Minisforum様より、サーバー向けミニPC（ミニワークステーション）「Minisforum MS-A2」をご提供いただきました。
Minisforum MS-A2は「AMD Ryzen 9 9955HX」を搭載したハイエンドモデルです。Zen 5アーキテクチャによる16コア32スレッド・最大5.4GHzの高性能なCPUに加えて、DDR5-5600 32GB×2のメモリ（最大96GBまで拡張可能）、1TBのNVMe SSDを搭載しています。
GPU性能は最低限でゲーム用途や動画編集には向かず、他のミニPCと比べてサイズが大きく消費電力も高めです。自宅にサーバーを立てたい、高性能やCPUと高い拡張性を活かせる用途に向いています。
執筆時点での価格は、64GB+1TBモデルが199,990円、ベアボーンキット（OSなし）は134,390円で購入可能です。
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Minisforum MS-A2のスペック
今回ご提供いただいたのは、Windows 11 Pro、AMD Ryzen 9 9955HX、64GB RAM、1TB SSDの構成です。この他にもAMD Ryzen 9 7945HX搭載モデル、OSなしのベアボーンキットも選べます。
3つのM.2 NVMe SSDスロットとU.2の対応（最大15TB）、ロープロファイルのPCIe x16スロット対応で拡張カードを組み込めます。10Gbps SFP+ポートと2.5Gbpsイーサネットポートを2基ずつ搭載し、NASサーバーとしての利用も想定された設計です。
HDMIとUSB-Cポート×2の合計3画面出力が可能で、無線機能はWi-Fi 6E、Bluetooth 5.2に対応しています。
| OS | ・Windows 11 Pro ・ベアボーン |
|---|---|
| CPU | ・AMD Ryzen™ 9 9955HX(Zen 5｜16 コア/32スレッド、64M L3キャッシュ、最大クロック数 5.4 GHz) ・AMD Ryzen™ 9 7945HX（Zen 4｜16 コア/32スレッド、64M L3キャッシュ、最大クロック数 5.4 GHz） |
| グラフィック | Radeon 610M (CU2コア、最大2.2GHz) |
| RAM | 64GB DDR5デュアルチャネル（SODIMMスロット×2、最大96GBまで） |
| ストレージ | 1TB ・M.2 2280/U.2 NVME SSD（最大15TB、PCIe 4.0×4） ・M.2 2280/22110 NVME SSD×2（最大4TB、PCIE4.0x4） |
| ストレージ拡張 | PCIE4.0 ×16スロット |
| イーサネット | ・10Gbps SFP+ LAN×2 ・2.5Gbps RJ45 LAN×2 |
| 映像出力 | ・HDMI 2.1 (8K@60Hz｜4K@144Hz) ・USB-C(8K@30Hz｜4K@144Hz)×2 |
| オーディオ出力 | HDMI / 3.5mm コンボ ジャック / USB-C×2 |
| インターフェース(前面) | ・3.5mmイヤホンジャック ・USB3.2 Gen1 Type-A（5Gbps）×2 ・USB2.0 Type-A |
| インターフェース(背面) | ・USB3.2 Gen2 Type-C（Alt DP2.0、10Gbps）×2 ・10G SFP+ポート×2 ・RJ45 2.5G イーサネットポート×2 ・USB3.2 Gen2 Type-A ポート (10Gbps） ・USB3.2 Gen1 Type-A ポート(5Gbps） ・HDMI 2.1 |
| 無線機能 | Wi-Fi 6E / Bluetooth 5.2 |
| 電源 | 19V ACアダプター (最大240W) |
| サイズ | 196×189×48mm |
| 重量 | 1.4kg |
外観とポート類
パッケージは製品写真や仕様が記載されています。
箱の中身は、PC本体、ACアダプター、電源ケーブル、HDMIケーブル、M.2 to U.2変換ボードとケーブル、取り付けネジ、説明書が入っています。
ケース本体は真っ黒で無骨なデザイン。
天面や底面に排気口が設けられており、前後のパネルはプラスチック、外周はアルミ製になっています。
サイズは196×189×48mm、重量1.4kgと小型PCの中ではやや大きめサイズですが、拡張性や性能を考えたら十分コンパクトだと思います。
前面には、電源ボタン、3.5mmジャック、USB3.1 Gen2（5Gbps）のType-A×2、USB 2.0のUSB-Aが1つ備わっています。
背面には、10G SFP+ポート×2、2.5Gbps イーサネットポート×2、USB3.2 Gen 2 Type-C×2、HDMI 2.1、USB3.2 Gen1 Type-A×2、電源端子を搭載。
電源アダプタは240Wで、サイズは170×79×40mmとかなり大きめ。重量は900g程度でした。
ツールレスで内部にアクセス可能
本体後ろのボタンを押してスライドすると、内部の各パーツにアクセスできます。
表面にはCPUクーラーとメモリスロットのほか、PCIe Gen4x16スロットが利用可能。ロープロファイルに対応したビデオカードを増設して、グラフィック性能を強化するのも良いでしょう。
裏面からはNVME SSDにアクセス可能で、+ドライバーがあれば簡単に取り外せます。左側のファンの下にもNVMe SSDが2つ空きがあり、最大で3つまで搭載可能です。
さらに、付属のNVMe SSD→U.2変換アダプタを利用すれば、サーバー向けのU.2 SSDも利用可能。小型のPCにしては拡張性が高く、後からメモリやストレージを拡張しやすい設計です。
Windows 11 Proを搭載
本製品はOSにWindows 11 Proを搭載しています。ライセンス情報を確認すると、OEM版（OEM_DM channel）が使われていました。
初期設定では日本語キーボードを接続しても英語配列になっているため、設定からキーボードレイアウトを日本語配列に変更する必要があります。
ベンチマークソフトのスコア
| Geekbench 6 | CPU シングル | 3018 |
|---|---|---|
| CPU マルチ | 18467 | |
| GPU OpenCL | 5467 | |
| GPU Vulkan | 7471 | |
| 3DMARK | Timespy | 773 |
| Steel Nomad Light | 584 | |
| PCMARK10 | SCORE | 6346 |
| Essentials | 10784 | |
| Productivity | 9970 | |
| Distal Content Creation | 6452 | |
| Cinebench | R23 マルチ | 30426 |
| R23 シングル | 2026 | |
| 2024 マルチ | 1733 | |
| 2024 シングル | 121 | |
| ファイナルファンタジーXIV ベンチマーク |
1920×1080 高品質 （デスクトップPC・ウィンドウ） |
1821 設定変更が必要 |
| 1920×1080 標準品質 （デスクトップPC・ウィンドウ） |
2283 設定変更を推奨 |
|
| ドラゴンクエストX ベンチマーク |
1920×1080 最高品質 ウィンドウ |
5402 快適 |
文書作成やブラウジング、簡単な画像編集などの用途ならとても快適に動作します。メモリも64GBと余裕があるため、ブラウザで大量のタブを開いたり、様々なアプリケーションを同時に立ち上げる用途に向いています。
内蔵グラフィックが「Radeon 610M」と必要最低限のため、3Dグラフィックのゲームや動画編集などには向いていません。
搭載されているストレージは「OM8TAP41024K1-A00」というものでした。
ストレージの速度の計測結果は、シーケンシャルリードが「6113.22/s」、シーケンシャルライトが「5338.03/s」と爆速でしたが、ランダムリードが「668.62/s」、ランダムライトが「583.13/s」でランダムアクセス性能はやや落ちる印象でした。
しばらく使ってみた感想
実際に1ヶ月程度使ってみました。筆者が運営しているブログの記事執筆、Visual Studio Codeを使ってWordPressのテーマの修正、ブラウジングや動画視聴、PhotoshopとLightroomの写真編集などを行っています。
筆者が使う用途であれば何の不満もなく快適に動作しました。ベンチマーク測定中や動画編集など、高負荷な作業をするとファンの音が大きくなりますが、ブラウジングや文書作成など軽めの作業中は静かに動作します。
筐体サイズがコンパクトなので、排熱やパフォーマンスに不安がありましたが心配無用でした。オフィスワークやWebサイト制作などの用途には持て余すほどの性能があります。
Minisforum MS-A2の総評
Minisforum MS-A2をレビューしました。最後にメリットとデメリットをまとめると下記の通りです。
- ミニPCとは思えないほど有り余る性能
- 豊富なポート類、最大3画面出力に対応
- SSDやメモリに簡単にアクセス可能
- 10Gbps SFP+ポート、ロープロファイルのPCIe x16スロットに対応
- USB-CがUSB4（Thunderbolt）非対応
- グラフィック性能は必要最低限
- 動作音（ファン）が気になるかも
ミニワークステーションと謳っているだけあり、小さな筐体に高性能を限界まで詰め込んだロマンのある1台です。内部のパーツ構成を自分好みにカスタマイズしたい玄人の方に向けた製品ですね。
USB-CがUSB4（Thunderbolt）非対応のため、外付けGPUなどでグラフィックを強化できない点は惜しいと感じました。グラフィック性能の低さをどう見るかによって評価が分かれる製品です。
重たい3Dゲームや動画編集などは厳しいですが、有り余るCPU性能が活きる用途なら非常に快適に動作します。普段使いとしてはオーバースペックだと思いますが、これだけ性能に余裕があれば長く使えるでしょう。
参考情報
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