、ワイヤレス充電、手ブレ補正、バッテリー持ちの改善、どれも良いことではあるのですが、自分にとっての必須級でなければZenfone 9でも十分といえば十分です。(それだけZenfone 9は良かった)

コンパクトでしっかり使えるスマートフォンがほしい、Zenfone 9は持っていない、そんな人であれば迷うことなくオススメできます。

参考情報

  • 本記事に記載された内容は記事公開時点のものであり、必ずしも最新の情報とは限りません。記事をご覧いただく際には、最新の情報を確認するようお願いいたします。
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OREFOLDER編集長。
1979年静岡県清水市生まれ、現静岡市清水区在住。

様々な巡り合わせから、このサイト1本で生活してる氷河期世代の一人。ガジェットに限らず広く浅く様々なものに興味があります。

スマートフォンは2010年にXperia SO-01Bを買ったのが最初。同時にb-mobile U300で格安SIMも始めました。これまでに数百台のスマホを手にし、格安SIMも常時20種類以上契約しています。

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