「黒の壁紙で、スマホのバッテリーが長持ちする。」先日そんなツイートが流れてきました。フォロワーが1万人以上いる、影響力の高い方だったこともあり、何人かの方がリプライで反論していました。
ただその一連のツイートがどうにも向いている方向が違うように感じました。なので実際にはどうなのか、ちょうど手元に同じスマホが2つあったので実験してみました。
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黒の壁紙で、スマホのバッテリーが長持ちする。
今回の発端となったツイートは以下のものです。
黒の壁紙で、スマホのバッテリーが長持ちする。
液晶が表現できる色で1番消費電力が少ないのは「黒」で、1番電力高いのが「白」。
その証拠に、スマホの性能が低かった初代iPhone3Gは黒い壁紙しか選択できなかったし、AppleWatchも時計盤の背景が黒です。黒は省エネカラー。 pic.twitter.com/2qAjmp7LmN
— ミニマリストしぶ (@SIBU__) 2018年6月2日
私もそう詳しくはないのですが、確か有機ELを使っているスマホであれば、黒の部分は表示するために電気を使わないので真っ黒ならバッテリーを消費しない、と聞いたことがあります。有機ELでないディスプレイは白でも黒でも大して変わらないと理解していました。
この件もiPhone Xなどで使われている有機ELについての話だったら良かったのですが「その証拠に、スマホの性能が低かった初代iPhone3Gは黒い壁紙しか選択できなかった」と記述があったのが問題でした。
まぁ、ごちゃごちゃ考えたり昔から言われている古い情報を出してくるよりも、実際に実験してみたほうが早いよね、ということで簡単に試してみました。
実験概要
ちょうど手元にZenFone 3が2台ありましたので、それぞれ壁紙をほぼ真っ黒なものとほぼ真っ白なものにして、3時間放置してバッテリーの減り具合を記録しました。なお、ZenFone 3は有機ELではなくIPS液晶です。
それぞれのZenFone 3はインストールしているアプリや設定について、なるべく同じになるようにしました。ただ、購入してから1年半ほど経っており、使用頻度にも差があるので、3時間の実験後、壁紙を入れ替え、充電後再び3時間の実験を行いました。
壁紙が黒い方がバッテリー節約できるんだ!という人がいたので実験してみる。 pic.twitter.com/09wDFoWpGy
— orefolderの中の人 (@orefolder) 2018年6月3日
途中の記録はすべて上のツイートからのスレッドに記録していますので、興味ある方はそちらもご覧ください。
実験結果
上の画像で白いスマホが端末A、黒いスマホが端末Bとします。
端末A | 端末B | |||
---|---|---|---|---|
(白背景) | (黒背景) | (白背景) | (黒背景) | |
1時間後 | 84% | 90% | 92% | 91% |
2時間後 | 75% | 80% | 81% | 83% |
3時間後 | 63% | 69% | 70% | 74% |
ごちゃごちゃしていてよくわからないので、3時間後の結果のみを取り出して整理します。
黒背景 | 白背景 | |
---|---|---|
端末A | 69% | 63% |
端末B | 74% | 70% |
思ったよりも端末Aのバッテリー劣化具合がわかったので個人的にはそこがショックです…。今回の実験としては、端末Aで6%、端末Bで4%ほど、黒い壁紙のほうが多くバッテリーが残りました。ごくごく若干ですが、効果はあるのかもしれません。
壁紙を黒にしても効果は期待できませんけどね
「やっぱり壁紙が黒いほうがバッテリーが長持ちするんだ!さっそく壁紙を黒一色にしよう!」だなんて焦らないでくださいね。ちゃんと考えてください。3時間で5%ほどの差なんですよ?
壁紙はホーム画面にて表示されるものです。さて、そのホーム画面を1日にどれだけの時間見るでしょうか?
私なんかはお気に入りのホーム画面ができると、スマホを開くたびにニヤニヤしてしまいますがそれでも5秒程度です。1日に100回ホーム画面を見るとしても500秒です。8分20秒です。3時間で5%の差になるということは、8分20秒だと…0.23%ほどでしょうか。
それだけのためにホーム画面を真っ黒にしますか?それよりも自分の好みのホーム画面にしてニヤニヤしたほうが絶対にいいでしょう!
Twitterの画面で再試験
件のツイートのやり取りの中でこんなツイートもありました。
あくまでiPhoneXの計測ですが、標準壁紙と黒壁紙を比較すると3時間放置で16%残量変わるというデータもあります。
有機ELを度外視しても、TwitterやYoutubeなどナイトモードのアプリが増えていることを考えれば、「壁紙を変える」も馬鹿にできない方法だと僕は思いますね。https://t.co/Cw6bXdWyuU
— ミニマリストしぶ (@SIBU__) 2018年6月2日
TwitterやYouTubeのナイトモードはバッテリーの節約を考えていたのか!?
というのはさておき、ホーム画面よりはTwitterの画面を開いている時間のほうが多いなんて言う人も珍しくないでしょう。そこで今度はTwitterの同じ画面を通常と夜間モードとで記録してみました。
端末A | 端末B | |||
---|---|---|---|---|
(通常) | (夜間) | (通常) | (夜間) | |
1時間後 | 85% | 88% | 89% | 88% |
2時間後 | 70% | 74% | 75% | 74% |
3時間後 | 53% | 58% | 60% | 59% |
3時間後の結果だけ抜き出します。
夜間モード | 通常モード | |
---|---|---|
端末A | 58% | 53% |
端末B | 59% | 60% |
バッテリーが劣化してきている端末Aでは5%程度の差、端末Bでは1%の差で通常のほうが残ってる(つまりほぼ変わらない)。両者を合わせて考えると、夜間モードも通常モードも変わらないということですね。
若干の差はあるのかもしれませんが、やはり考える時間だけ無駄なようです。バッテリーの節約には「ディスプレイの明るさを落とす」などもっと効果的な方法もありますしね。
有機ELでTwitterの夜間モード
有機ELを使ったディスプレイは黒の場所は発光しない、電力を使いません。なので真っ黒な壁紙であれば節電効果はあるとされています。それを狙って黒主体の壁紙を集めたアプリや、黒の網目状のフィルターを画面全体に掛けて節電するというアプリもいくつかあります。(PlayストアでOLEDで検索してみてください)
ただこれもグレーではなく真っ黒でなければダメです。テーマで全体の配色を変えられるようなアプリでは「ライト」「ダーク」のほかに「ブラック」が用意されていることがあります。このブラックというのは有機EL用ということですね。
Twitterの夜間モードはそういった「ブラック」ではないので節電効果はないと思いますが、一応試してみました。有機ELを使った例として、Galaxy S8とiPhone Xで実験です。
Galaxy S8 | iPhone X | |||
---|---|---|---|---|
(通常) | (夜間) | (通常) | (夜間) | |
1時間後 | 92% | 93% | 99% | 100% |
2時間後 | 83% | 84% | 92% | 95% |
3時間後 | % | 69% | % | 84% |
3時間後の結果だけ抜き出します。
夜間モード | 通常モード | |
---|---|---|
Galaxy S8 | 69% | 74% |
iPhone X | 84% | 84% |
うーん…変わらない、むしろ通常モードのほうが節電している?まぁIPS液晶での場合と同じく節電という意味では効果ないといったところですね。これが単に暗いテーマではなく真っ黒な背景にしていればもう少し節電効果もあるのかもしれませんが。
そういう意味でも、Twitter公式アプリではなく、自分で背景色を設定できるようなTwitterアプリを使ったほうが節電にはいいかもしれませんね。
まとめ
ここまでの実験をまとめてみると、「ほとんど関係ない、考えるだけ無駄」という結論です。ホーム画面の壁紙を毎日10時間とか眺める人なら壁紙を黒にして効果はあるでしょうけど。
今回実験に使ったZenFone 3はもう発表から2年ほど経つ端末です。今後の技術によってこういった常識も変わってくるかもしれません。ちゃんと効果のある有機ELを採用したスマホが増えるかもしれません。たまにはこうして実際に確かめることも大事ですね。
おまけ
同じZenFone 3でもバッテリーの劣化具合に差があったのでほとんど意味ないのですが、最初の実験のときのタイムラプス動画です。劣化具合が変わらないスマホだったら、面白かったんですけどね。