ASUSのSIMフリースマートフォンZenFone Max Plus (M1)を2週間と少し使用してきましたので、現時点でのレビューをお届けします。
この機種は5.7インチのフルビューディスプレイを搭載し、背面カメラは通常と広角のダブルカメラという3万円以下のエントリーモデルながらトレンドを抑えています。さらにバッテリーは4130mAhの大容量で、電池切れを心配せずに1日しっかり使えることが期待されています。
これらの機能やバッテリーの持ちなど、実際にじっくり使ってみてどうだったのか、正直なところを書いていきます。
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全体的な評価:悪くないけどオススメもしない
まずはZenFone Max Plus (M1)の全体的な評価をまとめておきます。基本的に価格の割にがんばっていて悪くはないのですが、肝心な部分であれ?と思うこともあり、その微妙な点が目立って評価を下げています。
- トレンドの18:9のフルビューディスプレイ
- ベンチマーク脚気に比べると比較的しっかり動く
- 場面によって広角カメラと切り替えられる
- 肝心のバッテリーの持ちが思ったほど良くない
- 同時期に発売されたHuawei nova lite 2と比べるとコストパフォーマンスで劣るように感じる
悪くない、基本的に特に目立つ悪いところはないし、価格的にもがんばっている。買うのを止める気はない。でもほかにも選択肢があるので、絶対にこれがオススメ!とは言えないくらいです。
同じ価格帯でもメーカーによってクセはだいぶ違うので、複数触ってみてZen UIがあっていると思ったのなら、選んでもいいでしょう。ただ、やっぱりどこかこれと言った決め手がない気がします。スペック上はあるのですが、実際を見てみるとそれが消えているのですから。
内容物と外観、持ちやすさ
ZenFone Max Plus (M1)の同梱物は本体のほかマニュアル類、ACアダプタ、USBケーブル、イヤホン、イヤーチップ、SIMピン、OTGケーブルとなっています。保護フィルムやケースと言ったものは付属していません。標準的と言えば標準的です。大容量バッテリーを活かして別の機器に本機から充電できる機能のためにOTGケーブルがあるのが特徴でしょうか。
本体カラーは、ディープシーブラック 、サンライトゴールド、アズールシルバーの3色展開で、購入したのは少し青がかった銀のアズールシルバーです。背面はメタリック加工となっており、高級感がありながら指紋もつきにくくなっています。
音量ボタンと電源ボタンはZenFoneの特徴にもなっているスピン加工が入ってます。
下側面にはmicroUSBポート。エントリークラスではまだType-Cにはならないようです。これはHuawei nova lite 2なども同じですが、「今までもエントリーモデルを使った人の買い替え」にはいいのですが、「ここから初めてもっと性能の良いものへステップアップ」や将来を考えるとType-Cが欲しいところです。
実際に持つと、18:9ディスプレイのおかげで5.7インチという数字に比べると持ちやすく感じます。横幅は73mmなので、16:9ディスプレイにおける5.2インチ程度と変わらない印象です。ただ、同時期に出たHuawei nova lite 2に比べると微妙に厚く横幅も広く感じ、のっぺりした板を持っているような印象を受けます。
また、若干ベゼルが太く感じます。不格好というほどではないのですが、18:9でフルビューを謳う端末はかなりの狭額縁であることが多く、それらに比べるとやや目立つかな、と思います。
ZenFone Max Plus (M1)のスペック
簡単なスペックは以下のとおりです。より詳しいものは公式サイトをご覧ください。
OS | Android 7.0 |
---|---|
CPU | MediaTek MT6750T (オクタコアCPU) |
RAM | 4GB |
ストレージ | 32GB |
外部メモリ | microSDXC (最大256GBまで) |
ディスプレイ | 5.7インチ 2160×1080 (FHD+) |
カメラ | 背面:1600万画素+800万画素 前面:800万画素 |
バッテリー | 4130mAh |
サイズ | 約152.6 × 73 × 8.8 mm |
重量 | 約160g |
ネットワーク | FDD-LTE: B1/B3/B5/B7/B8/B18/B19/B26/B28 TD-LTE: B38/B41 キャリアアグリゲーション: 2CA対応 W-CDMA: B1/B5/B6/B8/B19 GSM/EDGE: 850/900/1,800/1,900MHz |
RAM4GBあるのは嬉しいですね。MediaTekのSoCを使っているので、そこはSnapdragonよりも評判は落ちますがゲーム以外ではそんなに気になることもないでしょう。
OSがAndroid 7.0なのはちょっと気になるところ。2018年2月という発売時期を考えるとAndroid 8.0あたりが期待されるのですが、それどころかAndroid 7.1でもありません。今後アップデートしてくれればいいのですが。一応、これまでに通常のアップデートはきているので、OSアップデートも期待できないわけではありませんが…。
各種ベンチマーク結果は以下の通り。
他いくつかの端末と合わせてまとめると以下のようになります。
SoC | Antutu | Geekbench | 3DMark | |||
---|---|---|---|---|---|---|
Single | Multi | Battery | ||||
Huawei nova lite 2 | Kirin 659 | 89093 | 941 | 3731 | 3259 | 317 |
Huawei P10 lite | Kirin 658 | 77035 | 857 | 3341 | 3267 | 414 |
ZenFone 3 | Snapdragon 625 | 76526 | 861 | 4111 | 2714 | 464 |
ZenFone Max Plus (M1) | MediaTek MT6750T | 55344 | 446 | 951 | 2796 | 388 |
Wiko View | Snapdragon 425 | 43034 | 681 | 1894 | – |
これまでのベンチマーク結果は以下のページにまとめています。参考にどうぞ。
ベンチマークの数字は、あまりよくありません。ちょっと、ここまで差があるの?と思わずにいられないくらいです。実際の動作を見ると、この数字以上にはしっかりしているように感じるのですが、数値には現れていないようです。
18:9のフルビューディスプレイ
ZenFone Max Plus (M1)はASUS初の18:9ディスプレイを搭載しています。公式サイトでは「フルビューディスプレイとウルトラスリムベゼル」と言っていますが、ベゼルは言うほど狭くなく、フルビューと言われても疑問符が付きます。
とは言え、縦に広がり画面が大きくなったにもかかわらず、横幅は5.2インチディスプレイのZenFone 3よりも少し狭くなっています。大画面と持ちやすさの両立として、この18:9ディスプレイは歓迎できるものでしょう。アプリやコンテンツによってはまだ最適化のできていないものもありますが、世の流れが縦長ディスプレイになっているので、だんだんと最適化が進んでいくと思います。
また、画面の四隅は丸みを帯びています。スクリーンショット上はこの黒く隠れている部分もあることになっているのですが、実際には丸く欠けて見えます。若干柔らかい印象を受けますね。
トリプルスロット
ZenFone Max Plus (M1)は、2つのnanoSIMカードスロットと、最大256GB対応のmicroSDカードスロットが搭載されたトリプルスロットを採用しています。2つのSIMを入れられる端末では、スロットの1つがSIMとSDカードのどちらかを選んで使う排他仕様になっていることが多いのですが、本機ではすべて独立したスロットで使えます。microSDカードを入れたまま2つのSIMを使えるので、SIM2枚派の人には便利です。
4Gと3GのデュアルSIM/デュアルスタンバイ(DSDS)に対応しており、2つのSIMで着信が可能です。ただし、2018年4月現在でauVoLTEには対応していません。(通信はできるが通話は不可能という状態。)なのでキャリア違いというよりはプライベート用と仕事用の2つのSIMを1台のスマホで使用、という形になるでしょう。
指紋認証が遅い?
少し気になったのが指紋認証のスピードです。これが明らかに遅いんですよね。触れてから一呼吸おいてから画面が点灯します。(画面が点灯した状態からの指紋によるロック解除であれば一瞬です。)
ただこれについては、ほかのレビューサイト等では特に触れられておらず、どこも「速度や精度は普通」と評しているので個体差なのかもしれません。Huawei系のスマホが逆に恐ろしく速いので、その差が気になります。
顔認証によるロック解除
また、こちらも最近の微妙な流行りである「顔認証」によるロック解除もあります。
暗いところでは使用できませんが、指紋認証と同時に利用できるので、どちらも有効にしておくといいでしょう。手袋をしているときなど、指紋認証が使えないときにも顔認証でロック解除できます。
ただし、指紋認証と違って、画面オフの状態から画面オン→ロック解除できるわけではないので、電源ボタンを押す手間はあります。ロック画面からの認証は指紋よりは遅く、僅かな間がありますが、特に気にするほどのものではありません。
バッテリーのもち
Maxの名を冠するZenFoneなので、やはり期待するのはバッテリーです。スペック上は4130mAhあるので、通常の3000mAh程度に比べたら1.3倍程度のもちを期待したいところです。
ただ、Geekbench 4によるテストの結果では2796点とかなり平凡な値でした。一応そのテストでバッテリーが枯渇するまでは9時間オーバーと、かなり長いというのはありました。
実際に使っていても、長時間使えるという実感はあまりありません。何もしていないつもりの状態でも残量がそれなりに減っていきます。バッテリー容量が5000mAhあればまた別だったかもしれませんが、4130mAhではそれほど差は感じません。Maxだからといって、過信しないようにしたいですね。
独自ではあるが使いやすいZenUI
ホーム画面
デフォルトのホームアプリは左画面にGoogleが入っているタイプです。プリインストールアプリの数もそう多くなく、いくつかは必要なければすぐにアンインストールも可能です。
設定により、テーマを変えたりグリッドサイズの変更も可能。また、1画面にすべてのアプリを表示するiPhoneのような「1レイヤーモード」と、アプリ一覧画面が別にある「2レイヤーモード」を選べます。2レイヤーモードではアプリ一覧(ドロワー)用のアイコンはなく、画面を上にスワイプすることでドロワー画面となります。
通知画面とクイック設定パネル
ステータスバーを下ろすと、通知画面とクイック設定パネルが表示されます。何か通知があるときは設定パネルの上1段だけが通知カードと一緒に表示されますが、なにもないときはパネルが一気に全部おります。
クイック設定パネルに表示できる項目もたくさんあり、スクリーンショットやカメラと言ったものもあります。なぜか空白になっている部分のものは「現在位置の共有」というもので、緊急時に現在位置をメールなどで送信できるものです。
設定画面
設定画面は見た目こそZenUIで独自のものですが、並びなどは比較的標準らしさがあります。ほかのAndroid端末を使っていた人でも、そう戸惑うことはありません。(Huawei系のようなかなり手の加えられたものから変更すると戸惑うと思いますが…。)
面白そうなものをいくつか紹介します。
「ZenUIセーフガード」では、緊急時に電源ボタンを3回押してSOSコールを発信したり、クイック設定から自分の現在位置を共有できるようになります。
「壁紙とテーマ」では、その名の通り全体のテーマを変更したり、ロック画面の壁紙を毎回違うものにしたりできます。この壁紙はデフォルトから更に追加していくことも可能です。
Chromeでウェブページを見ると、ナビゲーションバーにアイコンが1つ加わってます。これは「ページマーカー」というもので、表示中のページを保存できる機能です。さすがにリンク先までは保存されませんが、そのページだけならあとからオフラインで確認することができます。
広角レンズとのダブルカメラ
ZenFone Max Plus (M1)の背面カメラはF値2.0+1,600万画素のメインカメラと、120°の広角カメラのダブルカメラです。これはカメラアプリですぐに切り替えができます。
Proモードやパノラマ、GIFカメラなどは、1つをメイン画面にピンどめしてすばやく切り替えられます。
画像の縦横比は1:1、4:3、16:9、18:9の4つがあります。18:9ディスプレイを持つ端末では16:9の縦横比が省略されているものも多いので、16:9が残っているのはありがたいです。
グリッドは通常の3×3のほか、フィボナッチスパイラルが左右2種類あります。これも使いこなすと面白い写真が撮れると思います。
いくつか撮影した写真を載せておきます。(サイズのみ加工しています。)
食べ物の写真をほとんど撮ってませんでしたね。なんというか、全体的にレトロちっくな雰囲気がします。まぁそれなりというか、大して不満はないカメラです。くっきりした表現が好きな人は物足りないと思いますが、そういう人はもっと上のスマホを使いましょう。
メインと広角の違い
同じ場所、同じ構えでメインと広角を切り替えて撮ってみました。左がメイン、右が広角です。
確かに広く撮れますが、メインカメラとは色合いがだいぶ異なります。いろいろ調整すれば近づけることはできると思いますが、デフォルトのままで撮影すると広角カメラはだいぶ青っぽい写真になります。どういう場面で使えばいいのか、ちゃんと考えないとダメですね。
まとめ:充分ではあるがもう一声欲しかった
3万円以下という価格帯で、18:9ディスプレイやダブルカメラを装備し、DSDS対応、キャリアアグリゲーションも対応と、かなりよくできたスマートフォンだと思います。スマホの最初の1台として購入しても、しっかりとその役目を果たしてくれると思います。
ただ、OSバージョンがこの時期に発売なのにAndroid 7.0だったり、18:9でフルビューディスプレイと言う割にベゼルがけっこう目立ってフルビュー?状態だったり、Maxの名を冠している割にバッテリーのもちも普通と、イマイチな部分もあります。というかPRポイントになっているもののほとんどが期待するほどではない、という感じなので、そこでの下落というか残念感があります。
また、どうしても同時期に発売されたHuawei nova lite 2と比べてしまいます。nova lite 2のほうが細くて軽く、指紋認証や端末の動きや反応についても良く思えます。それでいて(定価も実売価格やセール価格も)nova lite 2の方が安いので、その価格差を考えるとZenFone Max Plus (M1)はかなり厳しくなってきます。
とは言え、無条件でHuawei nova lite 2の方がいいと言うわけでもなく、やはりUIはEMUIよりZenUIの方が私は好きなので、そういったもので覆る程度だと思います。どちらを買っても後悔は少ないと思いますが、どちらがより自分好みか、できるなら実際に触って確かめたほうがいいでしょうね。
まずは今後、ちゃんとアップデートされてAndroid 8.0になることを期待したいところです。