Xiaomi 13 Ultra レビュー:可変絞り機能を搭載!カメラは引き続き強いが、一部コストカットされた部分も?
これまで何回かにわたってXiaomi 13 Ultraを紹介してきました。今回は総合的なレビューをお届けします。開封の様子やカメラについてなど、これまでの記事もどうぞ合わせてご覧ください。
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- Xiaomi 13 Ultra 開封の儀&ファーストインプレッション!
- 【実機】Xiaomi 13 Ultra(Snapdragon 8 Gen 2)の各種ベンチマーク結果まとめ―AnTuTu, 3DMark, Geekbench 6など
- Xiaomi 13 UltraにXiaomi 13 Proのガラスフィルムは貼れるのか?実際に貼り付けて検証!
- Snapdragon 8 Gen 2の世界最強レベルの性能
- 何もかも圧倒的なカメラ
- 一眼カメラを彷彿とさせる、高級感のあるヴィーガンレザーボディ
- カラーバリエーションの増加
- スピーカーが物足りない
- 大きく重い
目次(見たいところからチェック!)
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Xiaomi 13 Ultraのスペック
OS | MIUI 14 (Android 13) |
---|---|
SoC | Qualcomm Snapdragon 8 Gen 2 |
RAM | 12GB, 16GB (LPDDR5X) |
ストレージ | 256GB, 512GB (UFS4.0) |
ディスプレイ | 6.73インチ (TCL CSOT製 C7 AMOLED, LTPO(1~120Hz), 3200×1440(WQHD+)) |
メインカメラ | 5000万画素広角(IMX 989)+5000万画素超広角(IMX 858)+5000万画素ペリスコープ望遠(IMX 858)+5000万画素望遠(IMX 858) |
フロントカメラ | 3,200万画素 |
バッテリー | 5,000 mAh |
充電 | 90W有線急速充電+50W無線急速充電+10Wリバースワイヤレス充電 |
サイズ | 約163.18 × 74.64 × 9.06 mm |
重量 | 約227g |
Wi-Fi | 802.11 a/b/g/n/ac/ax (Wi-Fi 6E) |
その他 | IP68防水防塵 |
Xiaomi 13 Ultraのベンチマークスコア
詳しいベンチマーク結果については別記事にまとめているので、この記事では主なベンチマーク結果のみ掲載します。なお、別記事ではパッケージ名変更版などを使って複数テストしていて、同じベンチマークでも、この記事に掲載した結果とは少し違う結果になったものもあります。
AnTuTu Benchmark V9.6.1
Antutu Benchmark V9.6.1では、3回連続でベンチマークを回しました。(左から)1回目が126万1,403点、2回目が126万14点、3回目が125万7,952点でした。温度は、26℃から最大42℃辺りまで上昇しました。
Geekbench 6 v6.0.3
Geekbench 6は、より現在のスマートフォンの使い方に即した性能を測定できるようにされた、Geekbenchのメジャーバージョンです。Geekbench 5とはスコアに互換性が無いので、比べられません。
CPU
Playストアからインストールした(パッケージ名を変更していない)Geekbench 6でCPUのベンチマークを実行すると、シングルコアのスコアが1,883、マルチコアのスコアが5,169となりました。
3DMark
3DMarkでは、Wild Life Extreme Stress Testを実行しました。
Playストア版
Playストア版では、以下のような結果になりました。
- スコア:最大3,773、最低3,389
- 平均フレームレート:16.50FPS
- バッテリー:80%から67%まで13%減少
- 温度:26℃から50℃まで24℃上昇
- フレームレート:16FPSから28FPS
- Stability(安定性):89.8%
パッケージ・内容品など
既に開封の儀をお届けしているので、本記事では簡単にパッケージなどをご紹介します。
パッケージは黒を基調としたもので、Xiaomi 12S Ultraと瓜二つです。私は12GB+256GBモデルのWhite(白色)を購入しました。
内容品一覧です。Xiaomi 13 Ultra本体、TPUケース、90W急速充電器(USB Standard-Aポート)、Xiaomi独自規格に対応した6A対応USB Standard-A to Type-Cケーブル、SIMピンが入っていました。
Xiaomi 13 Ultra本体
Xiaomi 13 Ultra本体です。私はWhite(中国名:白色)を選びましたが、やっぱり白はいいですね…。12S Ultraでは黒か緑しかなかったので、カラーバリエーションが増えたのは嬉しい限りです。12S Ultraの緑も高級感があってよかったですが、好みの色だと満足度が違います。
白色の場合、側面はシルバーになっています。トップにはIR Blaster、スピーカーグリルがあります。
公称値としては、12S Ultraも13 Ultraも同じ厚さ(9.6mm)なのですが、側面が角ばっているからか、13 Ultraのほうが分厚く感じます。
カメラ部分
カメラ部分はかなり大きいです。Xiaomi 12S Ultraよりも大きくなった気がします…
特徴的なのがこの「スロープ」です。12S Ultraには、金属製の台座のようなものがカメラの周辺にありましたが、13 Ultraではそれがなくなり、このスロープができました。
ディスプレイ
ディスプレイはTCL CSOT製のC7 AMOLEDが採用されています。HDR 10、HDR 10+、Dolby Visionに対応し、解像度3200×1440のWQHD+ディスプレイで、1〜120Hzの可変リフレッシュレートにも対応しています。公称値でピーク輝度は2600nits、高輝度モードだと1300nitsで、実際にかなり明るいです。Samsung製でないことに不安を感じる方もいるかもしれませんが、十分高品質なので、ディスプレイは心配いりません。
リフレッシュレートをデフォルトに設定すると、可変リフレッシュレートとなります。カスタムにすると、60Hzか120Hzに固定することもできます。
AI画像エンジンは、高解像度化などの機能はありましたが、フレーム補間(MEMC)の機能はありませんでした。
DRM Infoで確認したWidevine Security LevelはL1でした。Widevine L1なので、Amazonプライムビデオなどで高画質の動画再生が可能です。Netflixでは、実際にHD画質で視聴できました。BLUしてもL1のままです。
オーディオ
Xiaomi 12S Ultraは、スピーカーがharman/kardonチューニングのものでしたが、13 Ultraではなんでもないただのステレオスピーカーになっています。この差が結構大きく、聴き比べると12S Ultraの方がスピーカーの音が良かったです。13 Ultraは、低音が弱く、スカスカした感じの音質でした。
別にherman/kardonのブランドがなくても、コストをかければ良い音質にできるのではないかと思いますが、今回はコストカットの対象にされてしまったのかもしれません。
Bluetoothコーデックは、以下のものに対応しているようです。
- LHDC V1,2,3,5
- LDAC
- aptX Adaptive/HD/TWS+
- AAC
- SBC
バッテリーと充電
Xiaomi 13 Ultraには、5,000mAhバッテリーが搭載されています。有線90W+無線50W+リバースワイヤレス10Wの構成で、Xiaomi最速…というわけではありません。ただ、Xiaomi 12S Ultraの67Wからはスピードアップしています。
実際に、5%から100%まで充電してみたところ、約40分で充電でき、最高温度は約34.5℃でした。90Wではあるものの、実際の電力としては74W程度が最大値でした(これはどのメーカーの機種でも大体そう)。
付属充電器
付属充電器は、最高速度で充電できる90Wのものが付属します。100Vのコンセントに繋いでも、90W出力できるタイプです。
大きさは、Xiaomi 12S Ultraに付属していた67Wのものとほとんど同じでした。
KM002C Liteで対応している急速充電プロトコルを検出してみました。Xiaomi独自のUSB PDの他に、Quick Charge 3.0と、USB BC DCPに対応していました。
1インチセンサーを含む4眼カメラ
Xiaomi 13 Ultraは、
- 1インチの5000万画素広角(with OIS/IMX 989)
- 5000万画素超広角(IMX 858)
- 5000万画素ペリスコープ望遠(with OIS/IMX 858)
- 5000万画素望遠(OIS/IMX 858)
という、非常に豪華なカメラ構成になっています。12S Ultraでは、超広角カメラと望遠カメラでセンサーが異なりましたが、13 Ultraでは同じなので、これまでより色味の差が小さい写真が撮れるようになっています。
超広角カメラ以外には全て光学式手ぶれ補正(OIS)が付いているのもさすがフラッグシップといったところ。
Xiaomi 12S Ultraとの相違点
基本的には踏襲している部分が多いカメラ周りですが、改善点がいくつかあります。
UI
まず、撮影画面で、画面を下にスワイプするとメニューが出てくるようになりました。ここから、2つの撮影モード(VibrantとAuthentic)の切り替えや、AIカメラなどのオン・オフができます。撮影のために手で持っている状態だと、スワイプするほうが確実にメニューを出すことができるので、操作しやすくなりました。
また、グリッド線の種類が増えています。これまでは三分割交点構図用のグリッドのみでしたが、Xiaomi 13 Ultraではうずまき構図のグリッドも追加されています。また、水準器とセンターマークが入ったのも大きなポイントです。いちいち画面をよく見て水平を判断しなくてもいいので、これがあるだけで、だいぶ楽に撮れるようになりました。
細かいところでは、LEICA VibrantとAuthenticを切り替えるのが、1タップで済むようになりました。これまでは2タップ必要で、手で横持ちしながら切り替えるのはやりづらかったので、ここも地味ながら効果のある改善点です。
その他
撮影時の画質は、これまでの低、標準、高に加えて、超高が選べるようになりました。また、自撮りの補正で、男性用の補正や、ほくろ除去が選べるようになりました。私は顔にほくろが無いので試せていませんが…
この他、Leica透かしなどはそのまま維持されています。
実際に撮影した画像
ここからは、いよいよ実際に撮影した画像を紹介していきます。画像は、アスペクト比を保ったまま、長辺1800ピクセルになるようにリサイズし、圧縮しています。
風景
レンズが明るく、センサーサイズが大きいので、スマホにしては簡単に後ろがボケてくれて、いい感じの画像が楽に撮れるので楽しいです。
Xiaomi 12S Ultraと、Xiaomi 13 Ultraを同じ構図で撮影してみました。Xiaomi 12S Ultraに比べて、Xiaomi 13 UltraはAuthenticのときの明るさや彩度が低く調整されているように感じます。
これはポートレートモードで撮影してみました。物の境界が不自然になったりはせず、雰囲気が出ています。
食事
天ざるそばを撮ってみました。左がLeica Vibrantで撮ったもので、右がLeica Authenticで撮ったものです。どちらも美味しそうに撮れていますが、Vibrantで撮ったものはちょっと黄色くなりすぎている感じがあり、個人的にはAuthenticのほうがきれいに撮れていると感じます。
続いてはラーメンです。これも、左がLeica Vibrantで撮ったもので、右がLeica Authenticで撮ったものです。この画像では、色味としては、あまりVibrantとAuthenticで差がないように見えます。
夜景
ゴーストやフレアを見るために、照明を夜景モードで撮影してみました。酷いというほどではないですが、ゴーストは普通に出ます。
Leica Vibrantを選択して撮影したほうが、光源などの処理が上手いように感じます。Authenticも雰囲気があって良いのですが、光源が明るすぎるきらいがあります。
どちらもノイズは少なく、非常に美しいです。
可変絞り
Xiaomi 13 Ultraは、メインカメラに可変絞り機構を備えています。センサーサイズを大きく、レンズを明るくすれば、暗い場所でのノイズ耐性は上がります。そのため、こぞって各社は大きなセンサーでより多くの光を取り込めるようにスマートフォンを開発しているのです。しかし、大きなセンサーで明るいレンズを使うと、被写界深度が浅くなり、物に寄って撮影するときに、ボケなくてもいいところまでボケてしまいます。
そこで、可変絞りを使って、F値を上げれば(絞りを絞れば)、ボケづらい写真が撮れるようになります。
Xiaomi 13 Ultraでは、メインカメラにこの可変絞り機構を搭載し、F値を1.9と4.0から選んで変えられるようになりました。
スマートフォンの可変絞りというと、Galaxy S9が可変絞りを搭載していましたね。現在のGalaxyの最新機種(Galaxy S23)には可変絞りは搭載されていませんが、当時(2018年)は、まだセンサーサイズが今ほど大きくはなかったですし、可変絞りを搭載していても、効果が大きくなかったのかもしれません。
F値のみを変えて撮ってみたのが上記画像です。後ろの物を見比べるとわかりやすいのですが、右のF値1.9ではよりボケが強くなっているのが分かります。
望遠
倍率を0.5〜10倍まで変えて、同じ場所から撮ってみました。10倍くらいまでなら、割と実用範囲内なのではないかと思います。ただ、文字を拡大すると、5倍を超えると油絵のような塗り絵感が増してきて、画質が劣化しているのが分かってしまいます。
Xiaomi 13 Ultraを使った感想
Xiaomi 13 Ultraを使ってみて感じた、良いところとイマイチなところをまとめてみます。
- 引き続き圧倒的なカメラ
- 高級感のあるボディ
- ナローベゼルで消費電力も少ない、LTPO対応のTCL CSOT製C7 AMOLED
- 高性能なのに比較的省電力なSoC
- グローバル版がリリース予定
- ハイエンド機種の割にスピーカーの音質が微妙
- 大きく重い
Xiaomi 12S Ultraから引き続き、カメラは圧倒的性能を誇っています。1インチセンサーは、センサーサイズが大きくAF速度も十分で、暗いシチュエーションでもかなり明るく、ノイズも少なく撮影できます。夜景モードにしたときの撮影時間が伸びた(Xiaomi 12S Ultraほど早く終わらない)気がしますが、夜景モードとしては普通の部類です。
カメラアプリのUIがブラッシュアップされていたのが、地味ですが実用的で良い変更でした。前から水準器は欲しいと思っていたので、これだけでもかなり良いと思えました。
Leica Authenticは、Xiaomi 12S Ultraと比べてもちょっと暗すぎる・彩度が低すぎる気もするので、Authenticに限っては12S Ultraのほうが好みでしたが、私はあまりAuthenticで撮影しないので、あまりマイナスにはなりません。
望遠レンズは、Xiaomi 12S Ultraには1つしかありませんでした。これだと、「5倍だと拡大し過ぎだけど、1倍だと遠い…」みたいなシチュエーションで、画質を妥協するか、もっと引くか寄るしかなく、かゆいところに手が届かない感じがありました。しかし、Xiaomi 13 Ultraは3.2倍の望遠レンズを追加で搭載したので、こういったシチュエーションで、撮影者が動く機会・距離が減り、より柔軟に撮影ができるようになりました。画質がどうしても劣化してしまうので、やっぱりできるだけデジタルズームは使いたくないんですよね…
一番残念だったのは、スピーカーの音質です。先述の通り、harman/kardonの認証を取得しないにしても、もうちょっとフラッグシップ機らしい、広がりのある高い音質を実現してほしかったなぁと思います。値段を考えれば、どこかの性能が落とされるのは自明の理なのでしょうがないとはいえ、どうしてもうーん、となってしまいますね…。まぁ、イヤホンばかり使ってスピーカーを使わない方なら、気にする必要はないかもしれません。
既にグローバル版の投入が予告されていて、日本語化などがやりやすいのは良い点です。また、TCL CSOT製ディスプレイも十分過ぎるほどきれいなディスプレイです。
まとめ
スピーカー以外は、ハイエンドにふさわしいスマートフォンでした。Xiaomi 12S Ultraを持っている人が買うほどの差があるのか、というのは難しい問題ですが、可変絞りとSoC性能に価値を見いだせるかではないかと思います。
個人的には、買って正解だったと思っています。悪いのはスピーカーくらいなので、それに目をつぶれば、満足度は高いでしょう。公式のグローバル版ROMもあるので、日常使いしやすいです。カメラ重視で、使いやすいとなれば真っ先に候補に上がるスマートフォンです。
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