毎月のスマホ代が高い!ということでここ数年注目されてるのが「格安SIM」です。でもひとことで格安SIMと言っても、それを扱う業者はたくさんあります。たくさんありすぎて、どれが一番いいのか、ちょっとわかりにくいですよね。
でも大丈夫です。格安SIMを10年使っている私が、選び方を教えちゃいます。各社とも内容に特徴があるので「これが誰にとっても一番!」というものはないのですが、選び方さえ間違えなければ、あなたにピッタリの格安SIMがきっと見つかりますよ。
目次(見たいところからチェック!)
まずは自分の状況を把握しておこう
数ある格安SIMの中から自分に合ったものを選ぶには、まず自分の使い方を知っておく事が大事です。「敵を知り己を知れば百戦殆うからず」なんて言いますもんね。
とりあえず知っておいたほうがいいことは以下のポイントです。
- 電話はよくするのか、無料通話は必要か
- 月に何GBくらい通信するのか
- 通信するアプリは主に何なのか
- 外で動画を見るかどうか
あとは実際に使うスマホがなんなのか、SIMフリーなのかキャリアで使ってたものを引き続き使うのか、というのもありますね。これらをチェックしたら、いよいよ最適の格安SIM選びに入りましょう。
格安SIM選びに必要な4つの視点
自分に合った格安SIMを選ぶには、以下の4つの視点が重要になります。
- 料金…「格安」SIMなんですから、月額料金は大事です
- プラン・コース…無駄なプランよりピッタリなプラン
- 通信速度…お昼時など混雑時間帯に速度が遅くなる格安SIMもあります
- サービス・機能…特定のアプリの通信量がフリーなど特徴ある機能があります
さぁ、1つ1つ見ていきましょう。
1. 格安SIMはやっぱり月額料金が大事
格安SIMの料金は、その名前の通りキャリアに比べて「格安」です。その中でもプランによって価格は様々にあります。自分の予算と相談しながら、価格とプラン内容のバランスを取ることが大事です。
多くのプランではデータ容量によって月額料金が変わり、音声通話SIMの場合はそれにプラス700円程度となります。データ容量と月額料金は、だいたい以下のようになります。(実際は格安SIMによって違うので、かなりアバウトです。)
データ容量 | データのみ | 音声通話SIM |
---|---|---|
3GB | 900円 | 1,600円 |
6GB | 1,500円 | 2,200円 |
10GB | 2,400円 | 3,100円 |
12GB | 2,700円 | 3,400円 |
20GB | 4,000円 | 4,700円 |
30GB | 5,800円 | 6,500円 |
今の格安SIMはどのMVNOを選んでも同じギガ数なら価格はほとんど変わりません。変わったとしても50円とかそんなものです。
UQ mobileとワイモバイルのいわゆるサブブランドは他に比べると少し高めです。3大キャリアと一般MVNOの間くらいの料金ですね。料金に見合うだけの品質や速さもありますから、これは妥当な料金です。
また、家族でまとめて契約すれば安くなる「家族割」がある格安SIMもあります。そういったものも検討材料にするといいでしょう。
2. 自分に合ったプランを探そう
格安SIMはプランがたくさんありますが、おおまかに2つのパターンに分かれます。まずは自分の使い方で、どのパターンがあっているのかを考えましょう。
■定額で使えるギガが決まっているタイプ
ほとんどの格安SIMで使われているのが、毎月の使える通信量が決まっていて、毎月同じ料金となるプランです。使えるギガの量によって料金が段階的に用意されています。
定額なので、毎月の料金を計算しやすいメリットがあります。ただし使える量を超えてしまうと低速制限がかかってしまいます。追加のギガを買うこともできますが、大抵は割高です。毎月のデータ使用量があまり変わらない人、安定した料金を求める人におすすめです。
使える通信量は1ヶ月で◯GB、というものがほとんどですが、OCN モバイル ONEには1日で◯MBというプランがあります。(新プランではなく従来プランです)これだと毎日制限がリセットされるので気が楽です。
■毎月の使ったギガで料金が決まるタイプ
自分が使ったギガの量によって料金が変わってくるプランもあります。
例えばb-mobileの「990ジャストフィットプラン」であれば、月のデータ利用量が1GB未満であれば月額990円で、1GB~2GBの場合は1,190円、2GB~3GBの場合は1,390円とだんだん上がっていきます。
自分の使った量だけの料金になるので、支払う料金にムダがありません。ただし翌月への繰越などはありません。月によって使うデータ量が変わる人、残りのギガ数を気にしたくない人におすすめです。
3. 混雑時間帯の速度が快適度を決める
格安SIMの一番の弱点は「キャリアに比べて通信速度が遅い」ということです。特に朝夕の通勤時間帯やお昼休みはかなり遅くなります。
なぜ遅くなるのかと言うと、簡単に言えばみんなが同じ時間帯に一斉に使うからです。格安SIMはキャリアから帯域の一部を借りて運営します。例えるなら10車線ある道路のうち1車線だけを借りるようなものです。使う人が少なければその1車線を高速で走り抜けられますが、たくさんの車が殺到すると渋滞となってしまうわけです。
少ない・狭い道路を一斉に使うから混雑してしまうのですから、ユーザーが少なく、より広い道路を持っている(借りている)格安SIMならお昼時でも高速を維持できるのです。
格安SIMの多くは、「通信網はキャリアのものを使っているので、同じエリアで使えて最大通信速度も同じ」と宣伝に書いてあったりします。これは間違いではないのですが、あくまで「最大の」通信速度です。実際にはキャリアよりもかなり遅いです。そしてMVNOによってその速度も変わってきます。
実際にどれくらいの速度がでるのか、というのは時間帯や場所に大きく左右されます。インターネット上ではこれらの通信速度を実際に測定・比較してそれを公開しているサイトも多くあります。当サイトでも、主要な格安SIMについて毎月2回の測定を行っていますので、参考にしてください。
速度については、その時その時の結果ももちろん大事ですが、一度速度が落ちた後に設備増強で速度が復活するのか、そこから見えるMVNO各社の「やる気」を読み取ることも大事です。キャンペーン等で一時的に速度が落ちても、すぐに復活してくれれば乗り換える必要もありませんしね。
主要な格安SIM19回線の混雑時間帯の実際の速度
2021年1月6-7日に実際に主要な格安SIM 19回線を使って、朝夕の通勤時間帯およびお昼休み時間に速度測定してみた結果です。(使用アプリは『Speedtest.net』)
DOWN | 8時 | 12時 | 18時 |
---|---|---|---|
IIJmio-D | 54.98 | 0.55 | 40.16 |
y.u mobile | 111.60 | 38.50 | 83.84 |
OCNモバイルONE | 60.36 | 31.66 | 60.60 |
BIGLOBE-D | 5.19 | 2.05 | 5.10 |
b-mobile-D | 33.72 | 10.17 | 29.36 |
日本通信 | 73.96 | 41.74 | 71.80 |
DTI SIM | 19.35 | 0.52 | 19.04 |
nuroモバイル-D | 32.50 | 1.37 | 33.88 |
mineo-D | 93.26 | 1.99 | 54.86 |
UQ mobile | 23.30 | 11.08 | 11.01 |
mineo-A | 25.02 | 1.87 | 18.94 |
IIJmio-A | 7.13 | 3.68 | 12.92 |
BIGLOBE-A | 22.36 | 1.57 | 9.04 |
nuroモバイル-A | 4.08 | 4.18 | 4.84 |
ワイモバイル | 59.44 | 39.62 | 42.80 |
nuroモバイル-S | 17.26 | 2.65 | 4.31 |
b-mobile-S | 41.72 | 23.02 | 20.84 |
mineo-S | 35.68 | 2.16 | 21.78 |
LINEモバイル-S | 30.90 | 5.33 | 25.18 |
より詳しい内容は以下のページをご覧ください。
今回に限らず、いつも速い結果を出すのはだいたい以下の格安SIMです。
- Y!mobileとUQ mobile
- サブブランドはやっぱり通常の格安SIMとは違って速いです。
- b-mobile
- とくにソフトバンク回線は毎回速いです。同じ会社の別ブランド「日本通信SIM」はドコモ回線ですがこちらも速いです。
- OCN モバイル ONE
- 2019年11月から始まった新コースはドコモ回線の中でかなり速いです。
- y.u mobile
- 以前のU-mobileがリニューアルしたような比較的新しい格安SIMです。開始から約1年経ちますが高速を保っています。
混雑時間帯に遅くなるのが嫌ならば、上記の格安SIMの中から選ぶといいでしょう。
逆に、昔は速かったりしてその印象や記録が残っているけど2021年現在では遅いSIMというのもあります。速度測定については、それがいつのデータなのかが重要です。また、ある程度の期間で継続的に測定するのも大事です。私はすでに5年以上速度測定を毎月実施しています。
4. その他のサービス・機能に注目
速度や料金で格安SIMを選ぶ方がほとんどだとは思いますが、それ以外に各社が行っている様々なサービスもチェックしたいところです。
- SNSアプリがカウントフリー
- 通常は高速通信できるデータ量が月に何GBと決まっていますが、LINEモバイルでは、LINEやTwitter、Instagramなどを使ったときに残りの使えるデータ容量が減らない(カウントフリー)オプションがあります。
- 音楽・エンタメ系がカウントフリー
- 上のSNSと同様に、OCN モバイル ONEではAmazon MusicやLINE MUSIC、Spotifyなどでデータ容量が減らないオプションがあります。また、BIGLOBEモバイルでは、同様にYouTubeやAbemaTVといったエンタメ系アプリがカウントフリーになります。
- ゲーム系がカウントフリー
- LinksMateでは対象のゲームアプリがカウントフリーとなります。外でゲームをすることが多い人はお得でしょう。対象アプリは限られていますが、続々増えています。
- Wi-Fiスポット
- 全国の施設棟にあるWi-Fiスポットを使える格安SIMも多いです。アクセスポイントの場所や規模、料金は様々ですが、OCN モバイル ONE、BIGLOBEモバイル、UQ mobileなど多くの格安SIMが対応してます。
- 余ったデータ量の繰越・プレゼント
- 月に3GBまでのプランで、2.5GBまでしか使わなかった場合、データ繰越できる格安SIMでは、残った0.5GBを次の月に繰り越し、翌月は3.5GBまで使えるようになります。これも多くの格安SIMで採用されていますが、mineoの場合はうまくやればずっと溜め込んで数十GBに増やせる仕組みがあります。
- 低速モード
- 高速通信する必要がない時、自分の意志で低速モードに切り替えられる格安SIMがあります。この低速モードでの通信はデータ残量を消費しません。これを使ってギガを節約してやりくりできます。
- バーストモード
- 低速通信時に、最初の数秒(150KB程度)だけ高速通信できる機能です。IIJmioやmineoで採用してます。軽いデータなら低速モードでもサクサクに感じます。
タイプ別のおすすめ格安SIM
ここまで書いてきた「速度」「プラン」「料金」「サービス・機能」を総合的に判断して、自分に何が必要なのか、それに合った格安SIMはどれなのかを選んでいくといいでしょう。
やっぱり「格安」SIMというのだから、とにかく安いのが一番ですよね。基本的に今の格安SIMは同じデータ容量であればどこを選んでもほぼ同じような料金になっています。そんな中でも「とにかく安く」を実現するのなら、以下の格安SIMがおすすめです。
動画はデータ量をたくさん消費するので格安SIMで使うのはあまりおすすめしませんが、これらが使い放題となるオプションを提供している格安SIMもあります。
スマホで使う通信の多くがLINEやTwitterなら、それらが高速データ通信にカウントされない格安SIMがおすすめです。LINEやTwitterに使う分のギガをほかに回せますからね。
格安SIMは時間帯によってはひどく遅くなることがあります。お昼などの混雑時間帯でも十分な速度を維持できている格安SIMはこちらです。
格安SIMは「自分で調べられる人」に向いていると言われます。何かあったときにはシェアが高い(利用者の多い)ところなら、トラブル対策の情報もたくさん出てきます。みんな使ってるなら安心感ありますよね。
シェアについては次の項でも説明します、
格安SIMのシェア
格安SIMを選ぶときの判断基準は今まで書いてきたとおりですが、やっぱり「みんなどの格安SIMを使っているのか」というのも気になりますよね?そういう意味では、格安SIMのシェアを調べるのも1つの手です。
シェアが大きいところの格安SIMを使えば、なにか困ったことがあったときでも、解決策が見つかりやすかったり、相談できる人が多かったりしますからね。
総務省の「令和2年度第2四半期(9月末)電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データ」によると、キャリアから直接回線の提供を受けているMVNOだけで608もあります。
この資料の中で格安SIMのシェアについても触れられており、トップ5は以下のとおりです。
楽天モバイル … 15.2%
IIJmio … 14.0%
OCN モバイル ONE … 11.0%
mineo … 8.9%
LINEモバイル … 6.4%
これにはおそらくUQ mobileとY!mobileは入ってません。また、楽天モバイルはMVNOとしてはすでに新規受付を終了しています。
別の資料として、MMD研究所の2020年3月格安SIMサービスの利用動向調査による「メインで利用している格安SIMサービス」トップ5は以下になります。
楽天モバイル … 26.4%
UQ mobile … 11.8%
mineo … 11.0%
OCN モバイル ONE … 7.6%
IIJmio … 6.2%
なお、こちらもY!mobileはキャリアサブブランドとして集計には入ってません。ただ、メインで使用しているサービスという設問では、格安SIMをすべて含めたMVNOが14.0%のところ、Y!mobileは6.3%でした。なのでMVNO全体の4割程度と同等の契約数があるようです。
まとめ
ここまで書いたように、格安SIMにはたくさんの種類があり、どれが一番いいのかは使う人によります。最初に書いたように、「料金」「プラン」「通信速度」「サービス・機能」をよく見て、自分にどれが必要なのか、どこが妥協できるのかを考えるといいでしょう。
月に使うギガ数が多い場合など、場合によっては格安SIMよりもドコモやソフトバンクなどのキャリアで契約したほうがいいこともあります。焦らずに検討するのがいいと思いますよ。
安易に格安SIMをおすすめしてくるサイトもありますが、たとえば混雑しない時間帯の速度測定結果を出して「十分使える速度です」なんて書いてあったり、データ自体が2年前のものだったり、そんなサイトもあります。できれば当サイトのように、ちゃんと格安SIMを使ってそのデータを出してる記事を(当サイトに限らず)読んで検討していただきたいです。
OREFOLDER編集長。
1979年静岡県清水市生まれ、現静岡市清水区在住。
様々な巡り合わせから、このサイト1本で生活してる氷河期世代の一人。ガジェットに限らず広く浅く様々なものに興味があります。
スマートフォンは2010年にXperia SO-01Bを買ったのが最初。同時にb-mobile U300で格安SIMも始めました。これまでに数百台のスマホを手にし、格安SIMも常時20種類以上契約しています。