以前USBテスターの選び方という記事を書かせていただきましたが、今回は紹介したテスターの中の「TC66」というテスターに焦点を当て、機能や使い方を紹介していきたいと思います。
TC66の製品自体には日本語でのマニュアルが付いてるわけではないので慣れない人には使い方がわかりにくいと思います。今回の記事を読めば、ある程度使うことができるようになります。
目次(見たいところからチェック!)
- 本記事は広告およびアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。
機能の紹介
まずはこのTC66が搭載している機能の紹介をして行きたいと思います。大きく分けると以下の3点となります。
- 流れている電流/電圧の測定
- USB-Cポートの対応している急速充電規格のチェック
- PCに接続して簡易的なデータの取得
製品名 | TC66 Bluetooth搭載のTC66Cもあります |
---|---|
対応端子 | USB-C PC接続、給電用のMicroUSB搭載 |
検知対応急速充電規格 | PD/QC2.0/QC3.0/AFC/FCP/SCP |
対応電圧 | 0.005V-30V |
操作説明
こちらがTC66本体。USB-C専用ということもありコンパクトサイズになっています。
操作はボタンとスイッチで行う
K1とK2のボタンを押したり長押しすることによってメニュー(画面)が切り替わり、測定が行えます。
基本的には単押しでメニューを切り替え、K2ボタンを長押しするとそのメニューの中に入る(トリガー時など)となります。メニュー内ではK2ボタンで次の選択肢に移動、K1ボタンで決定、K2ボタン長押しで前の画面に戻ります。
また2つの切り替えスイッチがありますが、PWRはその名の通りの電源スイッチ、PD(トリガー)スイッチは、急速充電トリガーのオンオフとなります。単純な測定時はオフに、トリガー機能を使用する際はオンにします。
このトリガースイッチがオフの状態では、PD対応機器であっても非対応として検出されるのでトリガーテストには確認しておきましょう。
なおスイッチに関しては使用中にオンオフしても切り替わりません。一度外してからオンオフの切り替えを行ってください。
MicroUSBは給電及びPC接続用
このTC66はUSB-C専用のテスターですが、MicroUSB端子も付いています。この端子は給電及びPC接続用となっていて、測定には使用できません。
メニュー紹介(測定)
次にメニューを紹介していきます。基本的に英語表記ですが、長文が出てくるわけでもないので問題ないと思います。
シンプルな測定画面
まず最初に単純な測定画面です。この画面では充電時の電流(A)、電圧(V)、電力(W)を測定することが可能です。
表示項目は少ないですが、比較的文字が大きく見やすい画面になっています。
累計の電流や電力の測定
次の画面では先程よりも表示項目が多くなっています。先程に加えて温度、データグループ番号、抵抗や電気の流れる方向を見ることが可能です。
相互に機器を繋げるとこのように累計の電流や供給電力も表示されます。
D+/D-への負荷電圧の測定
次のメニューではUSB-CのD+/D-に対して掛けられている電圧をチェックできます。そしてこの電圧を元に何の充電規格で充電されているかを表示するようなのですが、全く当てにありません。
試しにPDで充電してみたのですが、DCP1.5Aと表示されています。参考にするのはやめましょう。
レコーディング機能
次の項目は充電の流れを記録できるようなのですが、csvなどで取得できるわけでもないのであまり価値を見いだせません。
メニュー紹介(急速充電検知)
今までの項目は基本的に流れている情報を取得するものでしたが、ここからはTC66側からトリガーを出して充電器の性能を確かめる機能となります。
多くの人が求めている機能はこの機能なのではないでしょうか。
対応充電規格のチェック
最初に紹介するのは、どの規格に対応しているのかをチェックする機能です。この画面でK2キーを長押しするとチェックを行えます。
K2キーを長押しすると、警告画面が表示されます。これはトリガーをオンにすることによって、出力側に機器が繋がっていると壊れる危険性があるために表示しています。
このチェックを行うときにはTC66と充電器以外の機器を接続しないようにしましょう。この警告画面にてK1キーを押すとチェックが行われます。
順に急速充電規格のチェックが行われ、対応しているものが緑、非対応のものが赤で表示されます。
また、一回では正確に検知できない場合があるので、数回行う方が良いと思います。
なおUSB PDに関してはPDに対応しているという程度しか検知できません。詳細の確認は別の画面(後述)で確認可能です。
急速充電の出力チェック
次に先程検知した急速充電規格に対応した機器を接続した際に正常に出力されるかのチェックを行う機能です。
先程の規格のチェックでは一括で行えましたが、こちらは該当の規格ごとに分かれているので個別に入る必要があります。
例としてQC2.0と3.0でテストを行っています。K1/K2キーを押下することで電圧の調整が行え、要求している電圧と出力されている電圧が同一かのチェックを行えます。
もし9Vを要求したのに5Vでしか給電されないなどの場合は不良品の可能性があるというような形です。
また、上のメニューに戻るにはK2キーを長押しします。
次にUSB PDのチェックですが、PDは一番下にあるのでキーを操作して実行します。
今回はPD3.0PPSに対応している機器を用いてテストを行いました。対応しているPDOの一覧が表示されています。
K2キーを押下することで各電圧のトリガーをオンにすることが可能です。上図では、TC66側で15Vを要求して充電器側からも15Vが出力されていることがわかります。
メニュー紹介(設定)
最後に設定画面です。画面の明るさや言語(英語と中国語だけですが)などを変更することが可能です。正直BluetoothやUSB以外は変えることも無いかなと思います。
スマホ/パソコンに繋ぐ
TC66にはMicroUSB端子が搭載されており、パソコンと繋いで流れている電流や電圧の情報を取得することが可能です。なお、ファームウェアの更新もパソコンに接続して行います。
また、TC66Cに関してはBluetoothが搭載されておりスマートフォンに接続することが可能です。
スマートフォンに接続
スマートフォンでは測定中の値をリアルタイムで確認することが出来ます。
TC66C側でBluetoothをオンにした状態でアプリを立ち上げて接続すると現状の電流や電圧が確認できます。TC66Cの小さい画面で見るよりは格段に見やすいと思います。
また、下のボタンは押すとTC66側の操作が出来ます。左から「戻る」「画面反転」「進む」の操作が可能です。
パソコン接続
最後にパソコンに接続して計測する機能を紹介します。まずは準備として以下からユーティリティ(RuiDengUSBMeter)をダウンロードします。
http://www.ruidengkeji.com/power/Chinese/RuiDengUSBMeter.zip
zipになっているので、中の「RuiDengUSBMeter.exe」を実行します。なお対応言語は英語と中国語のみとなっています。
TC66をUSB接続した状態で起動すると、自動的にFWの更新のチェックがされます。もし更新がある場合は一度TC66を抜いて「K1を押しながら起動」して再度接続してください。
Bootloaderモードで起動してファームウェアのアップデートが可能となっています。
ファームウェアのアップデートが無い場合は起動するとメインメニューが表示されます。左上に「Device Inserted」と書かれていることを確認して「Connect」をクリックします。
すると現状の計測値がリアルタイムに表示されます。しかし正直言うとスマホアプリの方が見やすいかなぁと思います。ファームウェアアップデート専用かなって気も。
ちなみに下の3つのボタンですが、スマートフォンアプリと同じく押すとTC66側の操作が出来ます。左から「戻る」「画面反転」「進む」となっており、長押しなどの機能は無いようです。
一つはあると便利な手軽に買える便利なテスター
とりあえずテスターを買ってみたいという人にもお勧めできるお手軽テスターのTC66。自分の使っている充電器の内容をチェックしたり、正しく充電できているかなどを確認することも可能です。
欲を言えば日本語対応してくれていると嬉しいですが、文章などもあまりないので英語でもそんなに困ることは無いと思います。
もっと高機能なテスターもあるものの、大きな機能としては十分網羅していると思うので、最初に買うテスターとしても便利なTC66の紹介でした。