TERRAMASTER F4-425 Plus レビュー:HDD×4ベイ+M.2 SSD×3基を利用できるハイブリッドNAS

TERRAMASTERより、次世代ハイブリッドNAS「F4-425 Plus」をレビュー用に提供していただきました。

PCやスマホを長年使っていると保存しているデータはどんどん増えてきますよね。そして、私のように複数のデバイスを使っていたりスモールオフィスのような環境だと、どのPCからもアクセスできるデータ保存領域が必要になってきます。

GoogleドライブやOneDriveなどのクラウドストレージも便利ですが、必要容量が多くなると毎月の料金も高くなりますし、クラウドにはアップロードできない(したくない)データもあります。こういったときに便利なのがNAS(Network Attached Storage)です。

個人的にはこれまでSynologyとUGREENの2つのNASを使ってきて、どちらも2ベイのものでした。2つ使うのも面倒だし4ベイのものでまとめようかな?と思っていたところに3+4ベイ構成の「TERRAMASTER F4-425 Plus」を提供していただいたので渡りに船でした。

NASについてはそう難しい使い方をしているわけでもなくまだまだ初心者なのですが、そんな私なりに使ってみて感じた「TERRAMASTER F4-425 Plus」の良いところ、イマイチだったところをレビューしていきます。

TERRAMASTER F4-425 Plusの通常価格はF4-425 Plusが95,990円です。HDDやSSDは付属していないので、別途自分で用意する必要があります。

  • 本記事は広告およびアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。

TERRAMASTER F4-425 Plusの概要

TERRAMASTER F4-425 PlusはHDDが4ベイ、M.2 SSDスロットが3基、3+4ベイ構成で最大144TBの大容量ストレージを構築可能なハイブリッドNASです。CPUにIntel N150とRAMは16GB DDR5メモリを搭載し、デュアル5GbE高速ネットワークにより最大1010MB/sの超高速転送を実現、そしてスマホアプリによる管理やAIによるプライバシー保護機能も搭載します。

2ベイのF2-425 Plusもあり、主なスペックは以下になります。

ここをタップで開閉します
F4-425 Plus F2-425 Plus
価格 95,990円 67,990円
ドライブベイ数 4 2
CPU Intel N150(4コア) Intel N150 4コア
メモリ 16GB DDR5 8GB DDR5
LANポート 5GbE ×2 5GbE ×2
M.2 SSD 3 3
USBホスト(前面) USB 3.2 ×1 USB 3.2 ×1
USBホスト(背面) USB 3.2 ×3 USB 3.2 ×3
最大総容量 144TB(30TB×4 + 8TB×3) 84TB (30TB×2 + 8TB×3)
対応RAID RAID 0/1/5/6/10・TRAID/TRAID+ RAID 0/1/JBOD/Single; TRAID
ケース素材 アルミ合金 アルミ合金

TERRAMASTER F4-425 Plusの外観

TERRAMASTER F4-425 Plusは外周をぐるっとアルミ合金製のフレームで覆われています。最初にAmazonの商品画像を見たときは白に見えたのですが、普通にアルミっぽいシルバーでした。

サイズは150×181×219mmで、それなりに存在感のある大きさです。

正面にはHDDがスロットが大きく4つ並んでいます。表面はザラザラしていて指紋等はつきにくい加工。右上に電源ボタンとUSB-A(10Gbps)が1つあります。

背面側に大きな排気口があり、左側にリセットボタン、HDMI、LANポート×2、USB-A×2(10Gbps)、USB-C(10Gbps)、電源ポートがあります。

側面にはTERRAMASTERのロゴがあり、右側面にのみアプリダウンロードURLのQRコードが貼られています。

底面は4つのゴム足に排気口、各種仕様のシールが貼られています。

底面に見える4つのネジを外すとアルミカバーを外せます。すっぽり被せる形になっています。

ボードのある一面にRAMとM.2 SSDを3つ装着できます。RAMは16GBでM.2 SSDはType2280の大きさでPCIe 3.0です。

HDDの装着

HDDトレイは、上の方を押して引き出すだけで取り出せます。

トレイの側面にあるパーツを一度外し、HDDを載せたあとにそのパーツで固定します。側面のパーツはネジなどなく、ツールレスで装着できます。

なお、F4-425 Plus自体にはHDDは付属しませんので自分で用意する必要があります。今回は使われずに数年眠っていた古いHDDを利用してみました。実際に運用する場合はNAS向けのものを使ったほうが良いです。

初期設定はアプリからかんたんに

TERRAMASTERのNASはウェブにインストールガイドがあります。F4-425 Plusは以下のページになります。

F4-425 PlusにHDDを装着し、ルーターと接続して電源を入れたあとは、このページから初期設定が可能です。この中にスマホ用アプリのリンクもあり、アプリからも初期設定が可能です。

Google playTNAS mobile
TNAS mobile
制作: terra master
価格: 無料

ダウンロード

私はAndroidアプリから初期設定したので、このあとはアプリの画面になります。

アプリを起動すると同じLAN内のデバイスが表示され「未初期化」となっているので、タップすると初期化が始まります。基本的にアプリ内の指示に従って進めていけばOKです。

HDDの初期化はだいたい5分くらいかかりました。これは装着したHDDにもよると思います。

初期化が終わるとまずは管理者アカウントのようなスーパーユーザーを作成します。

最後にストレージプールとボリュームの作成が行われます。これはRAID構成や使用するHDDの容量によって所要時間が異なりますが、軽く数時間かかります。時間に余裕のあるときにやりましょう。

…このあたりで気づいたのですが、そういえばRAID構成の選択がありませんでした。F4-425 PlusはRAID 0/1/5/6/10とTRAIDが利用できるはずですが、アプリでは自動的にTRAIDで構成されていました。

TRAIDはTerraMaster RAIDの略で、TerraMasterが開発した独自のディスクアレイ管理ツールです。異なる容量のHDDを混ぜて利用しても、そのスペースを細かく分割して効率的に利用し、使用できる容量が最大化されたり、稼働中に新しいHDDを追加・交換するとRAIDの再構築をせずに容量が自動で拡張できる、といった特徴があります。

自動でいい感じにしてくれる機能なので、NASの初心者な私にはこれで問題ないのですが、自分でちゃんと指定したい場合はアプリではなくPCでウェブから初期設定すれば変更できるようです。一度TRAIDで設定してしまうとまた初期化しないと通常のRAIDにできないので注意です。

管理用のOS「TOS 6」

F4-425 PlusにはNAS用のOS「TOS 6」が搭載されており、ブラウザ上でファイル操作や各種設定、アプリのインストール等が可能です。

なお、PC用のアプリも用意されているのですが、大抵の操作がけっきょくこのブラウザ表示に飛ばされるだけだったりするので、最初からこちらを開いたほうが早いです。

TOS 6の画面はウインドウのならぶGUIで、使い方の理解は簡単です。スタートボタンからは利用した項目のアイコンが並ぶほか、NASをシャットダウンさせることも可能です。最初にチュートリアルも表示されるので、あとは一通りどんな機能があるのか見るとよいでしょう。

NAS自体の温度や負荷といった情報も確認できますし、ユーザーの追加・管理もできます。

これらはスマホ用アプリでもだいたいは同じ事が可能です。

また、アプリを追加して機能を拡張することもできます。開発系の人ならDockerを使っていろいろできるようですが、私はこのあたりは疎いのでほとんど使っていません…。

Photosでスマホの写真をバックアップ

アプリの一つに写真管理ツールの「Photos」があります。これはAIで人の顔やペット、物体を判別しソート・表示できるアプリです。Googleフォトのようなものですね。

AI認識で人物や場所、シーンなどでまとめて表示できます。さすがに精度はGoogleフォトのほうが上だと感じますが(Googleフォトは子供時代とかも同じ人物として認識できてすごい…。)十分実用的です。

スマホのTNASアプリで「アルバムのバックアップ」を設定しておけば、スマホで撮影した写真を自動的にNASへとバックアップできます。これでスマホのストレージやGoogleフォトの容量などが楽になるのではないでしょうか。

TERRAMASTER F4-425 Plusの良かったところ・イマイチなところ

実際にTERRAMASTER F4-425 Plusを2週間ほど使ってみて感じた良かったところ・イマイチなところをまとめます。

良いところ
  • HDD×4、M.2 SSD×3を使える
  • 初期設定も案内に従って簡単
  • 使い始めればあとはPCからもスマホからも快適に使える
  • アプリも多くあっていろいろ使えそう
イマイチなところ
  • 専門用語があって初心者向けではない
  • HDD等は自分で用意する必要がある

本当の初心者にはちょっと難しいかも

最初の初期設定などはアプリやウェブのガイドに従って実施すれば迷うことはありません。ただ時折専門用語などが出てきて、その説明は特にないので本当の初心者にはちょっと難しいかもしれないと思いました。とはいえ初心者でもわからないなりに使い始める事はできるので、あとは使いながら少しずつ学んでいく…といったところでしょうか。

個人的にはSynologyよりは簡単で、UGREENよりは難しい、と感じました。とは言っても難しさはソフトウェアの表現的な部分でそう感じるのがほとんどなので、今後改善されていくことを期待します。

HDDやSSDをたくさん利用できるがそれは別途費用がかかる

HDDベイが4つあり、さらにM.2 SSDも3つ使えます。M.2 SSDはHDDと同じようにストレージとしても利用できますし、キャッシュ用としても利用可能です。コスト的に考えればキャッシュ用として使ったほうが良いでしょうか。スマホで初期設定したらいつの間にかTRAIDになっていたのは驚きましたが、初心者的にはこの方がありがたいのかもしれません。

そのHDDやSSDは自分で用意しなければならないというのは初心者的には注意点の一つです。F4-425 Plusだけで10万円弱するので、そこにHDDの代金を加えるとさらに数万円がコストとしてかかります。クラウドストレージを使うとサブスクリプションで料金を支払い続けることになりますが、それが10万円を超えるまでにどれくらいかかるか…。自分でNAS運用する場合はストレージのメンテナンスも必要になりますしね。

もっとも、クラウドだとアップロードできるファイルに制限があったり「自分の子供をお風呂に入れてる写真を入れておいたらアカウントごと削除された」なんていう話も昔から聞きます。自分のNASならそんなことはないので、外に出せない資料なども保存できます。(インターネットから切り離してローカルでしかアクセスできないようにもできます。)

使い始めれば快適で多機能

今回はレビュー用に使っていただけですが、「仕事で使う資料などをNASに保存し、複数のデバイスから利用する」という基本的な使い方では快適に利用できました。

Windowsのエクスプローラーでネットワークドライブとして表示できますし、普通にローカルのPC内のファイルを使うのと同じ感覚で利用できます。PCで作成した画像などの保存のほか、カメラで撮影した写真データをftpで自動的にNASに転送する設定にし、そのデータをPCでRAW現像したり画像編集したりといったことも、問題なくできます。ネットワークドライブ上だからといって、大きな遅延を感じることはありませんでした。あまりに大きな多量のファイルだとわかりませんが…。

F4-425 Plusの機能的にはもっといろいろ活用法があるのだとは思いますが、まだまだNAS初心者の私としては、この基本的な使い方がしっかりできるというので安心しています。

まとめ

ハイブリッドNAS「TERRAMASTER F4-425 Plus」を2週間ほど使ってレビューしてきました。若干、初心者にはとっつきにくい印象はあるものの、多機能でしっかり使えるNASです。個人か家庭で使うのも、スモールオフィスで使うのにもちょうどいいNASではないでしょうか。

Intel N150に16GBのRAM、5GbE×2の高速ネットワーク、HDD×4だけでなくM.2 SSD×3をキャッシュにもストレージにも使え、異なる容量のドライブも柔軟にまとめてRAIDできるTRAID、こういった点に魅力を感じるのであれば、TERRAMASTER F4-425 Plusはしっかり応えてくれるNASとなるでしょう。

参考情報

本記事に記載された内容は記事公開時点のものであり、必ずしも最新の情報とは限りません。記事をご覧いただく際には、最新の情報を確認するようお願いいたします。

OREFOLDERの最新情報をお届けします
author icon
orefolder

OREFOLDER編集長。
1979年静岡県清水市生まれ、現静岡市清水区在住。

様々な巡り合わせから、このサイト1本で生活してる氷河期世代の一人。ガジェットに限らず広く浅く様々なものに興味があります。

スマートフォンは2010年にXperia SO-01Bを買ったのが最初。同時にb-mobile U300で格安SIMも始めました。これまでに数百台のスマホを手にし、格安SIMも常時20種類以上契約しています。

⇨orefolderの記事一覧