Zepp Healthさんから、Amazfit GTR 3をレビュー用に提供していただきました。Zepp OSでシステムが一新された、Amazfitブランドのハイエンドスマートウォッチです。
今回は、直接の前世代機にはあたりませんが、Amazfit GTR 2eとの比較を交えつつレビューをお届けします。
- 軽量・高機能のZEPP OS
- GNSS(位置測位)で日本のみちびき(QZSS)も受信可能!
- 日本では少しお高め(約3.5万円)
目次(見たいところからチェック!)
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Amazfit GTR 3のスペック
カラー | サンダーブラック、ムーンライトグレー |
---|---|
ボディ素材 | アルミニウム合金 |
バンド素材 | シリコン |
バンド幅 | 22mm |
タッチスクリーン | 強化ガラス、指紋付着防止コーティング |
ディスプレイ | 1.39インチ HD AMOLED(326ppi、454×454) 60fps |
センサー | BioTracker™ 3.0 PPG バイオメトリック センサー(6PD+1LED)、加速度センサー、ジャイロスコープ センサー、地磁気センサー、環境光センサー、気圧高度計センサー |
Bluetooth | Bluetooth 5.1 BLE |
バッテリー | 450mAh(リチウムイオンポリマーバッテリー、標準値) |
サイズ | 約45.8×45.8×10.8mm |
重量 | 約32g(バンド含む) |
対応OS | Android 7.0以降、iOS 12.0以降 |
防水 | 5ATM(50メートル) |
GNSS | GPS、GLONASS、Galileo、BDS、QZSS |
より詳細なスペックは公式サイトをご覧ください。
パッケージ、内容品など
パッケージは、これまでの製品から一新されています。今までは白い背景にキラキラとした素材で文字がかたどられていましたが、GTR 3は黒い文字でGTR 3と書かれています。また、背景は半分が白、もう半分が赤い色のグラデーションに。
これはOSとブランドアイデンティティが新しくなったことで、変更されています。今後は、既存のモデルも順次新パッケージに移行するとのことです。
内容品一覧です。スマートウォッチ本体とバンド(取り付け済み)、取扱説明書(日本語あり)、USB Standard-Aを使用するマグネットタイプの充電クレードルが入っています。
充電器はGTR 2や2eに付属するものとは異なり、ピンの間の幅がより広くなっています。そのため使いまわしはできません。これは、BioTracker™ 3.0 PPGというセンサーに変更されたことで変わっています。
本体・バンドの外観や装着感
Amazfit GTR 3はこのような外観になっています。
Amazfit GTR 3と2eの外観上の違い
ここでは、Amazfit GTR 2eと、Amazfit GTR 3の見た目を比較してみます。
以下、左がAmazfit GTR 2eで、右がAmazfit GTR 3です。どちらも初期装備のバンドに交換してあります(GTR 2eの画面の傷は保護フィルムについたものです)。
一番分かりやすいのはこの部分ですね。ウォッチフェイスとバンドとの接続部分にかけて、下のGTR 2eは角ばっていますが、上のGTR 3は滑らかな曲線を描いています。
同じ部分を上から見るとこんな感じ。
続いて裏面。センサー自体が進化しているので、結構見た目にも変化しています。センサーを避けるように充電用の接点が配置されていて、先述のように充電器が変更になっています。
肌に当たっている感じは、あまり変化していません。
細かいところでは、GTR 2eでは「DESIGNED BY HUAMI AMAZFIT」だった印字が、「DESIGNED BY ZEPP AMAZFIT」に変わっていました。
続いてボタン部分。ボタンはGTR 2eより一回り大きくなっていて、上のものはスリットが入っています。さらにGTR 3では、上側のクラウン(リュウズ)をつまんで回転させられます。回転させることで、スクロール操作が行なえます。
最後はバンドです。GTR 2eが廉価版だということもあると思いますが、GTR 3のバンドにはスリットが入っていて、少しお洒落になっています。質感も気のせいか良くなっているように感じます。
また、T-Rex Proでもあった、遊革(留め具)に付いている内向きの突起も確認できました。T-Rex Proほど出っ張ってはいませんが、緩み防止が期待できます。
装着感は変わらず良好です。しっかりフィットしてくれますよ。
画面、操作など
Amazfit GTR 3は、1.39インチのディスプレイを搭載します。ディスプレイについては後述するとして、ここでは画面構成や操作について書きます。
先述のように、上側のクラウンは押すだけでなく、つまんで回転させることもできます。回転させることで、スクロールが必要な画面で、タッチで操作するより確実・楽に狙ったところまでスクロールさせられます。
なお、上のボタンはメニュー画面を出すことにのみ使えます。決定など他の操作には使えないため、タッチ操作がどうしても必要になります。ちょっとここは直感に反しますね。
また、スクロールする際に振動フィードバックをつけることもできます。1つ項目を送るたび、一回振動します。
画面のレイアウト
ウォッチフェイス(文字盤)を右から左にスワイプすると、まずその日の運動量を示す画面になります。以降、同様にスワイプで切り替わります。まずは心拍数。
現在地の天気予報、その週のPAI
睡眠ログ、スマホの音楽再生コントロール
血中酸素濃度、現在地の気圧
リラックス度、心拍数や血中酸素濃度、呼吸数などの計測
最後はショートカットカードの画面で一周します。
ウォッチフェイス(文字盤)を上から下にスワイプするとコントロールセンターが表示されます。懐中電灯やシアターモードなどを有効にできます。
ちなみに、ウォッチフェイスを横にスワイプして出せるアプリには、クイックアクセスアプリという名前が付いています。設定で順番の入れ替え、どのアプリを出すか、引っ込めるかを自分で設定できるようになっています。
クイックアクセスアプリの最後の画面にあったショートカットカード、コントロールセンターも同様にカスタムできます。
通知
ウォッチフェイスを下から上へスワイプすると、通知画面にアクセスできます。通知は、一部アプリ(GmailやTwitterは確認)で、どのアプリからの通知かがアイコンで分かるようになっています。表示幅は全角11文字程度です。フォントにも特に違和感はありません。
ディスプレイ
1.39インチのAMOLEDディスプレイは、最大1,000nitの輝度を誇ります。輝度の自動調整や、無段階調整が可能です。
直射日光下で見てみると、1,000nitでも輝度は足りないようで、かなり暗く見えました。室内では鮮やかに見えますし、屋外でも手で影を作ってあげれば大丈夫ですが、直射日光に勝てるほどにはまだ明るくありません。
Amazfit GTR 3でできること
- 時刻の表示(常時表示画面(AOD)対応)
- 歩数計
- 24時間心拍数計測
- 睡眠モニタリング
- 血中酸素飽和度(SpO2)測定
- 睡眠時の呼吸の質測定(Beta)
- 150種類を超えるスポーツモード(Amazfit GTR 2eは90種類)
- 座りすぎ通知
- 着信やアプリの通知
- 低血中酸素アラート
- ストレス緩和促進アラート
- アラーム/タイマー/ストップウォッチ
- 天気予報
- 音楽再生コントロール
- ストレスレベル測定
- 心拍数、血中酸素濃度、ストレスレベル、呼吸数をワンタップで測定
- スマホを探す(音を鳴らす)
- Amazon Alexa対応
Amazfit GTR 3でできるようになったこと
心拍数、血中酸素濃度、ストレスレベル、呼吸数をワンタップで測定
GTR 3の大きなアピールポイントの1つとして、心拍数、血中酸素濃度、ストレスレベル、呼吸数をワンタップで測定というものがあります。ワンタッチ・45秒で、4つの項目がまとめて計測できます。
これまでは血中酸素濃度だけで数十秒かかっていましたから、時短+項目の追加を実現したのはすごいですね。血中酸素濃度の測定時間が、従来の半分の15秒で済むようになったのも関係していそうです。
ちなみに、睡眠中に心拍数に加えて呼吸速度を測定してくれる機能と、安静時に血中酸素飽和度(SpO2)を測定してくれる機能もついています。安静時の血中酸素濃度は、GTR 3が自動で安静だと判断したときに計測が行われます。もちろん、任意のタイミングでユーザー自ら測定することも可能です。
150種類を超えるスポーツモード
GTR 3では、これまでよりさらに多い150以上のスポーツモードに対応しています。一般的なスポーツから、セパタクローなど比較的マイナーな競技、挙句の果てにはなんとeスポーツやチェスまで網羅しています。これだけあれば、ほとんどのスポーツをカバーできているでしょう。
一新された「Zepp OS」とミニアプリ
GTR 3のもう1つの大きな特徴が、Zepp OS。これまでAmazfitブランドのスマートウォッチに搭載されていた「Amazfit OS」に代わり搭載されているOSで、Zepp OSは、Amazfit OS比で1/10のサイズに。消費電力は65%低くなっているといいます。
また、Wear OSのようにPlayストアからダウンロード…というわけにはいきませんが、Zeppアプリ内からミニアプリをダウンロードして使うことができます。保存できる容量はGTR 3で2,500MBほど。少し心許ないような気もしますが、”ミニ”アプリなので一つ一つのアプリは小さいですし、大きな心配ではありません。
ファーストパーティのアプリでは、電卓やカレンダー、色覚異常(いわゆる色盲)のテストアプリなんてのもあります。
Zepp Healthの発表会での説明では、ミニアプリを通じて、将来的にGoProの制御もできるようになると言われていました。また今後、GTR 3で、ユーザーが独自に (アップロードして共有可能な) 文字盤とアプリをデザインするための Zeusアプリ開発者キットが導入される予定でもあります。将来的に、サードパーティ製アプリも使えれば、時間が経っても古臭さを感じずに使い続けられそうでいいですね。
アニメーションなどのダイナミックな効果
Zepp OSでは、アニメーションが様々な部分に追加されています。上の画像は天気の画面と充電中の画面で、どちらもアニメーションがループ再生されます。天気の表示では…
このように、雨なら雨のアニメーションが。晴れなら日が射すようなアニメに変わります。
天気だけではなく、ワンタッチ測定の間もアニメが再生されたりします。実益になるものではありませんが、アニメーションがあるとなんとなく嬉しくなりますよね。
その他:全体的にグラフィカルに、機能も増強
従来からあった機能もより高機能になっていたり、無かった機能の追加も行われています。上の2枚は、気圧の変化を検知して天候の変化を警告する機能と、気圧と高度を表示する画面です。これまでより、全体的にリッチに、グラフィカルになっている印象で、見やすい上に使うのが楽しくなりますね。
また、画面のリフレッシュレート(fps)がGTR 3は60fpsになっています。GT 1シリーズは50fps、GT 2シリーズは30fpsなので、実に前世代の倍に。これは効果てきめんで、どの画面も格段に滑らかで快適です。
ちなみに、GTR 2では、GTR 2とBluetoothイヤホン・ヘッドホンが直接繋がって、スマートウォッチ内に保存した音楽を再生できる機能がありましたが、GTR 3にはありません。上位モデルのGTR 3 Proにあります。そういう意味では、GTR 2の実質的な後継モデルはGTR 3 Proなのかもしれません。
待望のリモート撮影機能
これははっきり書きます。待ちに待った、リモートシャッター機能が追加されました。今後アップデートで他機種にも追加されるのかもしれませんが、今の所今年10月に発表された新機種でのみ、使えるはずです。
「同じZepp Healthの製造するMi Band 6では使えるのに、なぜそれ以上の機能を持つAmazfitのスマートウォッチでリモートシャッターが使えないのだ…」とずっと思っていました(以前のレビューには書きそびれましたが)。
リモート撮影機能は、今やスマートウォッチ・バンドの基礎機能と言っても過言ではありませんよね。スマホカメラの高画質化・高機能化に伴い、撮影にスマホが使われるシーンは増えています。それはつまり、手ブレが許されなかったり、カメラと距離を取って画角に収めたい…みたいな場面も含まれるということ。そういった場合に、リモート撮影は最適です。Bluetoothイヤホンでも代用はできますが、常に手首に装備しているスマートウォッチでできるからこそ、価値があるのです。
Zepp OSはまだ最適化不足?時折プチフリーズ・再起動が
Zepp OSは、基本的にはいいところばかりです。ただ、まだ最適化が十分ではないのか、連続でパパパッと操作したりすると、少しフリーズしてしまったり(戻るときは戻る)、最悪の場合はフリーズ後再起動してしまったりしました。フィードバックもしましたし、今後アップデートで改善するとは思いますが、ここだけ注意が必要です。
管理アプリ「Zepp」
Zepp-
制作: Huami Inc.価格: 無料
スマホに入れるのは、変わらずZeppアプリです。Amazfit GTR 2eの記事でもご紹介していますし、かぶる部分も多いので、GTR 2eの記事も合わせてご覧ください。
ワークアウトの記録
40分ほど、病院の周りをウォーキングでアクティビティを記録しながら歩いてみました(別の製品(購入品)のレビューのために、同じところを何度も行ったり来たりしています)。
解析は画像の通りで、いつも通り詳しく分析してくれます。…上り坂も下り坂も、どちらも一箇所も無いのですが、ぜぇぜぇ言っていたためか勾配分布が上り坂・下り坂・平地の3つにキレイに分割されていますね…
GPS(GNSS)は、1番精度を重視する設定(測位の組み合わせ:すべての衛星、衛生検索:精度優先)にしています。みちびき(QZSS)に対応しているそうですが、どうしても4〜5階以上の建物に挟まれた場所を通るとルートが歪んでしまいました。
実際は、水色の線で示しているように直線的に歩いています。やはりスマートウォッチのように小さいと、正確さには限界があるのかもしれません。
バッテリーは長持ち!余裕で2週間持つ!
Zepp OSになったこともあり、公称値でなんと最大21日間(3週間)バッテリーが持続します。ノーマルユースモードの定義は以下の通り。
バッテリー持続時間:最大21日間/心拍数モニタリング:有効(10分ごとのデータ測定)、睡眠モニタリング:有効、音声アシスタント:無効、手首を持ち上げての画面点灯回数:100回/日、メッセージ受信:200件/日、週に3回各30分の運動、GPSをONにして30分のランニング、血中酸素レベル測定:5回/日、その他の操作:5分/日
Amazfit GTR 3 – Amazfit|日本公式オンラインストア
私の場合、おおよそこの使い方(アクティビティの記録は17日間で10分間のみ)で使って、100%から10%以下になるまで17日かかりました。私がほとんど家にいるということも関係していると思うので、アクティブに活動する方であれば、もっと減りが早くなるでしょう。とはいえ、余裕で2週間は充電いらずなので、快適そのものです。
まとめ:ソフト面だけ?いやいやそれが大きいんです!
新たなOS「Zepp OS」で生まれ変わったAmazfit GTR 3。ハードウェア的な進化点は、GNSS(位置情報サービス)が日本のみちびき(QZSS)に対応した点や、センサーが6PD BioTracker PPG 3.0になったこと、あとはディスプレイの輝度などです。あまり大きな進化とは言えませんが、GTR 3は”中身”が大きく進化しています。より省電力に、パワフルになったZepp OSは、長いバッテリー持ちを実現し、フィットネストラッカーとして最高レベルのエクスペリエンスを提供してくれました。
今後、Zepp OSのミニアプリの増加や、発表済みの血圧測定機能の追加が見込まれており、将来性も十分。
特に、従来のカフが必要無い、光学式センサーを用いた血圧測定機能は、手軽かつ求められていた機能でしたから期待が高まります(追加され次第記事化予定です)。
総合的にバランスが取れており、誰にでもおすすめできるスマートウォッチです。
12月10日から「Amazfit 年末福袋キャンペーン」が開催されています。期間中に「Amazfit GTR 3 Pro」、「GTR 3」、「GTS 3」を購入すると、もう一台スマートウォッチがもらえます。詳細は以下の記事でご確認ください。