ポータブル電源を展開するヨシノパワージャパンが2024年12月に発売した固体電池を採用した「YOSHINO B300 SST Pro」をレビュー用にお借りしました。
ポータブル電源自体は数多くの製品がありますが、このヨシノパワーの製品は多くのメーカーが採用するリン酸鉄リチウムイオンバッテリーとは異なり、固体電池を採用したことで高寿命化や、低温・高温環境下での電源容量の高さを実現しているとのこと。
今回はそのヨシノパワーのポータブル電源の性能を確かめるべく、関東某所で開催されたオリエンテーリングの大会の計算センターの電源として利用。1月の寒空の下でどれだけの性能を実現できるのかを実際に使って試してみました。YOSHINO B300 SST Proは容量241Whのポータブル電源。定格出力300W、最大600Wの容量は少なめの下位モデル。放電可能温度が-10℃~60℃に設定されており、極寒地や暑い場所でも利用できる製品。Amazonなどでは59,900円で販売中です。
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YOSHINO B300 SST Proの概要とスペック
YOSHINO B300 SST Proは241Whの容量のポータブル電源。ヨシノパワーは「世界で初めて固体電池を採用したポータブル電源」とうたっており、本製品にもそのヨシノの固体電池を搭載しているとのこと。日本の自動車メーカーが開発を推進中の全固体電池とは違い、三元系バッテリーの電解質を固体化したことで三元系電池の高出力性能や、低温、高温環境下での性能、そして燃えにくい難燃性を実現しているとのこと。
B300 SST Proは、もともと登場していたYOSHINO B300 SSTの充電性能をパワーアップした製品。B300 SSTの充電時間は3.5時間だったのに対し、B300 SST Proでは60分で80%、約1時間20分ほどで100%充電できる急速充電性能を実現した製品。また、オフグリッドUPS機能も搭載したことで防災対策としての利便性も高まっている製品です。-10℃から60℃の幅広い環境下でも利用できるのもポイントという感じ。
ヨシノパワー自体はアメリカ本社の企業とのこと。リチウムイオン電池の発明者である吉野氏への敬意から「ヨシノパワー」の名前にしたものの、吉野氏とは一切関係ないとのこと。実際の製品の開発は中国法人が実施しており、特徴である固体電池も中国の姉妹会社から供給を受けているとか。今回製品の貸出をしたヨシノパワージャパンは、日本法人で最長5年保証を始めとしたサポート体制を構築しているとのことでした。
オリエンテーリングの大会会場で実際の性能をチェック
今回はYOSHINO B300 SST Proの性能を確かめるべく、埼玉県で開催されたオリエンテーリングの大会で実際に利用してどれだけ電源が持つのかをチェック。この大会では、PCを2台、プリンターを2台接続して大会参加者の記録を管理したり、その結果を印刷したりしているとのこと。これまで他社製のポータブル電源(スペック値では400Wh)を利用していたものの、意外とバッテリーの減りが早かったとか。大体1日利用すると半分ほどになっていたとのこと。
大会の前にB300 SST Proを運営者の方にお送りし、利用できるように準備をしてもらってから会場で利用してもらうという形で試してもらいました。この急速充電性能がなかなか便利だったとか。これまで利用していたポータブル電源では充電にそれなりの時間がかかったのに対し、B300 SST Proの場合1時間ちょっとで満充電できたため準備を夜のうちに済ますことができたとのこと。なにかに使うとき、前日夜に気がついて朝まで充電となると、満充電にはできても準備がバタバタしてしまうため、急速充電できるのは意外と便利そうです。
会場本部では、ノートPCとスマートフォンにUSB端子経由で接続。残りのプリンター2台とノートPCに対してはAC出力に電源タップを繋いで給電する形で利用。会場設営が終わった9時50分ごろから利用を開始していきました。YOSHINO B300 SST ProからノートPCに接続する場合には1台までならUSB Type-C出力(最大100W)が利用できるためAC充電器を用意しなくても良いのが便利なポイントかも。AC電源を挟まないことで電気のロスも最小限に抑えることもできるので節電の観点でも有利です。
閑話休題:オリエンテーリングとは – 地図とコンパスを使ってタイムレースをするスポーツ
今回YOSHINO B300 SST Proを使ってもらったオリエンテーリングについて簡単に解説。オリエンテーリングとは、地図とコンパスを使って自然の中を移動して、指定したチェックポイント(コントロール)を順番に回るタイムレース形式のスポーツ。参加者にはスタート時に地図を配布し、その地図に記載されたチェックポイントを地図を読みつつ最短ルートを考えて走っていくという判断力やナビゲーションスキルが求められるスポーツ。
埼玉県の公園で行われた大会は約2.6kmのコース。普通にランニングをすると12,3分という距離で大したことがないように感じますが、このオリエンテーリングではそのコース内に地形の変化が多くあり実際にはかなりアップダウンのある場所を走ることに。それでいながら優勝タイムは12分、当日の最速は11分とかなりのスピードで走り抜けることに。地図を読みながらこのスピードというのは正直おどろきのスポーツです。
せっかくなので、OREFOLDER管理人であるorefolderさんにも走ってもらったので、その様子をレポートします。
まずは会場で受付から。基本は事前エントリー制のようですが、今回の大会では当日受付を実施していたので、orefolderさんはここで受付。参加費を支払ったら出走時間の指定を受けます。
オリエンテーリングは同じチェックポイントを走っていくため同時に出走してしまうとコースが分かってしまい意味がなくなってしまうため、1分ずつ時間をずらして出走するようになっているんだとか。約1時間の待ち時間の間は軽くランニングをしたり、自宅の猫の様子を確認したりしながらウォーミングアップをします。
出走後はひたすら走ってチェックポイントを辿っていきます。会場の公園内には1.2kmのジョギングコースも用意されていたので、オリエンテーリングに参加しなかった私はカメラとPCを抱えながらのんびりジョギングをしつつ、orefolderさんが走っている様子を眺めます。この地図を読みながら走っていくというのがなかなかハードそう。今回のコースのチェックポイントはなんと合計21箇所。そんなに広い公園ではないものの、21箇所を順番に走りながら回っていくのは大変です。
最後のチェックポイントの後、フィニッシュ地点での計測を終えればゴール。各チェックポイントに設置された機械にカードをタッチすることで自動的にデータを記録していくシステムが用意されており、大会本部でそのデータを確認できるようになっています。今回のorefolderさんの記録は19分57秒。以前は大会で好成績を収めていたorefolderさんも久々の参加となると結構苦戦したようで、かなり息が上がっていました。
なお、orefolderさんがゴールした頃の午後12時5分時点でのバッテリー残量は71%。ノートPCやスマートフォン、プリンターは消費する電力量(W)が変動するためなんとも言えませんが、撮影時の6Wの消費電力であれば27時間持つという表示が出ているほどでした。
お昼すぎまで使っても余裕のバッテリー残量。固体電池のパワーを実感
大会はその後も続き、最後の出走者が帰ってきて大会本部の撤収がスタートしたのが午後2時前くらい。実際にどれだけバッテリーを消費していたのかを確認してみます。当日の天気は晴れていたものの朝9時頃は4℃ほど、12時~15時で7℃台まで上がったもののかなり寒い冬の一日でした。
最終的なバッテリーの残量は54%。PCを2台接続し、プリンターにスマートフォンにと結構多くの機器を接続して冬の寒い日に使っていてもこれだけのバッテリーの残り具合はなかなか良い感じ。おおよそ4時間で50%弱バッテリーを消費したという結果でした。
実はこの取材を行う前日には夜のオリエンテーリングの大会の本部でも利用したんだとか。このときはもっと寒い状態でしたが3時間ほどで50%ほどの残量だったとか。利用機器が多かったとのことでもあるので、一概に比較はできませんが十分なバッテリーの性能を実現できている印象でした。
屋外でもパワフルに使えるポータブル電源。YOSHINO B300 SST Pro
今回試したYOSHINO B300 SST Pro。小型サイズのポータブル電源でありながら241Whの容量と、合計300Wの出力を備えつつ、60分間で80%まで充電できる急速充電性能を備えたパワフルな製品でした。丸一日アウトドアで電気を使うという場合であっても、固体電池の電力損失の低さや低温下でも性能を維持できることで使い道の広いポータブル電源といった印象です。Amazonなどでは59,900円で販売中です。
参考情報
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