Xiaomi 14 Ultra レビュー:アーティスティックに撮れるカメラだが、ソフトウェアに不安が残る
Xiaomiから絶賛販売中の最新フラグシップスマートフォン「Xiaomi 14 Ultra」を2ヶ月ほど使用しました。Xiaomi 14 Ultraは老舗カメラメーカーのライカと協力開発したカメラを搭載しており、卓越したカメラ性能をほこります。
その写りはスマホのスタンダードを覆す─
レビューをお届けします。なお、Xiaomi 14 Ultraは日本でも販売されていますが、筆者の使用個体はグローバル版(24030PN60G)です。
目次(見たいところからチェック!)
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デザイン
まずは本体デザインから。Xiaomi 14 Ultraの背面には存在感のある円形カメラユニットがあります。背面の素材は合皮レザーで、触り心地も良好です。
この円形カメラユニットは光沢感があり、反射する雑草すら美しく魅せます。
ディスプレイは湾曲仕様のAMOLEDで、2K(3200 x 1440)の解像度にくわえ、HDR10+にも対応します。最大ニトで、日光下でも画面が見えにくいといった心配もありません。
本体右側面には電源ボタン、音量調整ボタンがあり、左側面には何もありません。個人的には側面を光沢メッキ仕様にして欲しかったところです。傷がつきやすいので、非光沢を採用したのかな?と思います。
本体下部にはUSB Type-Cポート、スピーカー穴、このスピーカー穴は本体上部にもあり、デュアルスピーカー仕様です。このほか、本体上部にはマイク穴があります。
付属品は90WのACアダプター、USB A to Cケーブル、SIMピン、専用ケース、冊子類です。
カメラ性能
Xiaomi 14 Ultraの注力機能、ライカと共同開発したカメラは独特な色味に加え、メインカメラの1インチセンサーによるスマホカメラとは思えないほどの解像感です。1インチセンサーを搭載したスマホは、他にも色々とあるなかでXiaomi 14 Ultraは解像感以外の「色」や「雰囲気」といった点においても優れており、ただ写真を撮るだけでアーティスティックになります。
麻婆豆腐もこの通りメシウマに。どちらかと言えば、写実的と言うよりも、いわゆる「SNS映え」のする色味になります。
3.2倍テレマクロカメラも優れています。接写でも繊細なディティールを維持。テレマクロで花を撮ると、解像感と雰囲気が混在した「作品」のようで、手軽にアーティスチックな写真が撮れてしまいます。
望遠域もこの通りディティールが保たれています。
ウォーターマークでおしゃれな感じにも。
可変絞りで光芒、自然なボケ感を実現
Xiaomi 14 Ultraのメインカメラは可変絞りに対応します。これにより、F1.63/F2.0/F2.8/F4.0の四段階からF値を選べ、自然なボケ感、光芒の発生といった、撮影体験が拡張。
とくに、光芒の発生は夜景撮影と好相性。都市夜景だと、光芒の有無で印象が大きく変わります。なんというか、より華やかな夜景になる印象です。
シネマティックな雰囲気のある写真も
アスペクト比を「ワイドスクリーン」に変更すると、映画のワンシーンのような写真も撮れます。映画のアスペクト比は21:9かつ、黒帯があるため、それっぽい雰囲気が出てきます。
白飛びは健在
Xiaomi 14 Ultraで明暗差のあるシチュエーションを撮影すると、白が飛びがちです。Xiaomi端末が白飛びするのは今に始まったことではありませんが、少し残念。それでも順当に改善されてはいますし、もう少し詰めて欲しいところですね。
大本命!ファストショットモード!
Xiaomi 14 Ultraのカメラアプリには「ファストショットモード」が搭載されています。いわゆる「置きピン」撮影ができる機能で、速射性に優れています。
焦点距離は23mm, 28mm, 35mm, 50mm, 75mm, 135mmから選択可能で、単焦点レンズ縛りで撮影するかのような、ある意味「カメラっぽい」撮影体験を味わえます。
それだけでなく、M型Leicaのブライトフレームを彷彿とさせる撮影枠は、M型Leicaユーザーの筆者にとって垂涎もの。ファストショットモードの詳細な見解については、過去に公開済みです。併せてご覧ください。
別売のPhotography Kitでカメラのような使用感にも
別売のPhotography Kitを使用することで、カメラのような感覚で使うことができます。
これには、シャッターボタン、ズームスライダー、録画ボタン、特定の動作(露出補正など)を割り当てられます。Xiaomi 14 Ultraをカメラ目的で購入する場合はPhotogaphy Kitがあると、使い勝手が格段に向上します。
個人的には、カメラアプリのUIもPhotography Kit前提で設計されているような気がします。EVの調整がダイヤルのようなスライダー式になっており、非常に使いにくいです。せめて棒状のスライダー式にしてほしいところ。~なんだか「Photography Kitを買ってね」と暗に伝えられているような気がします。
とやかく言ったものの、Photography Kitがあると撮影がグッと楽しく、快適になります。カメラ目的でXiaomi 14 Ultraを購入するのならマストアイテムです。
クセが強いXiaomi Hyper OS
Xiaomi 14 Ultraには独自カスタムされた「Xiaomi Hyper OS」が搭載されています。カスタムOS(特に中国端末のカスタムOS)に慣れていないと、使いにくいかもしれません。
具体的には、通知シェードとコントロールセンターの遷移が多くのスマホと左右逆だったり、初期設定だとジェスチャーボタンの「戻る」と「タスク管理」が左右反転していたりと……。(ジェスチャーボタンは設定から標準の配列-◀ ● ■に戻せます)
コントロールセンターもiOSライクで、右上からスワイプするとコントロールセンターが開き、左上の場合は通知シェードが表示されます。先日の通り、コントロールセンターと通知シェードの切り替えが逆転しており、通知を左にスワイプしても消せません。なれるまで、少し時間を必要とするかもしれません。
上記した機能は「まだ」慣れの範囲です。通知が来なかったり、遅れてきたりと…Hyper OSは実質的にサードパーティーランチャーが使用できません。
Hyper OSでサードパーティーランチャーを使用した場合、3ナビゲーション操作を強制されます。これはどうやら、Xiaomiのランチャーにジェスチャー操作が組み込まれている(?)から発生する現象のようです。
極論をいえば、Xiaomiの純正ランチャーに順応すれば済む話ですが、そうではなく、ユーザーの使用を制限する状況を作るべきではないと筆者は考えます。とはいえ、よく言えば、ソフトウェアに一貫性が保たれている、とも捉えられるでしょう。
……これらの現象は、筆者が初めてXiaomi端末を購入した2018年から変わらず。Xiaomi端末はハードウェアは優秀だけれども、ソフトウェアが微妙と言ってるガジェットマニアも少なくありません。
かつて、Xiaomi端末は個人輸入するのが当然で、いわゆる「中華の怪しいスマホ」のような部類でした。何かあっても自分で対策したり、むしろソフトウェアの欠点すらも楽しめる玄人向けのスマホでしたが、今は国内販売されているモデルであれば誰でも買えます。
となると、Xiaomiのソフトウェア方針が迎合されるかと言われたら……。Xiaomi 14 Ultraに限らず、Xiaomiは自社の製品を駅内広告などで宣伝しているのだから、ソフトウェアの方針を変更したほうがいいと思います。
特定のアプリにダークテーマを適応
ネガティブな意見ばかりではなく、個人的に重宝している機能の紹介も。Xiaomi Hyper OSは特定のアプリでダークテーマを有効にできます。ダークテーマ非対応のアプリまで黒背景化できるため、ダークテーマを愛用する人にとっては重宝するはずです。
バッテリー持ちは微妙……?
全体的に高性能なXiaomi 14 Ultraですが、バッテリー持ちはイマイチです。SIMなしのWi-Fi環境でも、1日も放置していると充電が切れているような。
ただ、最近は2日以上バッテリーが持つようになりました。本体が更新された履歴も無く、なぜ改善したのかは不明です。もしかすると、特定のアプリを制御できないなどの相性問題かもしれません。
専用のカメラグリップを装着すると、バッテリーの減りが更に速くなります。ただし、カメラグリップのバッテリーが0になった場合です。Xiaomi 14 Ultraの内蔵バッテリーからカメラグリップに電源が供給される設計のため、カメラグリップのバッテリーが残っていれば、通常利用と遜色ありません。
ちなみに、専用カメラグリップはモバイルバッテリーの代用としても使えます。とはいっても、カメラグリップのバッテリー容量は1500mAhと少ないため、緊急用バッテリー程度に捉えておいたほうがいいでしょう。
付属品の90W充電器で爆速充電
Xiaomi 14 Ultraには、専用の90W充電器が付属します。これを使うと、約33分(公称)で充電が完了し、急いでる時にバッテリー残量が0%でも安心です。Xiaomi 14 Ultraに限らず、以前からAndroidスマホには急速充電が普及していて、筆者はこれに何度も助けられてきました。本当に便利です。
DSDV対応(eSIM非対応)
Xiaomi 14 UltraはDSDVにも対応し、SIMカードを2枚挿入することで、2つの電話番号とモバイルデータを利用可能になります。
同時に2つの回線で通信はできず、あくまでも片方のみ指定できます。
生体認証
Xiaomi 14 Ultraは画面内指紋認証と顔認証の2つに対応します。
画面内指紋認証はセンサー部に触れてから約1〜2秒でロックが解除され、速度は平均的です。顔認証の方は、3D認証ではなく2D認証のため精度には不安が残ります。
ベンチマーク
端末の性能を測定するアプリ『3D Benchmark』と『Geek Bench 5』でXiaomi 14 Ultraの性能を測定してみました。
結果は、3D Benchmark Wild Stress Testが4988点らGeeK Bench 5のCPU Singleが2217点、Multiが6627点でした。
これだけの性能があれば、快適に動かないアプリを探すほうが難しいと思います。
総評:カメラ性能良好、しかし……
Xiaomi 14 Ultraは「スマホで撮ったとは思えない高画質さ」を体現するスマートフォンでした。スマートフォンにカメラ性能を求めるのなら、Xiaomi 14 Ultraを購入しておけば間違いないでしょう。少なくとも、10人中9人は満足すると思います。それくらい完成度が高いです。
ただ、カメラ性能は確実に高い一方で、スマートフォンとして考えると、ニッチな部類に入ると思います。Xiaomi 14 Ultraの販売価格は約20万円。スマホとカメラが一体化していると考えれば安いものです。
しかし、スマートフォンとしてみると、カメラユニットが巨大、OSのクセが強いなど、色々と気になるポイントがあります。筆者個人としては「気にならない」もしくは「気にしない」ポイントではありますが、気になる人もいるはずです。
筆者は満足していますが、人には勧められるかと言われたら微妙です。Xiaomi 14 Ultraに限らず、カメラ性能が高いからといって、使い手の実力が伴っていなければパッとしません。そう考えると、他のスマホでもよくない?とは思ってしまいます。
Xiaomi 14 Ultraを勧められる人は、ガジェット大好き、カメラ性能のためなら多少不安定でも許せる……など、尖ったスマホだけに、少し尖っているタイプです。車でたとえると、アルファロメオとか好きそうなタイプでしょうか。
巷では大絶賛のXiaomi 14 Ultra。過大評価されすぎじゃないかなぁ?とは思います。いつも通りの、順当なXiaomiですよ。
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2002年生まれ、自分の好奇心を満たすために行動してます!
行動(選択)基準はよくもわるくも「おもしろいか、おもしろくないか」になりがち。スマホはGalaxy Z Fold 5、最近はAngenieuxのレンズにハマってます。