格安SIMのmineoより、P-UP製のスマートフォン「Mode1 RETRO II」をお借りしました。「型はガラケー、中身はスマホ。」ということでパッと見は折りたたみ式のガラケー(フィーチャーフォン)なのに中身(OS)はちゃんとしたAndroid 13という、変わり種のスマートフォンです。
実際に使ってみると、確かにガラケーの懐かしい握り心地に操作感はあるものの、動いてるのは普通のAndroidで、かなり不思議で戸惑います。
スマホの感覚で使うと面倒なことが多く、どちらかといえば「普段は電話機、時々スマホ(データ通信端末)としても使える」と考えたほうが良い端末でした。
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Mode1 RETRO IIの概要
Mode1 RETRO IIは、かつてのケータイのように画面+テンキーのスタイルを持ち、折りたためるスマートフォンです。
上の画面は約3.5インチで解像度は720×1440pxのHD+、タッチして操作が可能で、ジェスチャーなども通常のスマートフォンと変わらず使用できます。一方で下側にはテンキーを搭載し、いつでもすぐに電話を起動できます。
基本的なスペックとしては、SoCにHelio G85を搭載し、4GBのRAMと64GBのストレージ(microSDカード対応)、バッテリーは2500mAhを搭載します。
折りたたんだときの背面はレザー調で中央に赤いステッチ模様があるのがおしゃれ。ちなみに、今回お借りしたのは「ウルフブラック」というカラーで、ほかに「シープホワイト」もあります。
背面ディスプレイには時刻やメール通知などが表示されます。ここは「時刻」「時刻とアイコン」「日付とアイコン」から選択できます。常時表示ではないのがちょっと残念。
背面ディスプレイの上辺りには通知ランプがあり、メールなどある時はだいたい5秒間隔で点滅します。
このほか、サイドのヒンジ近くにはストラップホールがあり、底面側にはUSB Type-Cポートがあります。スピーカーとの関係なのか、USBポートが中央にないのはちょっと気になります。
ガラケーの良さを引き継ぐ操作感
「型はガラケー」なので、下部側のキーで操作したくなります。緑の通話ボタンに赤い終話ボタン、OKボタンと周囲のカーソル、ショートカットボタンなどはたしかにガラケーっぽく、10年ぶりにこういったキーに触る私でも当時の感覚で操作できました。
OKボタンの周囲のカーソルはそれで画面内の選択位置移動やスクロールに使えますし、I~IVのショートカットボタンも案外使いやすいです。赤い終話ボタンは2回押しでホームに戻る機能もあります。
このあたりは非常に「わかりやすい」と感じました。
ただ、イマイチ指の位置感覚が合わないなぁ…と思ったのは、おそらくAndroidの3ボタン(戻る・ホーム・起動アプリ一覧)が付いてるからでしょう。これのせいでガラケーより1行多いんですよね。慣れれば問題なさそうですが。
スマホアプリを使うのには面倒
Mode1 RETRO IIは上の画面をタッチ操作することもできますし、下のカーソルキーで項目を移動・選択することもできます。上の画像で言えば『アシスタント』や「アプリ」のところが現在選択されている箇所になります。
ただ、試用している間、なんだかんだで上の画面を触って操作してしまうことが多かったです。もう10年以上スマホのタッチ操作しているからでもありますし、カーソルでの選択が思うように行かない場合も多々あったからです。
SNS系のアプリであればカーソルキーでスクロールできて便利かな?と思ったのですが、意外と素直にスクロールしてくれず、使えませんでした。一部のキーボード付き端末のように、テンキー部分をスライドで操作したい…と何度も思いました。まぁそうするとガラケーの操作感からは離れてしまいますね。
けっきょく中身は普通のAndroidなので、カーソルキーでの操作に最適化されているわけではありません。ガラケーは表示する画面と操作するテンキー側と完全分離しているのが良かったのですが、Mode1 RETRO IIでは操作は一部に限定されるのでなかなか厳しいものがあります。
ホーム画面と設定に関しては、「シンプルホーム」にすることで操作しやすくなります。ガラケーと似た操作感になるので、テンキー側だけでも十分操作できます。(とはいえ、他のアプリを起動すればまたスマホの操作感になるわけですが。)
中身は普通のAndroidスマホなので横向き操作のアプリやゲームもインストールできます。ただ、めちゃくちゃ操作しにくいです。縦持ちのまま画面だけ回転してくれたらなぁ…なんて思いますが、さすがに横向きのゲームをプレイするのは想定する使用用途とは違うのでしょう。
ベンチマークの値は低いが意外としっかり動く
Mode1 RETRO IIはSoCにHelio G85、そして4GBのRAMを登載します。ローエンド帯(エントリーモデル)のスペックですね。
いくつかのベンチマークアプリを実行してみました。Geekbench 6がシングル415点でマルチが1,420点、3DmarkはWild Lifeで707点、Wild Life Extremeで185点、PCMarkのWork 3.0 performanceは6,826点でした。
GeekbenchはCPUの性能を、3DMarkはグラフィック性能、PCMarkはWeb閲覧など基本的な作業に関する性能を測るベンチマークアプリです。
ベンチマークの値を見ると確かにローエンド帯の数値です。ただ最近のこのあたりのスマホはこれで意外としっかり動きます。
Mode1 RETRO IIも操作していて大きな引っ掛かりなどを感じることはあまりありませんでした。キビキビしてるとは言いませんが、カーソルキーでの操作と画面の動きが違和感ない動きです。
カメラは記録用くらいに
Mode1 RETRO IIのメインカメラは約4,800万画素あります。ここだけ見るとそれなりにしっかり写せそうですが、現実はなかなか厳しいものでした。
カメラのUIはシンプルすぎると思うくらいにシンプルです。そのわりに夜景・ポートレート・スポーツといったモードがあり、また2次元コード(バーコード・QRコード)の読み込み機能もあります。
撮影していて困ったことが2つ。まずは指が写り込んでしまいがちなこと。OKボタンでシャッターが切れるので親指で押しやすいように持つと指が入りがちです。
そして、映ってる景色が画面と向きが違うこと。スマホだとだいたいは画面の向こう側に写す景色がありますが、Mode1 RETRO IIでは若干角度が変わります。
ガラケーでも大抵は本体の背面下側にカメラがあったのでMode1 RETRO IIも同じなのですが、自分が久しぶりすぎたからか、これらの違和感が気になりました。ガラケーのときの自分がどうしていたのか、いまいち思い出せません。
実際に撮影した写真
明るいところでもピントが合いにくいですね。
暗いところも弱いです。夜景モードもほとんど関係ありません。
さすがに15年前のガラケーよりは各段に画質いいと思いますが、最近のスマホと比べるとだいぶ劣っている印象です。まぁカメラを求めるならほかのスマホを使えばいいですし、この端末に求めるものではありませんね。
電話としては、やはり使いやすい
普通のスマホとして使おうとするとイマイチ使い勝手が悪く感じますが、やはり「電話機」としてなら、この形は使いやすいです。耳に受話口を当てると送話口が口の近くにちゃんとあり、いい感じの角度がついてるのは安心します。(もしかしてスマホネイティブだとそういう感覚はないのかもしれませんね…。)
どの画面にいても緑の通話ボタンを押せばすぐに電話アプリが起動しますし、履歴や電話帳も一発で出せます。やはり電話機ならこの形なのだなぁと再認識させられました。
ガラケーか、スマホか
「型はガラケー、中身はスマホ。」実際に使ってみても、たしかにそのとおりだと感じました。上半分はコンパクトなスマホで、下半分はガラケーがくっついてるイメージです。
ただ、スマホに慣れすぎた人がこれを普段使いするのはやはり難しいですね。2台持ちで、通話特化として利用するのが良いと思います。基本は通話だけど、いざというときにはスマホとしても使える、スマホ的な機能はサブ機能として割り切る、という使い方です。
これまでガラケーを使っていて、スマホに慣れるためにMode1 RETRO IIを使う…というのはあまりオススメしません。そういう使い方としては、どちらも中途半端になってしまう気がします。
できるだけこれまでのガラケーと同じ使い方をしたい、でもスマホ的な機能もちょっと使えるといい、という考えならばアリだと思います。あくまで通話メインで使うという考えです。
まとめ
Mode1 RETRO IIは「型はガラケー、中身はスマホ。」という変わり種のスマートフォンです。普通の人に気軽に勧めるものではありませんが、普通のスマホには飽きた人、ガラケーが懐かしい人、ガラケーを触ったことがない人にはなかなか面白いスマホです。
通話メインで「電話機」として使うスマホが欲しい人、この形が刺さる人、2台目3台目として変わり種が欲しい人、そんな人たちに向いたスマートフォンです。
スペック
OS | Android 13 |
---|---|
CPU | MediaTek Helio G85 |
RAM | 4GB |
ストレージ | 64GB |
外部メモリ | microSDXC (最大1TBまで) |
ディスプレイ | 3.5インチ 720×1440 (HD+) |
メインカメラ | 4,800万画素 |
フロントカメラ | 1300万画素 |
バッテリー | 2500mAh |
サイズ | 約112 × 52 × 20 mm (折りたたみ時) |
重量 | 約145g |
生体認証 | 指紋(サイド) |
防水防塵 | 非対応 |
SIM | nanoSIM スロット×2 DSDV ※両SIMスロット共にVoLTEサポート。 |
対応バンド | 5G :非対応 4G : LTE B1/B3/B8/B19/B20/B26/B28b/B41 3G : W-CDMA B1/B6/B8 2G : GSM 850MHz/900MHz/1,800MHz/1,900MHz ※FOMAプラスエリア&楽天UNLIMIT非対応 |
その他 | ストラップホール |
余談
今回のMode1 RETRO IIはmineoよりレビュー用にお借りしました。mineoのAプラン(au)、Dプラン(ドコモ)、Sプラン(ソフトバンク)のどれでも利用可能です。
実際にそれぞれのプランのSIMを入れたときにAPNの一覧でmineoが出てくるのはSプランのSIMだけです。APNプランとDプランの場合は自分でAPN設定を入力するように案内されています。
…が、よく見るとAプランのSIMではPikara mobileのところに「mineo.jp」と書かれています。実はこれを選んでもモバイル通信できるようになります。ピカラモバイル(元FiiMo)はmineoがMVNEなのでAPNが同じだったりします。ユーザー名などは違うのでちゃんとmineoのものを入れたほうがいいことは間違いありませんが。