
HUIONさんから、液晶ペンタブレット「Kamvas 16 (Gen 3)」をレビュー用に頂きました。16,384段階の筆圧感知に対応し、WQHD解像度が絶妙な、新しい液晶ペンタブレットです。
なお、筆者は普段絵を描かない人間で、ほぼイラスト初心者です。実際に使ってみてはいますが、慣れているかというとそうではありません。今回は、少しでも絵に慣れた人に感想をもらうべく、趣味で絵を描く筆者の姉に使用感を聞いています。絵のプロのコメントには比ぶべくもありませんが、私よりは絵に慣れているので、少しでも参考になればと思います(コメントは記事の最後の方にあります)。
目次(見たいところからチェック!)
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HUION Kamvas 16 (Gen 3)スペック
製品番号 | GS1563 |
---|---|
色 | ブラック |
パネルサイズ | 15.8インチ |
ディスプレイ | IPS 60Hz 2560 × 1440 (16:9、WQHD) |
画素密度 | 186ppi |
アクティブエリア | 約 349.6 × 196.7mm |
コントラスト比 | 約1000:1 |
画面輝度 | 約 220 nit (標準値) |
視野角 | 89°/89°(H)/89°/89°(V) (標準値) (CR>10) |
色域ボリューム | 120% sRGB |
色域カバー率 | sRGB:99% Rec.709:99% Adobe RGB:90% |
表示色 | 約 1670万色 (8bit) |
表面仕上げ | 第2世代アンチグレア エッチングガラス |
ペン技術 | Pentech 4.0 |
反応時間 | 14ms(標準値) |
ペン解像度 | 5080LPI |
筆圧感知 | 16384段階 |
精度 | ±0.3mm(センター) ±2mm(コーナー) |
読取可能高さ | 約10 mm |
傾き感知 | ±60° |
付属ペン | PW600L |
映像入力インターフェース | USB Type-C (HDMI信号) Full-featured USB Type-C (DisplayPort信号) |
ボタン | プログラマブルキー ×6 ダイヤルコントローラー ×2 |
サイズ | 約 421.2 × 236.81 × 12.62 mm |
重さ | 約 1.2 kg |
サポートOS | Windows 10以降 macOS 10.12以降 Android (USB 3.1、DP1.2対応機種) Linux (Ubuntu 20.04 LTS) |
パッケージ、内容品

白い箱に入っています。

内容品一覧…は入り切らなかったので、内容品のうちケーブル類と小物系を写した画像です。以下が入っていました。
- USB延長ケーブル(1.2m)
- USB Type-C to Cケーブル(DisplayPort Alt Mode対応)
- USB Type-C to Aケーブル
- 3-in-1ケーブル
- 電源アダプター
- クリーニングクロス
- アーティストグローブ
- ペン(PW600L)
- 替えのペン先(計10本)
- ペン立て
- マニュアル類
このほか、Kamvas 16 (Gen 3)本体とスタンドも入っています。
本体、付属品
本体

Kamvas 16 (Gen 3)本体です。約 42 × 24 × 1.2 cmで、ディスプレイの分の厚みもあるのでそこそこ大きいです。ただ大きすぎるほどではないので、ある程度の広さの机なら問題なく収まると思います。

背面にはゴム足とKamvasのロゴがあります。プラスチック製ではありますが、安っぽさはありません。

入出力端子は2つのUSB Type-Cポートのみです。2つあるのは、それぞれ接続方法によって繋げるポートが異なるからです。これについては後述します。
スタンド

付属のスタンドは、ST300という型番で別売もされているものです。スタンドはアルミ製で滑り止めのゴムも付けられており、見た目以上にしっかりしています。実際に使っていても、グラグラするようなことはありませんでした。

14.5°~45°まで6段階で調整できるようになっています。
ペン

付属しているペンはモデル名「PW600L」で、充電不要、±60°の傾き感知、16384段階の筆圧感知に対応しています。別売のペンのPW600からテールイレーサー機能を取り除いたようなペンです。
ボタンは3つ付いているのですが、結構太いので(感覚としてはシャープペンのDr.Gripくらいのイメージ)、気になる方は別売のPW600Sなどを別途購入するのもありかもしれません。

ペンスタンドを開けると、中にペンの替え芯が入っています。付属の替芯は10本で、替芯単体でも販売されているので、買ってストックしておくこともできます。また、別売のフェルト製の替芯もあります。
グローブ

手の滑りを改善できるグローブも付属しています。成人男性の筆者には少し小さかったです。付けられないほどではないですが…
電源アダプター

電源アダプターです。もちろんPSEマークもあります。
キャリブレーション報告書

これは出荷時のカラーキャリブレーション(色較正)の報告書です。これも同封されています。色の正確さはキャリブレーション後から時間とともにズレていくとはいえ、出荷時にキャリブレーションされていて色の正確性の確保が図られているのは安心できるポイントです。
接続方法は2通り

公式サイトより
本製品には2種類の接続方法があります。
USB Type-C to Cケーブルのみでつなぐ方法
以下の要件を全て満たす機器を使う場合は、フル機能USB-CポートとUSB Type-Cケーブル一本で接続できます。
- Windows/MacにUSB Type-Cポートがある
- そのUSB Type-CポートがDisplayPort Alternate Mode 1.2での映像出力に対応している
- そのUSB Type-CポートがUSB 3.0に対応している
デスクトップPCではこの要件を全て満たしたType-Cポートはまだ少ないかと思いますが、ノートPCや高性能なミニPCでは普通になりつつあるので、使える方も多いかもしれません。電源用のケーブルも不要です。
なお、Android端末などに接続する場合は、別途Kamvas 16 (Gen 3)本体への電源供給が必要なため、電源用にもう一本、電源アダプターからケーブルを接続しなければなりません。
3-in-1ケーブルでつなぐ方法
USB Type-Cケーブル一本で接続できない環境の場合には、付属の3-in-1ケーブルを使用します。3-in-1ケーブルは、PC側のHDMIポート、USB-Aポート2つに接続し、Kamvas 16 (Gen 3)本体側のType-Cポートに接続する形になります。
設定・ドライバ
ドライバソフトは、以下のサイトからダウンロードできます。Windows用/macOS用/Linux(Ubuntu)用のドライバソフトが、ファームウェアアップデーターに関してはWindows用/macOS用が用意されています。
ディスプレイの設定

普通に接続すると3番目のディスプレイとして認識されるのですが、他のディスプレイと同じ画面を表示することもできます。その他に画面の向きの変更や、ペン位置の較正もできます。
ボタン割り当ての変更
本体左側にあるダイヤルとボタンの機能割り当ても変更できます。キーボード入力に加え、マウス操作なども割り当てることができます。
ペンの設定
本体ボタンと同様に、ペンのボタンにもキー割り当てが設定できます。

また、筆圧の感度設定も可能です。グラフを調整して変更できます。
ディスプレイ自体の設定
液晶ペンタブレットはペンタブレットであり液晶ディスプレイでもあるので、Kamvas 16 (Gen 3)にも一般的なディスプレイのようなOSDメニューが用意されています。電源ボタンを長押しするとOSDメニューが出現し、付属のペンで操作できます。
明るさや色温度の調整、色空間の設定、画面比率の設定など、一般的なディスプレイの設定項目が一通り揃っています。
使ってみた感想
筆者の感想
応答速度・視差
応答速度は全く問題無いですね。よーく目を凝らして注意を払ってやっと気づく程度の速さで、ほとんど手書きと変わりません。普通に使っていて速度が気になる人はいないのではないかと思います。
視差も、映像で撮って見てみるとズレているのが分かるのですが、使っていてズレを感じることはありませんでした。
ディスプレイ

ディスプレイはWQHDの16インチで、これがちょうど良かったです。机の上に置いて邪魔にならない限界くらいのサイズで、狭いと感じることもなく快適でした。
解像度もFHDではなくWQHDで、手元を見るときも粗さが気にならない絶妙な塩梅。ディスプレイは低反射加工がなされているため、通常のディスプレイのようなしっかりした解像感は無いものの、液晶ペンタブレットとしては標準的なものなので、視聴用途に使いさえしなければ気にならないと思います。IPS液晶なので視野角も広く、斜めから見ても変化には気づきませんでした。
ちなみに、ディスプレイを消して板タブ(ディスプレイのない単純なペンタブレット)として使うこともできます。
ペン

ペンは、一番上に付いているボタンを誤って押してしまうことが多かったです。下の2つのボタンは間違えるのは最初の方だけだったのですが、一番上のボタンは、レビュー期間中は最後まで間違えるのが直りませんでした。これはペンタブレットに慣れていないのもあると思うので、慣れれば無くなるのかもしれません。
それよりも気になったのは、グリップ部分の素材です。経年劣化でブリードアウト現象(いわゆる加水分解)を起こしそうな感じの素材で、ちょっと不安になりました。ペン単体でも売っているので、買い替えはできるのですけどね。
筆圧感知は、16384段階だなぁと感じることはできなかったものの、筆圧がしっかり反映されているのは分かりました。
趣味絵描き(姉)の感想

Clip Studio Paintを使って趣味で軽くデジタル絵を描く、私の姉にも少し使ってもらって感想を聞きました。姉によると、良かったところとイマイチなところとして以下のような点があるとのことでした。ちなみに、セットアップから描くフェーズまで一人でやってもらっています。
- ペンの感度・筆圧感知はバッチリ、応答速度や視差も気にならない
- ペンの太さも丁度良く、引っかかりもなかった
- ショートカットキーはデフォルト設定でも使いやすい
- 接続するコードは3-in-1でも比較的すっきりとしていて分かりやすい
- 画面の大きさも狭すぎず、本体も軽い
- スタンドの支柱があまり太くないので、描くときに前のめりになる人は気になるかもしれない
- 下側のダイヤルに不意に当たってしまうことが多かった
下のダイヤルに触れてしまうのは、ボタンの操作割り当てを無しにすればOKですね。私はペンが少し太いと感じたのですが、姉的には丁度いいサイズだったようです。すでにペンタブレットを使っている人からすれば普通なのかもしれません。
まとめ
Kamvas 16 (Gen 3)は、主にペン機能が強化されたモデルです。しかしペンに限らず、画面や本体のサイズ、解像度のバランスが良く、さらにプログラマブルボタンやダイヤルを搭載しているため、上位機種へのグレードアップ先としておすすめできます。
価格的には約7万円ほどと、即座に「安い」と言える価格では無いものの、他機種と比べてもコスパは結構良い方なので、とりあえずコレを選んでおけば困らないと言える液タブです。性能面でもこれより上の選択肢は限定的ですしね。
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