最近テレビや街中の広告などで「格安SIM」や「格安スマホ」という文言を見ることが多くなってきていると思います。これらは大手キャリアと違い、スマートフォンと回線を別々に用意する場合があります。
今のスマホそのままで携帯料金が安くなる!という触れ込みもありますが、バンド(周波数帯)というものに注意をしないと全然スマートフォンが使えなくなってしまう可能性があります。
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1-バンドとは
携帯電話というのは電波を送受信して通話やインターネットができます。
しかし、「電波」と一概に言ってもすべての携帯会社が同じ電波を使用してるわけではありません。
各携帯会社が使用している電波には「バンド(周波数帯)」という区切りがあり、各携帯会社ごとに使用しているバンドが異なっています。
以下に各キャリアの使用しているバンド一覧をまとめてみました。
バンド | 1 (2.1G) |
3 (1.7G) |
8 (900M) |
11 (1.5G) |
18(26) (800M) |
19 (800M) |
21 (1.5G) |
28 (700M) |
41 (2.5G) |
42 (3.5G) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
docomo | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ||||
au | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ||||
SoftBank | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
※G=GHz, M=MHz
※ドコモのバンド3は東名阪(東京、名古屋、大阪)のみ
かなりたくさんの種類がありますが、バンドごとに特徴があります。GHz帯のような周波数帯域が広いもの(バンド1、バンド3など)は情報伝達量が多く、一度にたくさんのデータを送ることができます。MHz帯のような低い周波数帯域(バンド19、バンド28など)は障害物に強く、また遠くまで届くので「電波がつながりやすい」と言えます。
全ての携帯会社が同じバンドを使用しているのは「バンド1」と「バンド28」と「バンド42」となります。
しかし、「バンド1」以外はまだ最近始まったばかりのため対応しているスマートフォンも多くはありません。そのため、現時点ではあまり対応の有無を気にしなくても大丈夫です。
2-携帯会社から発売されている端末の対応バンド
携帯会社には使用しているバンドがありますが、スマートフォン自体にも「どのバンドを使えるのか」というものがあります。
各キャリアのスマートフォンは、その携帯会社で使用することを前提に作られています。そのため、実は同じメーカーの同じ端末でも携帯会社ごとに対応しているバンドが異なる場合があります。例として携帯会社大手3社から発売されている「Xperia XZ1」の対応バンドを見てみたいと思います。
バンド | 1 | 3 | 8 | 11 | 18(26) | 19 | 21 | 28 | 41 | 42 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
docomo (SO-01K) | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ||||
au (SOV36) | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | |||
SoftBank (701SO) | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
このように同じ端末でも、携帯会社によって対応しているバンドが異なることがわかります。(そのスマホがどのバンドに対応しているのかは、各端末の紹介ページにあるスペック表に書かれています。)
この中で、1つの携帯会社の端末しか対応していないバンドが以下の4バンドになっています。
「バンド8」「バンド18」「バンド19」「バンド21」
このうち「バンド21」以外に関しては各携帯会社の利用可能なエリアにおいて重要な意味を持ちます。
3-バンドが合わないと何が起きるのか
ここまで、「携帯会社が使用しているバンド」と「端末が対応しているバンド」の話をしてきました。この2つがうまく合ってないとスマホは十分に使うことはできません。
例えばドコモを使用していた人が、ドコモネットワークを使用した格安SIMを使用するのであれば、もちろん使用しているバンド自体はドコモと同一ですので「ドコモ端末+ドコモネットワーク」で問題はありません。
ですが、もし「auやソフトバンクの端末」を「ドコモネットワークの格安SIM」で使用する場合は「ドコモのネットワーク」と同一のエリアでは使用できません。
先ほど表にした「Xperia XZ1」を見てみましょう。
バンド | 1 | 3 | 8 | 11 | 18(26) | 19 | 21 | 28 | 41 | 42 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
docomo (SO-01K) | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ||||
au (SOV36) | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | |||
SoftBank (701SO) | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
例えばauのXperia XZ1 (SOV36)はドコモがメインで使用しているバンドのうち、「バンド1」と「バンド3」に関しては対応していますが「バンド19」と「バンド21」には対応していません。
なので、auのXperia XZ1 (SOV36)にドコモネットワークの格安SIMを挿した状態で、ドコモが「バンド19」や「バンド21」だけででエリア展開している場所に行くと圏外になってしまいます。
そのうち「バンド21」に関しては最近のドコモの端末でも非対応な物もあるため、あまり気にする必要はありません。
しかし、「バンド19」に非対応というのはかなりのデメリットとなってしまいます。
上の画像にて、赤やオレンジの場所に関しては「LTEエリア」となっており、「バンド1」や「バンド3」などでエリア化されている場所になります。
そして肝心なのが紫の場所です。「LTEエリア(800MHz)」となっていますが、これが先ほど話した「バンド19」にてエリア化されている場所です。
東京都でも山間部に近い所などにはちらほら紫のみになっているところがあるのがわかると思います。
この場所ではドコモネットワークの格安SIMを使っていても、バンド19に対応していないauやソフトバンクの端末では「圏外」になってしまいます。
上の画像を見て「紫の部分はほどんどないから大丈夫じゃないか」と思った人も居ると思います。では次の画像を見てください。
これは北海道のエリアマップです。先ほどと違って赤やオレンジの部分よりも紫の部分がかなり多くあることがわかると思います。
「バンド19」というのは、何年か前にソフトバンクが「プラチナバンド」という名称で言っていたものと同じ特性を持ちます。(ソフトバンクの場合はバンド8にあたります。)1つの基地局で多くの範囲をエリアカバーできるというもので、郊外や人が少ない所で多く使用されています。
なのでバンド19に対応していない場合、都会では問題なく使えるかもしれませんが、郊外に出たらほとんど圏外になってしまうという問題が出てきます。
また、都会でも全く使用されていないわけではありません。
バンド19の特徴として、障害物を回り込んで奥まで届くという特徴があります。そのため、地下街の奥などでは、対応していないと圏外になってしまう可能性もあります。
同様にドコモの端末ではauやソフトバンクの、auの端末ではドコモやソフトバンクの郊外で多く使用されているバンドには対応していません。
このように、格安SIMの使用する携帯会社のネットワークと、使用する端末の携帯会社が異なると、使える場所に大きな制限ができてしまうというのが注意点です。
4-端末・格安SIMの選び方
ここまでバンドの話をしてきましたが、ではどのように端末や格安SIMを選べば良いのでしょうか。
まず格安SIMを使用する場合、大きく分けて3つの選択肢があると思います。
(1)今使用している端末を使用する
今使用している端末を使用する場合、基本的には今使用している携帯会社と同じネットワークを使用している格安SIMを使用することを強くお勧めします。
もし違う携帯会社のネットワークを使用する格安SIMを使用してしまうと、先ほど話したように郊外では全然使えないなどの問題が発生する場合があります。
また、「基本的には」と書いたのには理由があります。
先ほども話した通り、携帯会社から発売されている端末は他の携帯会社で使用しているバンドには全て対応しておらず、郊外などでは圏外になってしまう可能性があるのは事実です。
ですが「iPhone」はちょっと特別です。SIMロック解除が可能なiPhone 6s以降であれば、全ての携帯会社で対応バンド含めて同じ仕様になっています。
そのため、ソフトバンクのiPhoneをSIMロック解除してドコモのネットワークを使用する格安SIMを使用した場合と、ドコモのiPhoneで同じ格安SIMを使用しても使えるエリアは同じです。
iPhone以外でも要はバンドに対応していればいいのですが、わざわざ自分のところは使ってない別の携帯会社のバンドに対応させる機種はほとんどありません。
(2)キャリア端末を中古で購入して使用する
自分のスマホでなくても、携帯会社から発売されている端末の中古(所謂白ロム)を購入して使うこともできます。その場合は、使用したい格安SIMが使用しているネットワークと同じ携帯会社を選んでください。
ドコモ系の格安SIMを使うならドコモから出ているスマホの中古を、au系の格安SIMを使うなら、auから出ているスマホの中古を買うのが無難です。
(3)SIMフリースマホを購入して使用する
今では色々なSIMフリースマホが各社から発売しています。
それらを購入する場合は使用したい携帯会社が使用している「バンド」が対応しているかを確認する必要があります。
バンド1に関しては基本的に対応しているので、確認してほしいのは以下のバンドです。
ドコモのネットワークを使用する格安SIMの場合:バンド19
※IIJmio Dプラン、OCNモバイルONE、楽天モバイルなど
auのネットワークを使用する格安SIMの場合:バンド18(26)
※UQmobile、mineo aプラン、IIJmio aプランなど
ソフトバンクのネットワークを使用する格安SIMの場合:バンド8
※Y!mobileなど
それぞれのバンドに対応したSIMフリースマホならば、その格安SIMのネットワークをちゃんと使うことができるので、それが一番です。
また、最近では海外のスマホも比較的簡単に手に入れることができます。(Amazonでも売ってるくらいです。)その場合も同様に上記のバンド対応の有無を確認することをおススメします。
※国内で海外の端末を使用する場合、「技術基準適合証明」を取得している必要があります。
5-まとめ
格安SIMを使用して毎月の携帯料金を下げたいという人も多いと思います。
しかし誤った端末の選択をしてしまうと、料金が安くなったとしても、普段使用している場所で圏外になって使えないということが起きるかもしれません。
スマホのスペック表なんてあまり詳しく見ないかもしれませんが、スマホと回線(SIM)を別々で購入する場合はちゃんと確認するようにしましょう。