Galaxy Buds2 Proを貸し出していただきました。Galaxyの最上位TWSイヤホンで、音質やノイズキャンセリング性能はもちろん、センシング技術を活かした便利機能が多数あります。
目次(見たいところからチェック!)
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Galaxy Buds2 Proのスペック
型番 | SM-R510 |
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接続方式 | Bluetooth 5.3 |
サイズ | イヤホン本体:21.6 × 19.9 × 18.7 mm 充電ケース:50.2 × 50.1 × 27.7 mm |
対応コーデック | SBC, AAC, Galaxyシームレスコーデック |
対応プロファイル | A2DP, AVRCP, HFP |
バッテリー容量 | イヤホン片方:61mAh 充電ケース:515mAh |
最大再生時間(ANCオン時) | 約5時間(イヤホンのみ)約18時間(充電ケース併用) |
最大再生時間(ANCオフ時) | 約8時間(イヤホンのみ)約29時間(充電ケース併用) |
防水性能 | IPX7 |
重量 | 約5.5g(イヤホン片側)、約43.4g(充電ケースのみ)、約54.4g(充電ケース+両イヤホン) |
搭載センサー | 加速度センサー,ジャイロセンサー,ホールセンサー,近接センサー,タッチセンサー,VPU(Voice Pickup Unit) |
搭載マイク数 | 6つ |
カラー | ボラパープル,グラファイト,ホワイト |
パッケージと内容物
貸して頂いたのがボラパープルだからか、パッケージは黒をベースにしています。どことなく高級感を感じるパッケージです。
内容物一覧です。Galaxy Buds2 Pro本体と充電ケース、イヤーチップ(3サイズ)、USB Type-Cケーブル、クイックスタートガイドが入っていました。USB Type-Cケーブルは両方がCのC to Cケーブルでした。
イヤホン本体と充電ケース
イヤホン本体
イヤホン本体です。
丸っこい形で、表面はしっとりとした触感です。
充電ケース
充電ケースです。イヤホン本体と同じように、しっとりした触感です。イヤホン本体・ケース共に、飛び抜けて高級感があるというわけではないですが、安っぽさは感じられず、ポップで可愛いデザインです。
ケースは背面にUSB Type-Cポートがあり、
その逆側に充電の状態を示すインジケーターがあります。
Android端末と接続して使う
専用アプリで管理
Galaxy Wearable (Gear Manager)-
制作:Samsung Electronics Co., Ltd.価格: 無料
Galaxy Buds2 Pro Manager-
制作:Samsung Electronics Co., Ltd.価格: 無料
Galaxy Budsシリーズなど、Galaxyブランドのウェアラブル製品にはGalaxy Wearableという専用アプリがあり、AndroidならPlayストアかGalaxy Storeからダウンロードできます。
なお、他社製端末でPlayストアからGalaxy Wearableアプリをインストールした場合、Galaxy Wearableアプリをインストールした後に、追加でGalaxy Buds2 Pro Managerというアプリもインストールする必要があります。
ペアリング
ペアリングは、One UI 3.1以降を搭載したGalaxyデバイスであればフタを開けるだけで行えます。自動でポップアップが表示されるので、接続をタップすれば簡単にペアリングできます。
それ以外の他社製のAndroid端末でも、PlayストアからGalaxy Wearableのアプリをインストールし、アプリを起動した状態でペアリングをすると、似た感じで簡単にペアリングできます。
Galaxy Wearableアプリをインストールしていなくても、One UI 3.1以降を搭載したGalaxyデバイスであれば、ペアリングすると自動でインストールの画面が出てきます。
Galaxy Buds2 Proは後述する機能が沢山あるので、権限の許可も多いです。順に許可すると機能が使えます。
Galaxy Wearableアプリ
アプリトップはこのような画面です。イヤホン設定をタップすると、右の画像のメニューに移動します。
音声検出
音声検出の機能は、装着している人が話すと自動でアンビエントサウンドをオンにし、会話を聞き取りやすくしてくれる機能です。1秒ほど話すと、自動でモードが切り替わります。装着者の声が検出されなくなって、元のモードに戻るまでの時間を5/10/15秒から選択できます。
360オーディオ
360オーディオは、空間オーディオの機能です。ヘッドトラッキング機能と、ヘッドトラッキングではない空間オーディオの機能が両方あります。
タッチ操作(割り当て変更)
タッチ操作の2回タップ/3回タップのオンオフや、長押しの割り当て変更が行えます。
長押しは、ANC/周囲の音などの機能切り替えとBixbyの起動、Spotifyから選べます。
Spotifyは、動作するとバックグラウンドでSpotifyの音楽が再生(最後に再生したものが再開)されます。スマホを触らずに、イヤホンだけで再生できるという利点があります。
機能切り替えは、どの機能を往復するかも選べます。初期設定では、ノイズキャンセリングと周囲の音を往復するように設定されています。
イヤホンリモート追跡
Google Fast Pairに対応したイヤホンなどのように、イヤホンの現在地を推定する機能もあります。置き忘れた(端末との接続が切れた時)際に通知する機能や、最後に接続が確認された位置まで案内してくれる機能などがあります。近くまで行った場合などに使える、音を出す機能もあります。
イヤホン設定
イコライザー
いくつかのプリセットから選ぶ方式のイコライザー機能です。音質については後述します。
イヤホンの装着状態のテスト
短い音を再生して、イヤホンが適切に装着されているかテストする機能です。きちんと装着されていなければ、ノイズキャンセリングの効果をしっかりと得られないことがあります。
通知を読み上げ
端末にインストールされているアプリの中から、選択したアプリの通知の概要(通知時刻とアプリ名)か、もしくは通知全文を読み上げてくれます。
通話中に[周囲の音]を使用
通話中に、「周囲の音」機能を使う設定です。自分の声が聞こえやすくなるので、声が大きくなるのを防げます。
通話時の装着検出
通話時、イヤホンを装着していればイヤホンで音声が再生され、装着していなければ端末で再生されるようになる設定です。
イヤホンをシームレスに接続
いちいちペアリングを解除することなく、シームレス(繋ぎ目が分からないよう)に再生元デバイスを切り替える機能です。
首ストレッチのリマインダー
この機能をオンにすると、10分以上首に負荷のかかる姿勢を続けていた場合、首をストレッチするように…
このような通知が来ます。
ラボ(実験的機能)
ラボには、実験的機能としてゲームモードと「イヤホンの端をダブルタップ」があります。それぞれ有効化すると、ゲームモードは遅延が少なくなり、イヤホンの端をダブルタップでは音量調節ができるようになります。
ユーザー補助
ユーザー補助は、アクセシビリティ関連の機能です。左右で聴覚が異なる場合に使う音量バランスの機能や、片側のみの装着時にノイズキャンセリングを使う設定、「周囲の音を増幅」という簡易的な補聴器的機能などがあります。
イヤホンのソフトウェア更新
イヤホンのソフトウェア更新は、ファームウェア更新の機能です。このレビューは、R510XXU0AVI7のファームウェアで執筆しています。
Galaxyシームレスコーデックとは?
Galaxy Buds2 Proの対応コーデックはSBCとAACのほかにGalaxyシームレスコーデック(サムスンシームレスコーデック)があります。
Galaxyシームレスコーデックは、One UIを搭載した端末でのみ使える独自のBluetoothコーデックです。周囲の電波の干渉を分析し、最適化されたデータを送信することで、安定したBluetooth接続を実現しています。
ビットレートを88kbps〜512kbpsの間で動的に調整するため、途切れの少ないサウンド体験が楽しめます。また、電波環境の良い場所では、より高音質なサウンドになります。
使ってみた感想――音質、ノイキャン性能など
装着感
装着感はいいです。頭を振ってもズレないのはもちろんのこと、長時間装着していても痛くなりづらく、形状がよく考えられていると感じました。
音質
本製品は、全体的にどの音域もバランスよく、自然に鳴らしてくれるイヤホンです。イコライザーで調整すればドンシャリやかまぼこサウンドにもできますし、様々な方に合う変幻自在のサウンドと言えます。
Galaxyシームレスコーデックに対応している本製品。One UI搭載端末と接続して試してみましたが、コーデックの良さに驚きました。
他のイヤホンで高音質なBluetoothコーデックのLDACを使っていると、電波環境がいいはずの場所で視聴していても、1時間に数回は音が途切れてしまうことがありました。これは、端末やイヤホンのメーカーに依らず発生したので、おそらくコーデック自体に起因すると考えています。
しかし、Galaxy Buds2 Proを使った限りでは、Galaxyシームレスコーデックでは途切れることが本当に少なかったです。ビットレートを88kbps〜512kbpsの間で動的に調整することで、この接続安定性を実現できているのだと思います。
しかし、ここで疑問も生まれます。LDACは最大990kbpsという高いビットレートだが、Galaxyシームレスコーデックは最大でも512kbpsなので、音質に違いがあるのではないか?と。
確かに、スペック上は1.9倍ほどのビットレートの差がありますが、私が試聴した限りでは、コーデックによる差はあまり感じられず、最大512kbpsのGalaxyシームレスコーデックでも十分音の解像度が高く、従来のコーデックよりも明らかに情報量の多いサウンドでした。
そもそも、高音質が売りの1つであるaptX Adaptiveでも最大ビットレートは420kbpsで、ビットレートそのものはすごく高いというわけではありません。音質はコーデックだけでは決まりませんし、Galaxy Buds2 Proはドライバーなども良質なようで、総合的に見て、Hi-Res Audio Wirelessのイヤホンと同じくらい高音質だと感じました。
バッテリー持ち
静かな室内でノイズキャンセリングは使わずに使用し、時々音声検出などで会話するような使い方をした結果、5時間に届かないくらいで片方のイヤホンのバッテリーが切れました(※使用環境により異なります)。
センシング技術を多用していることもあってか、バッテリー持ちが良いとは言えませんが、機能の多さや高度さを考えれば、妥当な時間だと思います。
空間オーディオ(ヘッドトラッキング)
本製品は360オーディオとして空間オーディオ(ヘッドトラッキング)にも対応しています。
360オーディオについて
本製品には、ヘッドトラッキングとは別に、360オーディオ機能が付いています。これは、通常の音源でも立体感を出すもので、効果として近いものを挙げるとすれば、ときどきイコライザーである、コンサートホールみたいな音響効果を付けるものに似ています(分類としてはバーチャライザー?)。
空間オーディオ自体がそもそも一般的な高音質とは違う軸なので、一般に言われる「音質」が良くなるわけではないです。切り替えてすぐは差を実感できるのですが、聴いているうちに慣れてしまう部分もあります。
ヘッドトラッキングについて
以前レビューした空間オーディオ(ヘッドトラッキング)対応イヤホンと比べると、なんとも言語化が難しいですが、正面を向いているときのヘッドトラッキング感が少なかったです。
ヘッドトラッキングでは、左右どちらを向いても、同じ程度の角度で向けば、感じる方向だけが変化して、同じくらいの音量で聴こえてきてほしいところです。しかし、個体差なのか、Galaxy Buds2 Proでは、右を向いたときの音のほうが少し大きく聴こえ、左だと右向きのときより小さく聴こえました。
このため、しっかりと定まった動かない音源の位置が感じられず、ふわふわしたヘッドトラッキング感になっていました。また追従性に関しても、少しだけ遅れて反映されるような感じで、リアルタイム性には疑問符が付きます。
ノイズキャンセル機能
特に数値でノイズキャンセリング性能がアピールされていない本製品ですが、高架下で試したところ、(アクティブ)ノイズキャンセリングは強力に効いてくれました。耳が詰まったような感覚が少なく、より自然に効いてくれるので、満足度が高かったです。
効き目だけで言えばもっと強い効き目のノイズキャンセリング機能を持つイヤホンはあるかもしれませんが、強いのに自然、というのはさすがGalaxyという感じがします。
「周囲の音」と音声検出
「周囲の音」は、外音取り込み(アンビエントサウンド)の機能です。この機能もノイズキャンセリングのように自然に効いてくれるほか、周囲の音を取り込むだけでなく、ある程度再生中の音源のボリュームも調整してくれます。そのおかげで非常に聞き取りやすく、実用的な機能になっていました。
これまでもいくつか外音取り込み機能のあるイヤホンを試したことがありますが、外音取り込みをオンにすると同時に再生中の音源のボリュームを調整してくれるイヤホンはあまり無かったので、ここでもノイキャン同様、質の高さを感じました。
音声検出機能も、その便利さに驚いた機能の1つです。装着者が話し始めると、1秒ほどで自動的に「周囲の音」へとモードが切り替わります。そもそも「周囲の音」が聞き取りやすく作られているのもあり、コミュニケーションへの悪影響を最小限に抑えることができ、非常に便利でした。
その他
タッチ操作が非常にしやすく、誤操作が少なかったです。タッチ操作が不要という人でも、そもそもタッチ機能をオフにすることもできますし、こういったスペックでは目立たない部分でも、完成度の高さを感じました。
まとめ
Galaxy Buds2 Proは、約3万円というその価格に見合った機能と音質を兼ね備えた、フラッグシップTWSイヤホンです。音質の良さをフルに発揮できるのはOne UI搭載端末だけという制限はあるものの、それをかき消すほどの豊富で実用的な機能の数々は、このためにメイン機をOne UIにしようか考えてしまうほど。
ヘッドトラッキング機能だけ微妙ですが、まだ広く受け入れられている機能とは言いづらい部分がありますし、それよりも高音質と高度なセンシング機能が勝ると思います。単なる音楽視聴に留まらない可能性を感じさせてくれる、最高級のTWSイヤホンです。