3.3インチディスプレイの超小型SIMフリースマートフォン「Palm Phone」を購入し、2週間弱使ってみたのでレビューしていきます。
最近ではすっかり数が少なくなってしまった小型スマホということで、その持ちやすさや使いやすさ、そしてバッテリーのもちについて特に気になる人が多いと思います。また、同く最近の超小型スマホであるUnihertz Atomとの違いも気になりますが、使ってみるとコンセプトや向いてる人が大きく違うと気づきます。
目次(見たいところからチェック!)
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小型でスタイリッシュ、意外と持ちにくくない
Palm Phoneは3.3インチディスプレイの小型スマートフォンです。小型ではありますが厚みは7.4mmと通常のスマホ並みであり、見た目はとてもスタイリッシュです。
本体サイズは約96.6 × 56.0 × 7.4 mmです。クレジットカードや名刺と似たようなサイズ感です。
USBはType-Cです。なお、イヤホンジャックはないので変換アダプタを別途用意するか、Bluetoothで接続します。
全体的なデザインはスタイリッシュだと思いますがiPhoneライクになってしまっているのは残念です。
側面にあるのはSIMスロットと電源ボタンだけです。音量ボタンもありません。
小型端末はある程度厚さがないと持ちにくくなってしまう、と今までは思っていたのですが、Palm Phoneはそれを覆してくれました。意外と持ちやすいんですよ、これが。
端末の右下角を右手の中央付近に当てるようにして持つと安定感もありますし画面ほぼ全体に親指が届きます。
このほか、開封の様子や外観写真は別の記事で書いてますので、そちらも参考にしてください。
Atomとの比較
Palm Phoneとよく比較されるのが同じく小型端末のUnihertz Atomです。こちらは2018年発売で2.45インチの超小型端末です。ただ、端末の大きさ(縦横)自体はPalm Phoneとそんなに変わりません。
ただし厚みはAtomのほうがかなり厚いです。その分バッテリーも多いのですが。
そもそも、この2つの端末はデザインコンセプトがかなり違います。Atomはタフネススマホとしてデザインされており、頑丈さをアピールするものです。Palm Phoneはそういった要素はなく、どちらかといえばスタイリッシュさを出しています。山やアウトドアで使うのがAtom、部屋の中やカフェで取り出すのがPalm Phoneです。自分のスタイルに合わせて選べばいいのです。
Palm Phoneのスペックとベンチマーク
スペック
Palm Phoneの主なスペックは以下のとおりです。
OS | Android 8.1 |
---|---|
CPU | Qualcomm Snapdragon 435(MSM8940) |
RAM | 3GB |
ストレージ | 32GB |
外部メモリ | 非対応 |
ディスプレイ | 3.3インチ 1280×720 (HD) |
カメラ | 背面:12MP 前面:8MP |
バッテリー | 800mAh |
サイズ | 約96.6 × 56.0 × 7.4 mm |
重量 | 約62.5g |
防水 / 防塵 | IP68 |
対応バンド | LTE:Band 1 / 3 / 7 / 8 / 20 3G:Band 1 / 2 / 5 / 8 |
ベンチマーク結果
AnTuTuの結果は58,520点、Geekbench4の結果はシングルで685点、マルチで2,847点、3DmarkはSling Shot Extreamで282点でした。SoCがSnapdragon 435で、これはローエンド向けのものですので、まぁこんなものかなといったところです。
最近の端末としては数値が低いですが、それでもめちゃくちゃ動作が遅くて使い物にならないといったことはありません。ゲームは別として、普通にインターネットブラウジングやSNSのチェックと言ったことであれば無難にこなします。
AnTuTuで似た点数を持つスマホと比較してみます。
Antutu | Geekbench | 3DMark | |||
---|---|---|---|---|---|
Single | Multi | Battery | |||
Atom | 85201 | 802 | 3779 | 3344 | 444 |
LG Q Stylus | 69037 | 747 | 3913 | 4458 | 392 |
Palm Phone | 58520 | 685 | 2847 | 594 | 282 |
ZenFone Max Plus (M1) | 55344 | 446 | 951 | 2796 | 388 |
Jelly Pro | 30825 | 464 | 1317 | 618 | 85 |
この後でも触れますが、バッテリーの持たなさは目立ちますね。800mAhしかないので、最近のよくあるスマホの3分の1程度です。薄さと引き換えにしてしまったのだと思いますが、かなり厳しいです。
バッテリーはもたず、モバイルバッテリー必須
Geekbench 4によるバッテリーテストでは594点でした。このテストではバッテリーが100%から0%になるまでテストするのですが、わずか1時間50分しか持ちませんでした。バッテリー容量が少ないから仕方ないのですが、これはかなり悪い点数です。
PCMarkでのバッテリーテストでは2時間33分でした。これはかなり短いです。
実際に使用していてもバッテリーの減りが早いのは感じられます。100%の状態から、ちょっと散歩して写真撮ってTwitterしてるだけですぐに80%を下回ってます。2011年頃のスマホを思い出します。
バッテリー容量が少ないので充電して100%になるのも早いですが、ほかのスマホで言えば35%時点でそれ以上充電できないと同じようなもの(800mAhまでしか充電できない)のですから、良いことと言えるかは疑問です。精神的には良いのかもですが。
夜寝る前に充電しておくとすぐに満充電となり、そこからの少し減っては充電を繰り返すというのはバッテリーによくなさそうですし、朝少し早めに起きて充電してから出かける、というのが良さそうです。(ただしバッテリーが減った状態で寝ると寝ている間にバッテリー切れしてるかもしれません…。)
ともかく、本当に使おうとするのであればモバイルバッテリーは必須です。そこまで大容量ではなくても、5,000mAhの小さくて軽いものがいいでしょう。それを日常的に使えば、バッテリーの少なさはカバーできるでしょう。1日のお出かけ中に1,2回充電することになりますけど。
基本はソフトバンク回線、au回線は×
Palm PhoneのLTE対応バンドはバンド 1 / 3 / 7 / 8 / 20 です。キャリア3社の対応バンドと合わせると以下のような対応表になります。
1 | 3 | 7 | 8 | 20 | |
---|---|---|---|---|---|
ドコモ | ◯ | ◯ | – | – | – |
au | ◯ | – | – | – | – |
ソフトバンク | ◯ | ◯ | – | ◯ | – |
ドコモのバンド3は東名阪エリアのみですし、Palm PhoneはVoLTE非対応なのでau回線での通話もできません。基本的に使うとしたらソフトバンク回線ということになります。もしくはWi-Fi専用か。
ドコモ系のSIMを挿すと格安SIMのAPNがたくさん並びます。
au系のSIMを挿すとUQ mobile、IIJmio、mineoの名前が並びますが、どれをさしても「通信サービスはありません」と出て通信できませんでした。
ソフトバンク系はY!mobile等も出てきます。ここに出ている数は少ないですが、自分でAPN設定を入れれば通信できます。
顔認証は遅い
Palm Phoneは顔認識機能があり、顔認証でロック解除できます。が、これがけっこう遅いです。
Palm Phoneの顔認証ロック解除。 pic.twitter.com/58YAjkO7EA
— orefolder (@orefolder) May 3, 2019
実際使っていても、ロックを解除するのに手間取ってると顔認証で解除される、というくらいのタイミングです。補助的に使うのであれば良いのですが、通常のロック解除を顔認証にするのはおすすめしません。
ホーム画面とプリインアプリ
Palm Phoneのホーム画面は独自のホームアプリを使っています。縦スクロールできて中央部分でアイコンが最大化されるようになってます。左画面にGoogleがあり、ウィジェットは右画面です。
壁紙は一応変えられるのですが、アイコンが大きいためあまり似合わないですね。そして壁紙変更が失敗することが多いです。設定の壁紙からやっても、設定したはずなのに変わらないことが多々ありました。
ほかのホームアプリも普通にインストールして使えるので、私はNova Launcherを使っています。Atomではドックのアイコンを3つにしてたのですが、Palm Phoneでは5個でも普通に使えます。
プリインストールのアプリはかなり少なめです。Google系アプリがあるのみで、独自のアプリ等はありません。Duoといったあまり使わないアプリもアンインストールできるので問題ないでしょう。
音量操作は通知領域で
Palm Phoneは音量ボタンがありません。音量の変更は通知領域にスライドバーがあるので、それで操作します。初めは明るさの調整バーと思っていましたが、よく見てみれば音量アイコンでした…。
スクリーンショットも通知領域から
音量ボタンがないと、「電源ボタン+音量下」でのスクリーンショットもできません。そのかわりクイック設定パネルの中に「スクリーンショット」があります。通常はこれを使ってスクショを撮ることになります。
設定画面その他
設定画面は常にダークモードな黒基調です。有機ELではないので節電効果があるわけではありません。
ストレージとメモリ
内部ストレージは32GBで、購入直後の状態で8GB程を使用。SDカードは使えないので、クラウドやUSB接続のカードリーダーなどをうまく使わないと厳しくなるでしょう。
メモリは3GBで、そのうち1.7~2GB程が平均利用になります。
タッチボタンでナビゲーション
Palm Phoneはタッチボタンを使うことでナビゲーションバーを非表示にできます。この3つの白い点部分をタッチすることで操作します。
1回押しで「戻る」、2回押しで「ホーム」、長押しで「タスクスイッチャー」です。昔のFREETELボタンに似ているでしょうか。すぐに慣れますし、これは便利です。
なお、もちろんナビゲーションバーを表示することもできます。
ライフモード
Palm Phone独自の機能として「ライフモード」があります。これは画面を消している間は通知などがならないようにするものです。
このPalm Phoneの開発思想にDigital Wellbeingと似たようなものがあり、スマホに振り回されすぎないようにしたいという物があるようで、それを実現するための設定です。
小さくても使い心地は悪くない
先にも少し触れましたが、Palm Phoneはカードサイズの小ささながら、まともに使うことができます。
Palm Phoneのキーボード。 pic.twitter.com/3EAHVmiUgQ
— orefolder (@orefolder) May 3, 2019
小型端末でネックとなりやすいキーボード入力もすんなりできます。同じ小型端末のAtomに比べるとキーの大きさも余裕があり、QWERTYキーボードでもそれほど窮屈さを感じません。もちろんある程度の慣れは必要だと思いますが、ちゃんと使えます。
カメラは悪くないけど使わない
カメラのUIはシンプルです。(スクリーンショットのタイミングでステータスバーが写ってしまっていますが、通常は表示されません。)
カメラの映りは悪くないと感じます。花を撮っても色がはっきりしていていい感じ。
画面が小さいのでスマホ上で確認してもよくわからないのですが、こうして大きい画像として見てみるとしっかり撮れていてそのギャップに驚きます。
ただし、画面が小さいので撮っている間にちゃんとピントが合っているのか不安になります。よくわからないんですよね、これが。タップしてピントを合わせようにも、思ったところをタップできているようでできていなかったり。細かいピント合わせは難しいです。
食べ物に関しては、普通の蛍光灯の下ではちょっと青白く感じる写真になってしまいました。これ単体ではそうでもないと思うかもしれませんが、他のスマホの写真と比べるとかなり違います。
場所や条件によってはそれなりに写ることもあるのですが、ちょっと難しいところもあると思います。
暗いところではノイズが目立ちます。夜間の撮影はちょっと苦手なようです。
実際に撮影した写真をGoogleフォトにアップしてあるので、興味ある方はご覧ください。
ほかにも面白そうなモードがあります。残念ながらまだ試せていないものもありますが…。
Palm Phoneを買ってもいい人は?
Palm Phoneは小型端末というだけで使う人を選ぶ端末です。そして同じ小型端末ならUnihertz Atomもあります。Palm Phoneを選ぶ人はどういう人なのでしょうか。
単純なスペックであればAtomのほうが良いです。キビキビ動いてくれます。バッテリーも倍以上ありますし、単に「小型端末を使う」というだけであればAtomがいいかもしれません。
Palm Phoneはその薄さもあってデザイン的にはスタイリッシュさがあります。アウトドア系の野暮ったいデザインが好きでない、似合わない人であればPalm Phoneのほうが合っているでしょう。文字の打ちやすさという点では、Palm Phoneのほうが良いと思います。
個人的なイメージ・偏見ですが、Palm Phoneはミニマリストな人だったりカフェでMacBookを広げているような人、游ゴシックとウェイトThinの英字フォントにしているブロガーのような人たちに似合うと思っています。
どこを重視するかによりますが、自分のキャラに合わせて使うかどうかを決めてもいいと思います。
まとめ
Palm Phoneはもともと北米で発売されたのですが、そのときは普通のスマホではなく、普通のスマホと合わせて使うコンパニオン端末として販売されていました。そういう経緯もあって、メインとして使うにはやはり厳しいと言わざるを得ません。一番のネックはやはりバッテリーですね…。
ただ、メイン端末と一緒にサブスマホとして使うのであれば、十分ありだと思います。まぁその場合でも、どうやって使うのが良いのか考える必要はありそうですけど。
これだけ小さくてスタイリッシュな端末ですので、持っているだけで所有欲は満たされるかもしれません。ひとつのガジェットとしては十分ありです。普通に使うものではありません。Palm Phoneはそういう「使い方をわかってる、自分で決められる人」向けのスマートフォンです。使いこなせるおしゃれな人になりたいですね。